<艶が~る、二次小説>
私なりの沖田さん花エンド後も、12話目になりました
※沖田さんを攻略されていない方や、花エンドを攻略されていない方には、ネタバレになりますので、ご注意ください!
現代版ですし、私の勝手な妄想ではありますが…よかったらまた読んでやってください
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【沖田総司~花end後~】第12話
日野宿本陣での初めてのデートから、約一月半。
あれから、出来るだけ週末にお互いの街を行き来し、会えない日にはメールや電話で寂しさを埋める日々を送り。学校では、祥子や翔太くんと幕末時代でのことや、沖田さんとのことを話しながら過ごしていた。
お互いの距離は思っていたよりも遠く、家から一時間半くらいかかってしまう為、二人でいる時間は沢山あるようでじつは限られている。
そんな中、二日後に迫ったクリスマスイヴが丁度振替休日だった為、その日を一緒に過ごそうということになり、どこでどんな風に過ごそうかを話し合った結果、天皇誕生日と振替休日を利用してお互いの家を行き来するということになったのだった。
本当は、ディズニーランドとか、来年の春休みを利用して行こう予定していた京都へ行きたいところだったのだけれど、沖田さんのご両親とも会ってみたかった私は、その日が来るのを待ち遠しく思っていた。
そして、一番の楽しみは、沖田さんの家に泊まるということ。
誰かの家に泊まることは、ここ数年無かったことで。しかも眠るまでの間、大好きな人と一緒にいられるということが、いろんな意味で私の胸をドキドキと高鳴らせた。
そもそも、そこまでは考えていなかったのだけれど、お互いの両親の理解も得たうえで、日帰りを繰り返すよりもその方が良いだろうということになり、とても楽しみな反面、どうしても考えてしまうことは…。
~♪
(……っ…)
沖田さんからの返信メールを受け取り、すぐに開く。
そこには、恋人同士なら当たり前なのだけれど、私への想いと明日のことが綴られていると共に、お隣さんから犬を預かることになったとも書かれてあり、
「うわぁ、すごい可愛い」
思わずそう言わずにはいられない程の可愛らしいヨークシャーテリアの写真が添付されていた。
「楽しみが…増えました…」
今の気持ちをを綴って返信し、もう一度明日持っていく物や着て行く服を確認しながら明日のことを想い描く。
(私にとっては、明日がクリスマスイヴ…っことになりそう…)
月と星が綺麗に瞬いているから、ホワイトクリスマスは期待出来なさそうだけれど、明日からの連休を大好きな人と過ごせることが、今年最大のクリスマスプレゼントだと思った。
・
・
・
───翌朝。
AM:9:23
家を出て、待ち合わせ場所である横浜駅を目指す。
(…プレゼント、気に入って貰えるかな…)
今更ながら、そんなことを気にしてしまう。
プレゼントはどんな物が良いのか悩みに悩んだ結果、やっぱり身につけて貰える物が良いと思い、春でも着られるベージュのニットカーディガンを用意していた。
そんな風に思いながら乗り継ぎを重ね、15分も早く待合わせ場所に着いてしまったというのに、
「沖田さん!」
「おはよう」
「おはよう…」
沖田さんは、既にもう改札口前で私を待っていてくれたのだった。
今日は、黒のボタンダウンシャツの下に白いシャツを重ね着し、日野宿でも持参していたマフラーで首元にアクセントをつけ、ベージュのストレートストレッチパンツと、黒のレザーレースアップブーツを格好良く着こなしている。
「お待たせしちゃいました?」
「いえ、今さっき来たとこです。やっぱり、早めに来て良かった」
「えっ」
「貴女のことだから、予定より早く来られると思って」
改札を出た私をいつもの物柔らかな微笑みと、爽やかな声が包み込む。
(さすが、沖田さんだ…)
「というか、じっとしていられなかっただけなんですけどね」
「じつは、私も…」
「じゃあ、行きましょうか」
「はいっ」
差し出された優しい腕にそっと寄り添い、まずは大きな荷物を駅内のロッカーに預け、最初の目的地である、みなとみらいへと向かう。
電車で行くことも考えたけれど、せっかくだから歩いて行こうということになり、海岸通りを歩きながら辿り着いた公園で二人、ベンチに腰掛けた。
そこで、私達はまたお互いの学校でのことや、友人達のこと。そして、高校生活最後の春休みを利用して行く京都旅行のこと。
高校を卒業後の進路のことも含め、話し出したら止まらなかった。
「以前も話しましたが、剣道の師範として是非という声を受けているので、資格を取ってそこに身をおくことになりそうです」
「それはいいですね!また、沖田さんの剣術を観ることが出来る…」
「○○さんも、やはりあの時代の経験を生かしていく方向で?」
「はい、私も同じように藍屋で経験した舞踊や三味線などを活かして行けたらと、思っています」
「太夫になれるほどの腕前だ。その経験を広めない手はない」
あの時代へタイムスリップしていなければ、きっと普通の企業に就職していただろう。翔太くんも、沖田さんと同じように、龍馬さんから教わった剣術や事柄などを広めて行きたいと言っていたし…。
無事に現代へ戻って来られたから言えることだけれど、あの時代での経験は私を強くし、ある意味厳しい現代を生きるうえで大きく活かされる事になるだろうと、思うのだった。
