<艶が~る、二次小説>


私なりの沖田さん花エンド後も、4話目になりました(^ω^)


※沖田さんを攻略されていない方や、花エンドを攻略されていない方には、ネタバレになりますので、ご注意ください!


現代版ですし、私の勝手な妄想ではありますが…よかったらまた読んでやってくださいきらハート


第1話 第2話 第3話  




【沖田総司~花end後~】第4話



京都を発った新幹線は、あっという間に品川に到着した。


改札を出て間もなく、最後の集合をかけられ担任の話を聞いた後、「またね」などと、挨拶を交わし合いながらそれぞれ散り散りになっていく中、どんよりとした顔でしゃがみこんでいる翔太くんの姿があった。


「翔太くん、一緒に帰ろう」

「ん、ああ…」


声を掛けると、彼のまだ眠そうな瞳と目が合う。


「疲れているみたいだね…大丈夫?」

「…夢を見たんだ」

「夢を?」


最寄駅が一緒だし、家も近所だからどのみち一緒に帰ろうかと思っていたのだけれど、私は、沈んだままの翔太くんが気になって、しきりに話しかけていた。


「どんな夢だったの?」

「龍馬さんと、旅に出た時の夢を見ていたよ。龍馬さん、すげー笑顔でさ、いつもの調子で俺に話しかけて来てくれて…」



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



そう言った彼の横顔は、ほんの少し嬉しそうに見えた。


彼は、激動の幕末時代へ飛ばされてすぐに龍馬さんと出会い、それから、尊皇攘夷派として行動を共にしていたから、龍馬さんのことを兄のように慕っていたに違いない。


「…あの人を助けたかったなぁ」

「翔太くん…」


その後も、私達は最寄駅に辿り着くまでの間、あの頃の記憶を取り戻していった。


思い出す度に、笑ったり泣きそうになったりして…。


気が付けば、最寄駅の改札を出て、家までの道のりを歩き始めていた。


「全てでは無いんだけど、思い出して来たよ。俺達、本当にあの時代で生きていたんだな…」

「うん。これが証拠…」


そう言って、私はポケットから投扇興の蝶を取り出して翔太くんに見てもらった。


「これ、沖田さんが私の為に作ってくれた物なんだ」

「そっか…」

「なぜか、これが制服のポケットに入っていたの」


沖田さんと出会わなければ思い出すことは無かった、あの頃の記憶…。


今、この時代で生きているのだから、思い出さなくても良いのかもしれないけれど、私はすべての記憶を思い出したい…そう、思っていた。


翔太くんと、あの時代へ飛ばされてから…沖田さんと出会い、恋をして……どんな風に過ごしていたのか、を。


「お前も、大変だったんだろうな…あの、新選組の沖田を選んでしまったんだから…」

「…翔太くんこそ」


翔太くんも、龍馬さんの傍で常に死と隣り合わせだったに違いない。


それに、いつ暗殺者に襲われるかもしれない恐怖や、戸惑いは計り知れなかっただろう…。


「今、ふと思い出したんだけどさ…あの骨董品屋って、まだあるのかな?」

「確かに…気になるね」

「俺達をあの時代へ飛ばしたカメラも…」


私達は、ふと、お互いに立ち止まり顔を見合わせた。


……あの日。


気が付いたら、見学先の建仁寺内にある敷地で一人、涙を流していた。


よく分からないまま、周りにいたクラスメート達と移動しようとした次の瞬間、沖田さんと出会ったから、あの骨董品屋の事は、今の今まで気にかけるということが無かったのだけれど……


