1970 僕たちの青春
(1991年6月21日放送)
<映像 永遠の別れ>
今から30年近く前に 僕たちの青春と言う2時間ドラマがフジテレビ系で放送されました。
1970年(昭和45年)を舞台にしたテレビドラマです。
自分は、その時代に青春を送ったわけではないのですが、何度も繰り返しドラマを観てきました。
ドラマ内では、「エメラルドの伝説」 「サウンド・オブ・サイレンス」など懐かしい曲がいっぱい流れます。
スカパ-等では再放送されましたが、DVD化は今もされていません。
唯一、1990年代にVHSビデオが発売されました。
DVD化されないのは、ひょっとして主役の川越美和さんの死が影響しているかも知れません。
彼女の死は、ワイドショ-で何度も取り上げられました。
生きていたら、どんな女優になっていたのでしょうか。
「時間ですよ」 の劇中歌を歌ったり、期待していたので残念です。
当時、自分はテレビ放送を録画しVHSビデオも入手しました。
ただ何らかの事情で、テレビとVHSビデオでは使われている曲が少し違います。
出演者
吉岡秀隆、萩原聖人、筒井道隆、石田ひかり、風間杜夫、川越美和、児島美ゆき、段田安則、萬田久子、陣内孝則 他
このドラマの舞台は、愛知県豊橋市。
1969年12月31日から始まります。
この記事を書いているのが、2019年12月31日。
ドラマとは言え、50年前の今日です。
内容は、青春ど真ん中の4人の高校生が恋に政治に駆け回る青春ドラマ。
ノンポリ(20年後=風間杜夫)が、20年前を回想しながら展開されていきます。
ノンポリ(吉岡秀隆) 番長(筒井道隆)
リクソウ(萩原聖人) ニシキ(永堀剛)
ブンガク(川越美和) ミドリ(石田ひかり)
高校卒業から20年後。
同窓会に出席する為に、東京から愛知県へ向かうノンポリ(20年後=風間杜夫)。
同時に、離婚を実家に報告する為の帰省でもあった。
ドラマは、渋滞する高速道路のパ-キングで、青春時代を回顧するシ-ンから始まる。
ここで流れる音楽は~
「あなた/小坂明子」
早く童貞を捨てたいノンポリ(吉岡秀隆)。
除夜の鐘~初詣出を口実に、深夜にミドリ(石田ひかり)を誘い境内の裏へ。
しかし、そんなに世の中甘くなく、突然の乱闘事件に巻き込まれ失敗。
この時代は安保。
ノンポリ(吉岡秀隆)の学校も、70年安保の風が吹いていた。
ノンポリは母親に連れられて教会へ定期的に通っていた。
教会には、同級生のブンガク(川越美和)も通っており、ノンポリ(吉岡秀隆)は憧れを抱いていた。
しかし、教会に興味のないノンポリ(吉岡秀隆)は、いつもHな事を考えていた。
この日は、目の前に座っているブンガク(川越美和)が、裸に見えるのを想像していた。
帰り際にブンガク(川越美和)に
私をじっと見て変な事考えてたでしょ?
