【前回のあらすじ】


クリスマスイヴ前夜、先に沖田さんの家に招かれた主人公は、素敵な一夜を過ごした。


※沖田さんを攻略されていない方や、花エンドを攻略されていない方には、ネタバレになりますので、ご注意ください!


現代版ですし、私の勝手な妄想ではありますが…よかったらまた読んでやってくださいきらハート


※今回も、ちびっとだけですが艶なシーンがあります。沖田さんのイメージが壊れる可能性があるので、ご注意くださいあせる


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【沖田総司~花end後~】第14話



ふと、目を覚ました先に白い天井がぼやけて見えた。


(…あ、そっか。総司くんの部屋だった…)


ゆっくりと上体を起こして、まだ気持ち良さそうにベッドに寝ている総司くんの寝顔を見やる。


(…寝顔も格好いい…)


結局、あれから総司くんの隣はノアに占領されたまま、別々の布団に横になり。それでも、深い眠りに誘われるまで話が出来たことが嬉しくて…。


ノアと寄り添うようにして寝ている総司くんを可愛い、なんて思いながら、彼らが起きるまでその寝顔を見つめていた。



それから、交互に部屋を後にして洋服に着替え終り、朝食を頂いて間もなく。ご両親にお礼の挨拶をして家を後にした。


今日は、逆に総司くんが家へ泊まりに来る番。


まず、私の家にお互いの荷物を置いた後、改めて今日の目的地であるお台場へと向かった。


そこにあるテーマパークで遊んだり、買い物をしたりしながら楽しい時間を過ごし、気が付けば辺りは既に夕日のオレンジに照らされていた。


「本当に楽しい時間はあっという間だな…」

「あ、そのまま…」

「え?」


ふと見せた優しい表情が夕日に照らされて、とても素敵に見えたから。


「そのままでいて…」


私は、また携帯を取り出してその笑顔を写した。


「うん、ちゃんと撮れた…」

「どうせなら…」


私の携帯画面を覗くようにして言うと、総司くんはきょろきょろと辺りを見回し、偶然前を通りかかったカップルに声を掛けた。


「あの、すみません。お願いできませんか?」

「いいですよ」

「ありがとうございます」


快く笑顔で答えてくれた彼氏が、総司くんからスマホを受け取ると、寄り添う私達に向けて構える。


「じゃ、写しますよ」

「はい」


その瞬間、絡め取られる指先。


触れ合う肩と肩。


「ちゃんと撮れてるかな…」

「ありがとうございました」


彼氏からまたスマホを受け取り、丁寧にお礼を言いながら去って行くカップルを見送って二人で画面を見やる。


「可愛く写っている」

「総司くんも」


何度目かのツーショット。

でも、こんなに寄り添って写したものは無かった。



その後も、海岸付近を歩きながら、話は幕末時代の話へと変わって行った。


「そういえば、あの頃はこうして海へ出掛けることなど無かったなぁ」

「確かに…それどころじゃなかったから…」

「それでも、私が海へ行きたいと言い出した時、貴女は大きな盥に水を汲んで来て、その上に懐紙で作った船や鶴を浮かべたりして…」

「あの日は、とっても暑かったですもんね…」


沖田さんが亡くなる一週間前のことだった。


あの頃の私は、出来るだけ沖田さんが好きだと言ってくれた笑顔でいようと、それだけを考えていた。望むことは何でも叶えてあげたい。


ただ、それだけだった。


哀しみを乗り越えようとする度に、ぎゅっと強く握られる手。


その度に、この大きくて温かい手を握り返す。


「はっ…くしゅんっ…」

「風が冷たくなってきた。そろそろ、戻ろう」

「うん」


もっと、一緒に歩いていたかったのだけれど、またいつか来ようと約束してその場を後にしたのだった。



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再び家に戻った時には、仕事で留守だった父も帰宅していた。