「なんか、妙に気になるな」

「…うん」

「今度、休みを利用して確かめに行ってみないか?」

「あの骨董品屋へ?」

「何となくだけど、どの辺にあったか思い出して来たからさ…」


私は、少し複雑な気持ちを抱えながらも、一つ頷いた。


今更、探してどうなるのかは分からないけれど、私達は全てが始まったあの場所へ足を運ぶ約束をしたのだった。


「着いたな…」

「送ってくれてありがとう…翔太くんがいてくれて良かった」

「なんだよ、急に…」

「もしも一人だったらどうなっていただろう…って、考えただけで怖くなるもん」

「俺も、必死だったんだけどな」


しっかり者の翔太くんが一緒にいてくれたから、私はこうして現代へ戻ってくることが出来たのだし、沖田さんの生まれ変わりである、沖田くんと出会えた。


あの時代でも、唯一、何でも話せた人。


「これから、また思い出した記憶を整理するのに手こずるだろうけど…とりあえずは、ゆっくり体を休めて。沖田とのことも…何かあったら遠慮なく相談に来いよ」

「…うん」


じゃあな、と、言っていつもの優しい微笑みを見せると、翔太くんはこちらに背を向け歩き出す。


その、大きな背中が見えなくなるまで見送ると、玄関前の短い階段を上りながら夜空を見上げた。


「今夜も、月が綺麗…」


今頃、沖田さんもどこかの宿でこの月を見上げているだろうか?


そういえば、あの時代にいた時も、夜空を見上げては切ない想いを抱いていた。


(あの頃、見上げていた月と同じ…)


そう考えると、なぜか…現代にいながらも、あの頃と同じ気持ちになれると同時に、私が出会った幕末志士達の存在を身近に感じ始める。


「この月も、夜空も…あの頃と同じなんだよね…なんか凄いなぁ」


私は、また少しずつ思い出した記憶を心の中で整理しながら、いつまでも月を見上げていた。



それから、マッタリとした雰囲気の中、お土産を渡しつつ今回の修学旅行での出来事を簡潔に話すと、両親は、自分たちが高校生の頃も、京都へ行ったことなどを話してくれた。


二人とも、歴史などには興味が無かったせいか、記憶が薄れていたようなのだけれど、とある話を耳にして、私は思わず聞き返していた。


「骨董品屋?!」

「そう、お土産物屋さんが結構並んだ中に数軒、骨董品屋さんがあったと思うんだけど、やっぱり京都って感じでしばらく見ていたことがあったわ」

「その骨董品屋さんに、古ぼけたカメラとか無かった?」

「カメラ?」


母は、少し考えるようにしてすぐに、「カメラは無かったかな…」と、答えた。


思わず、骨董品屋と聞いて反応してしまったけれど、母が足を運んだお店と、私達が足を運んだお店は違うのかもしれない。


考えてみれば、あの時代から現代へ戻る際に使用したカメラの行方も分からないままだ…。


「その、骨董品屋がどうかしたの?」

「ううん、何でもない…」


それから、しばらくお土産話をしながら時間を費やし、次いでお風呂で体を休めた後、私は自分の部屋で早速携帯と向かい合っていた。


「これで、良しっと…」


沖田さんの連絡先を携帯に登録し、メモ用紙は、引き出しの中にしっかりと保管した。


明日の夜?それとも、明後日の朝のほうが良いかな?


その時のことを想像するだけで、手が震えた。


こちらから連絡しない限り、彼から連絡が来ることは無いのだから…。


(…はぁ…なんでこんなにドキドキするんだろう…)


一刻も早く、メールか電話で彼と連絡を取りたい反面、こちらから連絡しても良いのだろうか…という、気持ちになっていた。


それは多分、幕末時代の沖田さんと、現代で生きていた沖田くんとは同じなんだけど…どこか違うから?


