<艶が~る、妄想小説>


【沖田総司 ~花end後】第2話


沖田さん花エンド後のお話も、2話目pnish


※沖田さん本編をクリアされていない方や、花エンドを迎えていらっしゃらない方には完全にネタバレになりますので、ご注意ください涙


私なりの、沖田さんと主人公との淡い恋物語…っていうと、聞こえは良いですが(笑)


そして、こんな私の物語を読んで下さっている方から、メッセージをいただき、素敵な沖田さん現代版の絵をプレゼントしていただいたので、早速、ご本人に承諾を得て、挿絵として使わせていただきましたきらハート


良かったら、お付き合い下さいませキラキラ


☆新キャラ:市原勇人(沖田さんの幼馴染)



第1話



*花エンド後* 第2話



沖田さんを見送った後、翔太くんと共に現代へ戻ってきた私は、何故か幕末時代へ飛ばされたその日の京都に戻って来ていた。


それから、訳も分からないまま、なぜか涙が止まらなくて…


気持ちの整理がつかないまま、彼と出会った…。


『あなたを探していた気がします…』


そして、難しいパズルを完成させるように、少しずつ記憶を取り戻していくと同時に、二人の時間はゆっくりと、でも確実に前へと進み始めた。


………チリンッ。


ポケットの中でまた鈴がくぐもった音を鳴らし…


一生、忘れられない時間が甦る。



*艶が~る妄想小説* ~もう一つの艶物語~



【…来世があるのなら……その時こそ…あなたと…】



……添い遂げたい。


彼は、震える手で私の頬にそっと触れ…


そう言ってくれたようだった。


やがて、彼のしなやかな指が頬からゆっくりと首元に滑り落ち…


落ちきる前にその手を握り締めると、彼はそれに答えるように微笑んでくれて…


(……っ…)



「どうしたの?泣きそうな顔しちゃって…」
「えっ?」


裕香が、私の顔を覗き込む様に呟いた。


その横では、翔太くんも心配そうにこちらを見ている。


「な、何でもないよ…」
「本当に?」
「うん…」


裕香の細められた瞳に見つめられ、作り笑いを浮かべる。


どうして、あの時のことを思い出してしまったのか分からないけれど、心の整理をし直して、集合場所へと急いだのだった。



それからしばらくして、次の目的地である、建仁寺(けんにんじ)へ行き、そこで見聞を広めた後、お世話になる旅館へと足を運んだ。


「ふぅ…何気に疲れたぁ…」


裕香は、荷物を入り口付近に置くと、ポツリと呟いた。


男女共に10名ずつ分けられた部屋はとても広く、和の雰囲気がとても素敵で、畳の匂いが心も身体も癒していく。


そして、それぞれが荷物を整理し始め、夕飯までの間、思い思いに寛ぎはじめた。


(今頃、沖田さん達もどこかの旅館に着いた頃かな?携帯持参出来ていたら、連絡先を交換出来たのに…)


「おーい…また考え事してる?」
「えっ?!」
「さっきから、何度も声をかけてるんだけど…」
「そ、そうだったの?ごめん…」


彼女は、他の子たちと少しだけ距離を置くと、小声で話し始める。


「やっぱさ、あのイケメンにナンパされたな?」
「ナンパされた訳じゃないんだけど…何て言うか……」
「まぁ、無理に聞こうとは思わないけどさ…」
「あのね…今も、何て言っていいか分からないんだけど…」


私は、苦笑する彼女を見つめつつ、意を決して話し始めた。


さすがに、幕末時代での出来事は話せなかったものの、彼と出会ってからの不思議な感覚や、初めて会ったのにお互いに惹かれ合ったことなどを話すと、彼女は意外にも真剣に受け止めてくれた。


「そういうことって、あると思うよ」
「信じてくれる?」
「勿論。なんか、めっちゃ素敵やん。そんな出会い…しかも、イケメンだったし」


彼女のにんまりとした笑顔につられて、私も思わず顔を綻ばせると同時に、彼の穏やかな微笑みと、涼やかな声が甦る。


「それに、優しそうだったもんね…彼」
「うん…」
「いいなぁ~。あたしもそんな恋愛したいぃ…前世で繋がってたりしてねぇ~」


(前世で……)


その言葉に思わず反応してしまったけれど、私と沖田さんの場合はどうなんだろう?そんなことを思いながらも、女子会のような会話は更に盛り上がっていった。


なんか、とっても…修学旅行らしいっていうか、なんていうか…。


お互いに好きな人のことで盛り上がり、気がつけばもう、夕飯の時間を迎えていたのだった。



それから、美味しい京料理を堪能した後、忙しなかったけれど温泉を楽しみ、消灯までの間、布団の敷かれた自分達の部屋で思い思いな時間を過ごしていた。


やがて始まったのは…やっぱりあの話だった。


「えええっ!マジでぇぇ…」


誰からともなく同じような言葉が飛び交う。


誰々が誰々を好きなの?とか、初キスは思ったよりも良いものじゃ無かったとか、ちょっと恥ずかしくなるような事も、話し出したら止まらなかった。


「そうなんだ…キスって、相手次第なんだねぇ…」
「もう、現実はそんなもんだよぉ…」


(沖田さんとのキスは、とっても素敵だったような気がする…)