「お帰り!」

「ただいま。でもって、お帰りお父さん」

「ああ」


リビングのソファーに腰掛けていたお父さんは、ゆっくりと立ち上がり私達を交互に見て微笑む。


「君が沖田くん」

「はい、初めまして。今夜はお世話になります」

「こちらこそ、娘が世話になって」


お父さんから、「狭いけど、遠慮せずにゆっくりしていってくれ」と、ソファーに座るように促され、私達はバッグをその辺に置いて腰を下ろした。


「○○、台所手伝ってくれる?」

「はぁい」


お母さんから声を掛けられ、一緒に台所へ向かったので二人が何を話しているのか分からないけれど、台所から見える限りでは何やら楽しそうな雰囲気が見て取れる。


「沖田くん、思ってたとおりの子で安心したわ」

「すっごく優しくて…強い人だよ」

「またまた御馳走様…」


そんな風に話しながらテーブルの上に料理などを並べて行き、二人を呼び込んで四人でテーブルを囲んだ。


家と親が変わり、ノアがいないだけで昨夜とさほど変わらないディナーだけど、クリスマスの話題から、初詣のこと。そうかと思えば、私の子供の頃の事とか総司くんのような男の子も欲しかったなど、少し脱線したような話になり、総司くんが困ってやしないか顔色を窺ったりしていたのだけれど、案外、馴染んでくれているようだった。



そんな楽しいディナーを終え、総司くんをお風呂場へ案内してリビングに戻ると、二人の真剣な眼差しを受けた。


「ん…どうかした?」

「昨夜は、どんなふうに過ごしたの?」

「え、どんなふうにって?」


お母さんの問いかけに戸惑いながらも返事をすると、二人は少し困った様に微笑み合ってまた視線を私に戻す。


「一応、沖田くんの分の布団はあんたの部屋に敷いておいたけど…」

「ありがとう。昨晩も、総司くんのベッドの下に布団を敷いて貰って寝たから」

「そう…」

「やっぱり、気になる?」


私の問いかけに二人はまた顔を見合わせて、再び苦笑した。


「少しな。だが、俺がお前くらいの頃にはもう、大人として責任を持って行動していたから。だから、お前たちにもそうあって欲しいと思っている」

「お父さん…」

「お母さんも同感よ。向こうの親御さんもそうだったんだろうけれど、道を見誤らないようにしてくれさえすれば良いと思っている」

「…うん」


信頼の眼差しを受け、二人に頷くと同時に改めて総司くんとの付き合い方を考えた。



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それぞれがお風呂を済ませ、リビングでテレビを観ながら両親の青春時代の話とか、とにかく二人して高校時代の話題で盛り上がり始め、私と総司くんは苦笑しながらその話に耳を傾けていた。