と、見抜かれ焦ってしまい焦るノンポリ。
ブンガクも、ニヤニヤ笑いながら話しかけていたのだった。
ブンガク(川越美和)に片思いをしている番長(筒井道隆)。
番長は、彼女にラブレタ-を出す決心をした。
文章を書くのが苦手な番長は、ノンポリに代筆を依頼。
ノンポリは。文章を書くのが番長より上手いのだ。
当然だが、ラブレタ-の代筆を嫌がるノンポリ。
自分も、ブンガクに憧れていたから。
しかし頭を下げられ、断れずラブレタ-の代筆をする事に。
完成したラブレタ-に祈りを込めてポストに投函する番長。
しかし手紙を書いたのはノンポリである。
ラブレターの代筆をしたノンポリ(吉岡秀隆)は、
> どうせ返事は来ないさ
と気楽に引き受けたが、返事が来てしまった。
浮かれる番長(筒井道隆)は、ノンポリに大至急返事を書くように依頼。
ノンポリは断ったが、番長の 「脅迫と熱意」 に、嫌々返事を書くのを承諾。
しかし、ブンガクからまた返事が来てしまった。
番長は、学校で得意満面に浮かれていた。
ブンガク(川越美和)は、名前の通り文学が好きで手紙に難しい言葉を並べてくる。
ノンポリは返信を書くために、図書館に通い難しい本を読み漁る。
手紙を書くうちに、ノンポリのブンガクへの気持ちが憧れから本気に変わってしまった。
いわゆる本気でブンガク(川越美和)を好きになってしまったのだ。
<ノンポリ> 恥の多い生涯を送ってきました。自分には愛と言うものが見当つかないのです。
<ブンガク> 恥の多い生涯なんて思ったらダメ。そんな事を言ったら私だって~
ある日の教会の帰り道。
手紙の感想を聞きたくて、ブンガクの後をつけて声をかけた。
本当は、自分が書いてる!と言いたくて仕方ないノンポリ。
ノンポリも、ブンガクが好きなのだ。
<ノンポリ> 番長と文通してるらしいけど、どうなの?
<ブンガク> 最近、凄く良くなってきてる。
そんな時、ノンポリが足をすべらせ転倒。
驚いたブンガクだが、優しく手を差し伸べてくれた。
別れた後に、ブンガクに触れた自分の手の匂いをかぐのであった。
ある夜、リクソウ(萩原聖人)が、マムシ(陣内孝則)とブンガク(川越美和)を見かけた。
マムシ(陣内孝則)が、教え子のブンガク(川越美和)と車でスキ-へ行くところだった。
それを聞いたノンポリ(吉岡秀隆)と番長(筒井道隆)は、ショックを受けてしまう。
何かの間違いだと。
その頃、ニシキ(永堀剛敏)は、番長(筒井道隆)の妹のさとみに恋をしていた。
仲良くなる口実として 「レッドツェッペリン 」のLPレコ-ドを貸してあげたのだった。
しかし、喫茶店に呼び出され
<さとみ> ボクシング部の佐々木くん(さとみの彼氏)に返してこい!と言われたの。
と言って立ち去った。
一人残されたニシキ。
バックで流れる「フランシ-ヌの場合」 が店内に虚しく流れる。
暫くして校内の掲示板に、マムシとブンガクの事が貼り出された。
教師と生徒が泊まりでスキ-に行ったと。
クラスでブンガクは孤立してまった。
ノンポリも番長たちも、孤立したブンガクを見ているだけだった。
そんなある日、番長は考えた。
このままではブンガクが可哀そうだと、ノンポリと彼女の自宅へ向う。
偶然にもブンガクが出てきて、自転車に乗って目の前を去っていった。
それを必死に追いかける番長とノンポリ。
着いた場所がマムシ(陣内孝則)のアパ-トだった。
驚きとショックの番長とノンポリ。
暫くすると泣きながら部屋からブンガクが出てきた。
それを追いかけるマムシ(陣内孝則)の姿があった。
<ブンガク> 謝ってなんか欲しくなかった
マムシの言葉を振り切って自転車で立ち去るブンガク。