何故か、あの頃の記憶を思い出す度に、複雑な気持ちになっていった。


……本当に幸せになっても良いのだろうか、と。




沖田side



僕たちは、三条近辺にある宿で修学旅行最後の夜を迎えていた。


さすがに、みんな最終日前夜ともなると旅疲れが出ているみたいで、敷かれた布団の上で寛ぎながら明日の話をし始める。


「明日行く、壬生寺はちょっと興味あるんだよな」


勇人が、しおりとパンフレットを見つめながら呟いた。


彼の親父さんが、新選組に興味があることは知っていたけれど、彼もその影響を受けていたようで、僕の名前に対しても、よく突っ込んだ話をしていたことがあった。


「新選組の隊服とか、格好いいよな?」

「え?あ、ああ…そうだね」


苦笑する僕に、勇人は、「お前、隊服が似合いそうだし、名前からして沖田総司だもんな」と、言って不敵な笑みを浮かべた。


僕の両親も、同じくらい…いや、それ以上に好きだから、名前も総司と、つけられたのだが…。この名前のせいで、出会った人全員に同じ説明をすることになるのが、ほんの少し面倒だと感じていた。


「あの沖田総司と、同姓同名なんてなかなか、いや…お前くらいだろ?」

「他にもいるかもしれないけど、多分ね」

「なんかさ、ああいう親を持つと子供は苦労するよな…」


お互いに顔を見合わせ苦笑し合うと、またパンフに目を移し、明日の自由時間をどんなふうに過ごすかを話し合った。


(…明日、壬生寺に行くということは、またいろいろな記憶が甦ってくるに違いない…)


僕が一番、思い出したくない記憶も…全て。


彼女を見つけてから、僕の歩む道は完全に変わってしまった。


今まで、なんの為に生きるのか…その意味が、はっきりとしないままだったけれど、これからは違う。


「ところでさ、総司。あの子に渡せたのか?」

「ああ、受け取って貰えた…」

「しかし、今まで何度も言い寄られながら、断り続けたお前が…まさか、修学旅行先で久しぶりに出会った子に声をかけるとはな…」

「彼女を…ずっと、探していたから」

「探していた?」

「…いや、何でもない」


首を傾げる彼に微笑むと、僕はまたしおりに目をやりながらも、幕末時代に思いを馳せた。


思い出されるのは…新選組、一番組組長として生きていた頃の事と……


彼女との尊い時間だった。




*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



『沖田さん、労咳なんかに負けないで…必ず治すって約束して下さい…』



彼女は震える声で、でも、強い眼差しを浮かべていた。



『……はい』



私は……ただ、その瞳を見つめながら頷いた。



お互いを、死が分かつまで…


共に生きられたことが、何よりも嬉しかったんだ。


もう、どのみち永くは生きられないのだからと、生きることを諦めたこともあったけれど、新選組の為に、彼女の笑顔を守る為に生きる道を選び、たとえ、もう手遅れだったとしても、土方さん達に促されるままに、病と闘って治すことだけを考えていた。


けれど、心のどこかで…本当にそれで良かったのだろうかと、いう想いを抱かずにはいられない。


明日が来るのが楽しみな反面、もう一つの現実を受け入れることになるかもしれない…と、いう不安を抱えていた。




【第5話へ続く】



~あとがき~


昨晩の月、見事な満月でした…。とても、綺麗で…パパと僕ちんと、しばらくの間眺めていました。


綺麗な月が見える晩は、自然と、幕末志士達が生きていたあの時代のことを考えてしまいます。


あの月は、新選組や、尊皇攘夷派の志士達の活躍を見てきたのだろうか?なんて思うと、心が弾みますよねキラ


そして、彼らも月を眺めながら、想いを馳せたりしたんでしょうか…。


この後、沖田さんは最終日に壬生寺近辺へ。そして、地元へ帰ってきてから、主人公との恋物語が始まります。


じつは、現代版の沖田さんも、辻本くんを思い出し(笑)主人公は、血風録で悠役を演じた、寺島咲ちゃんを思い出してしまう私ですウフフ


血風録は、「菊一文字」まで観ましたきらハート相変わらず、辻本くんの殺陣さばきや演技には魅せられっぱなしだったし、永井土方との1シーンは泣いてしまいました涙


そして、どこまで哀しい運命を背負っていたのだろう…と、思うくらい切なかったです。


最終回、楽しみですキャッ


今日も、遊びに来て下さって、絡んで下さってありがとうございました!!