<艶が~る、妄想小説>
沖田さんの花エンド後のお話のリクエストをしていただいたので、もう、勝手な妄想世界になってしまいますが、俊太郎さまに引き続き、書いていこうかと思いますマッタリ更新になると思いますが、良かったら、また今回も読んでやって下さいませ
※沖田さんの本編を読んでいない方や、花エンドを迎えていらっしゃらない方には、完全にネタバレになりますので、ご注意下さい!
☆新キャラ:川澄裕香(主人公の友人)
*沖田総司 ~花エンド後~* 第1話
「どうしてか…自分でも分からないのですが……あなたを探していた気がします」
彼は、私を見つめた後、節目がちに呟いた。
なぜか、悲しくて涙を流していた私も、彼の瞳を見つめた途端、懐かしい何かを感じ、心の中の声をそのままを伝える。
「あなたに会いたかった……」
初めて会った人なのに、なぜか心惹かれて……胸が擽られた。
そんな非現実的な出来事に戸惑いながらも、友達と逸れてしまったことを伝えると、彼は、「女の子の一人歩きは危ないから」と言って、一緒に探してくれることになったのだった。
「じゃあ、行きましょうか…○○さん」
「え、私の…名前を……」
「あ…なぜか……自然と名前が浮かんで…」
彼は、そう言いながらふと歩みを止め、眉を顰めた。
(そうだ…私も、この人の名前を知っている…)
名前だけじゃない…。
青い羽織りと、長い後ろ髪を揺らしながら歩く姿が…
無邪気な笑顔が…
切なげな瞳が…
鋭い眼差しが…
………目の前の彼に重なる。
「沖田…さん……」
「やっぱり、あなたは僕がずっと探していた人だ」
優しい微笑みを向けられ、改めて彼の澄んだ瞳を見つめた。
(…彼は……)
薄れていたあの頃の記憶が、少しずつ甦る。
「さっきは気がつきませんでしたが、今、それを見て確信しました…」
「これを?」
彼は、私が握り締めたままの鈴飾りを見ると、「僕が、あなたにプレゼントしたものですよね…」と、言って微笑んだ。
「あっ……」
突然、フラッシュバックのように脳裏に甦る…。
あの時……。
『こんなものしか用意出来ませんでしたが…これをあなたに贈りたくて」
『私に……』
『……受け取って貰えますか?』
差し出された彼の掌に乗っていたのは、手作りの投扇興の蝶だった。私は、とても嬉しくて……たとえ会えない日々が続いても、それを彼だと思っていつも肌身離さず大切にしていた…。
「これは…あの時の……」
私が、あの時代で生きていた証。
そして、二人が愛し合っていた証だった。
「そうだ……沖田さんが私にくれたんだ…」
「まだ、薄らとしか思い出せませんが…これから、ゆっくり取り戻して行きたい。あなたと一緒に過ごしていた頃の愛しい記憶全てを…」
「沖田さん……」
彼はこちらに向き直ると、両手で私の手を包み込みながら微笑んだ。二人の手の中で、鈴がほんの少しだけくぐもった音を鳴らす。
「……………」
そして、彼は照れくさそうに私の手をそっと離し、何かを言おうとした次の瞬間、遠くから私を呼ぶ声がして、二人でそちらを振り返ると、翔太くんと友達の裕香がこちらへ駆け寄ってくるのが見え、私は思わず蝶をポケットにしまい込んだ。
「○○!」
「探したんだよ!あんただけいなくなっちゃったから……って、ちょっと、ナンパされてたの?」
裕香が心配そうに私を見つめる中、翔太くんは沖田さんを見つめながらほんの少し眉を顰めた。
「……そうなのか?」
「え?ううん、ナンパされてた訳じゃないよ!その…この人は…」
(……あっ……)
私は、言いかけて思わず口ごもった。
裕香は勿論だけど、翔太くんも、私達のようにあの頃の記憶が無かったとしたら、沖田さんのことを話してもきっと、分からないはず…。
「あ、あのね……じつは…」
私は、翔太くんに今までの経緯を簡潔に説明すると、翔太くんは沖田さんを見つめたまま静かに口を開いた。
「そうだったのか…なんか、すみません。こいつが迷惑かけちゃって…」
「いえ、良かった…無事に会えて」
沖田さんはそう言って、柔和に微笑んだ。
私は、翔太くんと裕香にほんの少しだけ彼と話す時間を貰い、お互いの住んでいる場所と、学校を簡潔に教え合った。
どうやら沖田さんは、横浜の東條学園という高校に通っているらしい。
「沖田!まだここにいたのかよ~」
「あ、悪い!」
今度は、反対方向から沖田さんの友達が、彼を探しに戻って来たのを確認すると、私達は、苦笑しながらお互いに今後の日程などを伝え合って、会えたらまた京都にいるうちに会おうという約束をしたのだった。
「もしかしたら、明日、清水寺あたりで会えるかもしれませんね」
「はい…」
「もしも、会えなくても…いつか学校へ会いに行きます」
「早くもナンパか、沖田?」
「違うって……それじゃまた」
そう言って、顔を赤くしながら友達と去っていく彼の背中を見送ると、疑惑の目で見つめる裕香と目が合って、キマヅイ雰囲気が流れた。
「ちょっと、○○……さっきのイケメン、どこの誰?」
「え?」
「本当はナンパされてたんでしょう?」
「違うってば…」
「じゃ、逆ナン?」
「……それも違うってば…」
裕香と会話しながらふと、翔太くんの方を見ると、彼は沖田さんが去った方を見つめたままだった。
「どうしたの、翔太くん?」
「いや、さっきの奴…どっかで見たことある気が……」
「えっ…」
「気のせいか……知ってるはず無いもんな」
いつか、彼には沖田さんのことを話す時が来ると思うけれど、私は頭の中を整理しながら、とりあえずみんなの集まる場所へ急ぐことにしたのだった。
この現代に、あの沖田総司の生まれ変わりがいた…。
そして、私を探してくれていた。
(……沖田さん…)
私は、薄らと甦った沖田さんとの尊い時間を思い出しながら、彼と出逢えたことを神様に感謝し、これからの二人の未来を思い描いて、思わず顔を綻ばせた。
奪われた二人の時間を取り戻したい…。
そう、思っていた。
<花end後 第2話 へつづく>
~あとがき~
うはぁ…書いてしまったぁ…。沖田さんの花エンド後のお話
以前、ある作者様の、沖田さん花エンド後のお話がとっても素敵だったので、あんなふうに素敵に書けたらいいなぁ~なんて、思いながら書いてみました
なんか、花エンドの最終回は保存してあったので、読み返してみたんですが、なにやら、中途半端に二人が記憶を取り戻してて……。とっても、難しかったです。・゚・(ノε`)・゚・。
だって、まだ二人は記憶を取り戻していないようなのに、ラストで沖田さんが「○○さん」って、主人公の名前を読んじゃうんだもん それに、「彼は沖田さんの生まれ変わりだった」って、言ってたから、昔の記憶を少しずつ思い出して行くのかな?みたいな…。だから、断片的に記憶を取り戻していくってかたちにしてしまいましたぁ
龍馬さんの次に大好きな沖田さんとの、現代の恋話。
これから、どうなるやら…
以前、アンケートを取らせて頂いた、好きな旦那はんとの東京デート!
皆さんから教えていただいたのが、もう、役立ちそうです
今回も、駄文を読んで下さってありがとうございました