ショックを受けた番長とノンポリは、無言で帰路につくのであった。
<映像 初恋>
ある日、公衆電話ボックスの中でミドリ(石田ひかり)が泣いていた。
スキ-へ行く途中、偶然通りかかったノンポリとリクソウ、ニシキ。
電話ボックスで泣いているミドリを励まそうと、高校生なのに居酒屋へ。
楽しそうなリクソウとミドリを横目に退屈そうなノンポリとニシキ。
ミドリは酔い潰れてしまった。
リクソウは、以前より定食屋の年上女性(児島みゆき)と、遊びで付き合っていた。
二人でスキ-行くには 「世間の目」 もあるので、ノンポリとニシキを誘ったのだ。
ミドリを放っておけないノンポリ達3人は、スキ-へ行くのをやめた。
何も知らず、駅でひたすらリクソウを待つ女性(児島みゆき)。
女性は家族がいるので不倫だ。
しかし、リクソウは来なかった。
30代の女性が、高校生に恋をした悲しき結末だった。
ノンポリとリクソウは、介抱しながら学校の体育倉庫へ酔ったミドリを連れ込んだ。
よからぬ考えがあったようだ。
二人はジャンケンをして、ノンポリ(吉岡秀隆)が先にミドリの元へ。
無理やりのつもりだったが、ミドリは目を覚ましてしまう。
ミドリはノンポリに
>今日はアレなので今度にして。
>約束するから。
諦めて素直に倉庫を出たノンポリ。
しかし、今日は無理だと言うノンポリの言葉を無視して、リクソウは倉庫の中へ。
リクソウは、なかなか出て来なかった。
ノンポリが倉庫の扉の隙間から中を覗くと、ミドリとリクソウが愛し合っていた。
なぜ自分は拒否されたのに・・・・
ノンポリは、裏切られた悔しさとミドリの行動にうちひしがれた。
叫びながら校庭を走りまわるノンポリ。
それが人生で絶望した最初の時だった・・・とつぶやく。
バックで流れる「明日に架ける橋/サイモンとガ-ファンクル」の曲が、現実の虚しさをさそう。
それからミドリ(石田ひかり)とリクソウ(萩原聖人)は付き合う事になり恋人同士になった。
ある日、ミドリの元カレである不良グル-プのリ-ダ-・勝又が喧嘩を吹っかけてきた。
ミドリと恋仲になった、リクソウへの逆恨みだ。
手始めに、ニシキが殴る蹴るの暴行を受けた。
困ったリクソウは番長に助けを求た。
男気ある番長は、不良グル-プの勝俣と話をつけた。
リクソウとミドリの恋を、邪魔をしないで欲しいと。
勝俣は、リクソウとミドリに手出しをしない約束をしたが、交換条件を出した。
勝俣が出した条件は、
番長と勝俣が 「1対1」 で戦い、勝負を決める事。
そこに、リクソウとミドリが立ち会うのが条件だった。
リクソウとミドリは悩んだ。
行くか行かないか・・・・・行ったら殴られる・・・・
決闘の日、リクソウは姿を現さなかった。
リクソウとミドリが来なかった事に対し、番長は土下座をして謝罪。
勝俣は怒り、一方的に番長を殴った。
そして、卑怯にも来なかったリクソウの家へ。
リクソウを殴る番長。
立ち会う約束を破ったリクソウを殴る番長。
止めに入り、泣き叫ぶミドリ。
>私が行かないで!と頼んだの、
大切な友達だから、番長は殴ったのだろう。
この場面で流れる 「ミスタ-ロンリ-」 は最高だ。
<映像 裏切りと青春>
暫くして、リクソウは亡くなった。
新車を遠方へ届けるアルバイトの途中、寝不足でトラックに突っ込んでしまったのだ。
たまたま事故現場の近くにいた父親(杉浦直樹)が、事故の一報を聞いてかけつけた。
一緒に救急車に乗り、袋に入ったリクソウの片足を抱きしめた。
3日間、死をさ迷ったリクソウ。
リクソウを3日間、寝ずに見守った恋人のミドリ。
しかし、祈りも虚しく18歳の生涯を終えたのだった。
火葬場近くで、「エメラルドの伝説」を吹くニシキのハ-モニカの音色が物悲しさを誘う。