やがて、先に休むというお父さんを見送り、次いで同じく寝室へと戻って行くお母さんに挨拶をして、総司くんを私の部屋に案内した。


自分の部屋に招いたのは、裕香と翔太くん以来。

昨夜とはまた違う緊張感に包まれる中、総司くんは窓辺に立ち夜空を見上げ言った。


「今夜は月が見えないな…」

「え…」


隣に寄り添うように立ち、同じように見上げてみる。


「雨が振りそう…」

「どうせなら、雪になればいいのにな」

「…うん」


今夜は、クリスマスイヴ…。


どちらからともなく絡める指。合わさった手の平からこれ以上無いほどの温もりを感じる。


「さっき、貴女がお風呂へ行っている間、お父さんからさりげなく言われました」

「…なんて?」

「くれぐれも娘をよろしく…と」


自分の両親からも、「高校生といえどもう立派な大人だから、責任を持ってお付き合いしなさい」と、諭されていたことを話してくれた。


「でも、何だか総司くんに嫁ぐみたい…」

「あはは、確かに。でも僕達の交際を認めてくれて、何よりも信頼してくれていることが嬉しかった」

「同じく…」

「大事にしたい…」


そう言うと、総司くんは繋がれた手をゆっくりと引き寄せ、そっと温かい胸に誘ってくれる。


「これからもずっと…」

「…っ……」


ふと見上げると、あの頃の柔和な微笑みと目が合い。


その優しい眼差しを受けながら、総司くんの頬に触れたくてもう片方の手をぎこちなく添えると、すぐに大きな手の平に包み込まれた。


そして、ゆっくりと近づく息遣いを感じながら唇を重ね合い、お互いの体を抱きしめ合う。


「…んっ…」


微かに漏れ始める吐息に酔っていると、更に抱き寄せられ耳元で囁かれた。


「これ以上触れていたら…止められなくなりそうだ」

「あ…」

「だから…」


離れそうになった温もりを手繰り寄せて、


「もう少しだけ…こうしていたい」


大胆にもそんな言葉を口にしていた。


「え…」

「あの頃も、そう思っていたから…」


今までも、何度も思い出したあの頃のこと。


沖田さんに会いに来て貰いたくて。

優しい温もりに包まれたくて…。


沖田さんを心待ちにしていたあの頃の気持ちが甦って。


切なくなって…。


「…………」


背中に回していた手に力を込めると、総司くんも同じように強く抱きしめ返してくれる。


その強さが増して来ると同時に、再び受け止めるキス。徐々にお互いの手が赴くままに動き、パジャマの上から胸元を優しく包み込まれた。


───触れたくて、触れて貰いたくて。でも…


「昨夜の続き…」


少し低い声が私の耳元を掠めて間もなく、ふわりと体が宙に浮いてすぐにベッドの上に横たえられた。


「と、思うけれど…」

「…っ…」

「ここまでで我慢しておきます」


昨夜もそうだった。

震える唇も、ぎこちなく伸ばし合う手も…


どこか躊躇っていた。


「ただ、朝までずっとこうしていたい」

「…私も…」


部屋の電気を消して二人でベッドに潜り込み、すぐ傍にある温もりを感じ合う。


「すごくあったかい…」


ぎゅっと抱きしめられて、あの頃の様に広い胸に頬を埋めてみる。


苦しげな咳も、不安定な心臓の音も、もう聞くことは無い。

聴こえるのは、ドキドキと速まる心臓の音だけ…。


(…あの頃もこんな風に抱きしめ合って…)


そんな風に思いながら、目蓋を閉じたその時…


「雪が…」

「え?」


窓辺に背を向けていた私は、その声に驚いてすぐに窓の外へと目を向けた。



幕末志士伝 ~もう一つの艶物語~


「ほんとだ…」

「積もるくらい降ると良いのになぁ」

「ふふ、そうだね」


お互いの想いを受け入れるまでにいろいろな困難があったけれど、想いを伝え合い床入りを果たした時もこれ以上は進めなくて…。


私達はずっと寄り添いながら温もりを感じ合っていた。


「こうしているだけで私は、とても幸せでした」

「沖田…さん…」

「それに、今も。貴女が私にとってどれほど大事な存在なのかを、改めて感じることが出来た…」


ふとまた微笑み合って、私はまた総司くんの胸元に寄り添った。


あの頃から抱いていたもう一つの想いは、いつか…きっと。


総司くんの温もりはあの頃の沖田さんと同じで、その心地良さと安心感からか、私はいつの間にか深い眠りに誘われていた。





【第15話へ続く】




~あとがき~


またまた寸止め、すみまへんあせる

でも、この寸止めにも理由がにひひ


そして、次回は一気に冬休みへ突入し。ようやくリアルに追いついた感じだあせるお正月を経て、高校生活最後の春休みを使って、翔太くんと裕香と4人で京都へ旅行に行くゆう感じで予定していますラブラブ


そこから、また新たな展開を迎えることに!!


そして、今日は節分でしたね節分

うちは、豆まきした後、必ず歳の数以上豆を食べてますあせる


今年も、失敗に負けずに頑張れますようにウフフ