彼女達の話を聞きながら、あの頃の記憶がほんのりと甦る。


そうだ……私が太夫になって間もなくのことだった。



【楽しみだなぁ…どんなことが出来るのか】



彼との三度目の晩のこと。


その意味が分かっていなかった彼は、にこにこしながら私を見つめていた。



【三度目の夜を迎えましたけど、いったい何があるんです?】



楽しそうに話す彼に、躊躇いながらもその意味を説明すると、その顔がみるみるうちに赤く染まり、彼は大きく目を見開いたまま、固まっていた…。


しばしの沈黙の後、お互いに緊張しながらも、彼は私を抱き寄せて優しい口付けをくれたのだった。


そして、一つの布団に添い寝をし、彼の腕枕に身も心も癒され…



【やはり、あなたを自分のものにすれば良かったかな…】



(……なんて、言われたことあったっけ……)


「○○、どうしたの?」
「えっ?!い、いや…なにも……」
「なんか、変な想像でもしてたんじゃないの?」

「し、してないって……」


ニヤニヤするみんなの顔を交互に見ながら、私はますます彼との夜を思い出し、これ以上無いくらい顔が熱くなるのを必死に抑え込んでいた。


(こんなこともあったんだよね…)


結局、添い遂げられないままだったけれど、私は彼の温もりを感じることが出来てとても幸せだったんだ。



「入るぞ」


襖の向こうから担任の声がして、私達は話すのを止めてその声に答える。


「もう、消灯時間だ。明日も早いから、なるべく早く寝ろよ」

「うぃぃっすぅ…」


全員で嫌々答えると、先生は苦笑しながら灯りを消して部屋を後にした。


(…あっ……)


部屋に差し込む月明かりに誘われて夜空を見上げると同時に、綺麗な満月に目を奪われる。


「うわぁ…すごく綺麗…」


みんな口々にそう言いながらしばらくの間、月を見上げていた。


(沖田さんも見ているかな……)




~ 沖田Side 



「今夜は満月か…綺麗だな」


部屋から見える満月に、彼女の笑顔を重ね見る。



『あなたに会いたかった…』



やっと見つけた…彼女を。


「総司…」

「ん?」



*艶が~る幕末志士伝* ~もう一つの艶物語~



ふと、背後から声をかけられ振り返ると同時に、ぐいっと肩を抱き寄せられた。


「お前さ、浴衣似合うな…」

「そうかな?」

「男でこんなに浴衣が似合うなんて…なかなかいないぜ」


彼は、市原勇人。幼稚園の頃から一緒で、かなりの腐れ縁と言ってもいいかもしれない。


「ところでだ、昼間はうやむやにされたが…総司がナンパするなんて珍しいな」

「え、だから違うって…」

「じゃ、逆ナンされたのか?」

「いや…」

「なんだよ、はっきりしねぇな…」


彼は、僕の背中をバシッと叩くと、すぐ傍に敷かれてあった布団の上に胡坐をかいた。


「俺も気になってたんだけどさ、昼間の彼女…可愛かったな」


あの場にいた友人全員が、彼女のことを気にかけていたみたいで、この時間を待ってました…とでも言いたげに、次々と彼女のことを尋ねて来る。


「なんていうか…その……か、彼女は昔、仲が良かった子で、偶然、京都に修学旅行中だったみたいで…バッタリ会っただけなんだ」

「で、その彼女が初恋の相手だったとか?」


勇人の言葉に、一瞬、戸惑いを隠せなかった。


そうだ…。


僕にとって、彼女は初恋だったのかもしれない…。



【沖田さん、また投扇興やりましょうね】



はにかんだ笑顔も可愛くて…僕はいつもその笑顔に癒されていた。


「おい、総司?」

「…ん?あ、何?」

「図星か?」


勇人の言葉に思わず動揺の色を見せると、その場にいたみんなが口々に、のろけかよ!と、言って呆れ顔を見せると、これが発端となり、それぞれが好きな人の話で盛り上がり始める。


「ええぇぇっ!マジかよ…」

「……やっぱさ、女はこえぇよ…」


そんな初体験の話の最中、話しに耳を傾けながらも、彼女のことを考えていた。


いや、思い出していた…。



【沖田さんになら……私…】



それでも、私は……口付けを交わし、彼女の身体を抱きしめることしか出来なかった。


心の中では、いつも彼女を自分のものにしたいと思っていたけれど…


叶わぬ夢だと諦めたから。


そうだ、私は最期を迎える時まで彼女と共に生きて、そして…誓ったんだ。


来世があるならば、その時こそは添い遂げたいと。



「沖田?」

「……えっ?」

「お前はそういう経験無いのか?」


それぞれに尋ねられ、僕は返答に困りながらも、「もしかしたら、いつかそんな夜も来るかもしれない」と、答えると、それぞれが口々に、「おせーよ」と、言って苦笑した。


そして、布団の中で話し始めているうちに、誰からとも無く口を閉じ始め、やがて、寝息だけが部屋に響き渡る中、少し移動して見えなくなりつつある月を見上げる。



いつか、この手で彼女を抱きしめられる日が来る。


今度こそ、誰にも邪魔されずに彼女だけを愛することが出来る。


思い出したくない記憶に戸惑いながらも、ただ一途に彼女の事を想い続けていた。




第3話へつづく




~あとがき~


今どきの高校生って…こんな夜、どないな話をしとるんかの?(笑)


そして、ある作家さんの真似をして、もう一つの沖田さん目線も取り入れてみましたきらハート


ちびっと、自分の修学旅行時のエピソードを添えてみたりしましたが、なんか、また片思いとかしてみたいなぁ…なんて、書いていて思ってしまいましたすまいる


ちなみに、沖田くんの友人の市原勇人くんは、土方さんを意識してます(笑)


次回は、沖田さんと清水寺あたりでバッタリして(笑)


デート、したいものどすなきらハート


今回も、駄文にお付き合いくださってありがとうございました涙