そこで番長が、国家建設の為、北朝鮮へ行く決意を突然告げる。
北朝鮮は番長の故郷なのだ。
行くな!泣きながら止めるノンポリ。
しかし、番長は卒業式を待たずに北朝鮮へ行ってしまった。
そして迎えた卒業式。
「仰げば尊し」 が流れる中、ノンポリはブンガクの背中を見つめていた。
教室に戻ると、空席の机がふたつ。
番長とリクソウの机だ。
<映像 卒業式>
式が終わり教室へ。
担任のマムシ(陣内孝則)は、柴田翔の「されど我らの日々」の本を広げた。
そして、文章を読みだした。
女性が、主人公の青年と別れて遠方へ行く時に青年に宛てた手紙だ。
ブンガク(川越美和)はわかっていた。
自分への最後のメッセ-ジだと。
涙ぐむブンガク(川越美和)
そしてマムシ(陣内孝則)がクラス全員に送った最後の言葉。
コレと馴れ合うか、まともにぶつかるか。
馴れ合うのはたやすい。ぶつかれば多分、傷つくよな
傷つけば血が出る。
痛いよな
でも、その痛みを勇気って言うんじゃないのか。
俺はそういう勇気が好きだ。
但し、死ぬなよ。生きてろ。
とにかく、生きてろ。じゃあな
と教室を出ていった。
<映像 最後の授業>
死ぬなよ。
まるで、ブンガク役の女優:川越美和の将来に向けて言ったような言葉である。
学校を出て帰る時、ブンガク(川越美和)がノンポリ(吉岡秀隆)を待っていた。
<ブンガク> 私・・・・結婚するの。
<ノンポリ> 知っとる。
<ブンガク> そう。ねぇ、ちょっと早すぎると思わん?
<ノンポリ> どうかな
<ブンガク> 私・・バ-ジン・・・・
<ブンガク> 手紙、なかなかよかったわ。
<ブンガク> 知っとったわ・・・最初から。面白いから乗ってあげたの。
<ノンポリ> そう
<ブンガク> 本気で書いたの?
<ノンポリ> あぁ
<ブンガク> 私も、あなた宛に本気で書いた。
<ブンガク> 俺が書いとるんだと言ってくれるの待ってた。
<ブンガク> かたいし張ってたのよね。
<ブンガク> 自分がね、何かわかっちゃった。
<ブンガク> 素直になる事がどれだけ大切かと言う事。
<ブンガク> あなたから教わっちゃった、馬鹿みたい。
<ブンガク> ありがとう・・・・さよなら
<映像 告白と後悔>
ブンガクは文通を通して、ノンポリに魅かれていたのだ。
そしてノンポリの告白を待ってた。
その頃ブンガクは、精神的に追い込まれていた。
だから、誰かに頼りたくて18歳で結婚と言う選択をした。
もし、ノンポリがブンガクに 「好きだ」 と告白していたら運命は変わっていたかも。
もし・・・・あの時・・・誰にでもある後悔かも知れない。
そんな、青春の別れ道を考えさせられるドラマです。
そしてエンディングは、20年後の同窓会。
そこには、ブンガクも番長もミドリもニシキもいなかった。
番長は、北朝鮮に渡ったが帰国の許可が出なかった。
また、ミドリの所在は誰も知らず。
ブンガクは、結婚してから所在不明。
しかし帰る時、同窓会へ向かうニシキと再会。
20年前、4人で手を重ね火をつけたタバコ。
今は二人になってしまった。
バックで流れる音楽 「ミスターロンリ-」 は、素晴らしい曲で感動しました。
高校生のニシキの20年後を、段田安則が演じている。
ノンポリ(吉岡秀隆)の20年後を、風間杜夫が演じたのはどうなんだろう。
ブンガク、番長、ミドリ、マムシの20年後も登場させて欲しかった。
ただ、ドラマ的には出てこなかったのもよかったのかも知れない。
エンディングで、20年後のノンポリが言った言葉
>君に会いたい、君たちに会いたい
ズシリと心に響いた。
②へ続く → 1970 僕たちの青春 ②