その後、私達は近くにあるデパート内にあるレストランでランチを済ませた後、沖田さんに誘われるままにビル街を歩いて行くと、
「あ、あそこだ」
「えっ?」
スマホと周りを交互に見やりながら、沖田さんが歩みを止めた。
「行きましょう」
「あ、はいっ」
手を引かれるままお店の中に入って行くと、すぐに沢山の宝石達に目を奪われ始める。
「これって、トロールビーズ…」
「いつだったか一緒に電車に乗っていた時、この広告CMが流れる度にじっくりと観ていたでしょう?それに好きなビーズを選べるということなので、これをクリスマスプレゼントにと、」
「……っ…」
「思って…」
少し照れながら言う沖田さんに、私は目を見開いて驚愕の視線を向けた。
トロールビーズとはデンマーク発のアクセサリーで、ブレスレットやペンダントのチャームを自分で選ぶことが出来ることから、今、女性の間で秘かに人気が出始めている。
確かに、車内で流れていた広告CMを観ていいなぁ…と、思ったことがあったけれど。そんな私の視線だけで感じ取って貰えていたなんて…。
「今日はブレスレットのチェーンと、チャーム一個くらいしか買えないと思いますが、将来を見越して考えれば…」
「え…」
(将来……)
「さ、選んで下さい」
「………」
ビーズと沖田さんを交互に見やり、私は小さく頷いた。
やがて、やって来た店員さんにブレスレットのチェーンと、選んだチャームをクリスマス仕様に包んで貰う為に手渡す。
「すみません、やはり一個しか買えなかった…」
「一個で十分です!」
私は、俯く沖田さんに微笑んだ。
まさか、欲しかったアクセサリーを大好きな沖田さんに買って貰えるなんて思っていなかったし、それに何より、私との将来をしっかりと考えていてくれたことが嬉しくて…。
「ありがとう、沖田さん…」
「今度こそ、貴女の好きな物をプレゼントすることが出来て良かった…」
あの頃同様、いつだって沖田さんは私のことを考えてくれて。
『あの、○○さん』
『何でしょう?』
『…何か、欲しい物はありませんか?』
『欲しい物?』
『はい』
沖田さんとの時間が欲しかった私には欲しい物なんて無かったから、その時は何も無いと告げたのだけれど…
それから、数か月後のある日。
手作りの投扇興の蝶をプレゼントして貰えて。
その時も、嬉し過ぎて…
「私はあの蝶だけで……だから、」
「あれは、前世の自分からの贈り物。これは、僕からのプレゼントです」
「…っ……」
目の前にいるのは、あの頃の沖田さんでもあるのだけれど、沖田総司くんというこの現代で生を受けた一人の男性でもある…。
「ありがとう……総司くん」
「えっ」
総司くん、と呟いた私に驚愕の眼が向けられる。
「お待たせしました」
「あ、はい」
沖田さんは戸惑いながらどんどん赤くなる顔を伏せるようにして、女性から小さい紙袋を受け取った。
「またのお越しをお待ちしております」
にこやかに微笑う女性に軽く会釈をして、ゆっくりとお店を後にすると沖田さんに寄り添いながらその顔を覗き込み、
「やっぱり、照れくさいですか?」
「沖田さん…と呼ばれ慣れているからなぁ」
「ふふ…」
また腕を組みながら微笑み合う。
こちらも急がずに、私達なりにゆっくりと変えていったらそれでいい。
そんな風に思いながら、また沖田さんに案内されるままみなとみらいの街を堪能した。
・
・
・
PM:17:24
夕日が沈み始めた頃、沖田さんの家へと辿り着いた。
沖田さんの家は、聞いていた以上に立派な二階建ての一軒家で、木の温もりに包まれた素敵な家に思わず感嘆の息を漏らす。
「素敵ですね…」
「気に入って貰えて良かった」
ドアを開ける沖田さんについて中へお邪魔すると、真っ先に駆け寄って来たヨークシャーテリアに迎え入れられた。
「きゃぁ…写真で見るより可愛い」
尻尾をはち切れんばかりに振り、沖田さんの膝に何度も飛びついている。
「好かれているんですね」
「もう、うちの犬だと言ってもいいくらいに…」
「名前は何て言うんですか?」
「ノアです」
「ワンッ」
苦笑しながらノアを抱き上げると、ノアも嬉しそうに沖田さんの胸に寄り添うように顔を埋めた。
「お帰り、いらっしゃい」
次いで、私達を出迎えてくれたのは沖田さんのお母さんだった。
「お邪魔します…」
「さ、どうぞ!」
「はいっ」
沖田さんに負けないくらいの優しい微笑みがとても素敵で、案内されるままに広いリビングへ向かうと、
「いらっしゃい」
ソファーの前に立ち、私を中へと誘うように声を掛けてくれたのは沖田さんのお父さんだった。これまた、沖田さんのような端整な顔立ちと爽やかな声に、私は緊張したまま挨拶を交わす。
「こんばんは…」
「遠いところを、ようこそ」
「いえ、こちらこそお世話になります」
「そんなに緊張せず、家だと思って寛いでね」
お父さんとの会話があまりにも堅苦しかったからだろうか、お母さんもまた気さくに声を掛けてくれる。
「もうじき、支度が出来るから」
「あ、私も手伝いましょうか」
「そう?なら、お願いしようかしら」
「はい!」
荷物をソファーの脇に置いて、お父さんの隣に腰掛ける沖田さんと微笑み合い、お母さんと一緒に少し離れたダイニングキッチンへ行くと、エプロンを借りて言いつけどおりに手伝い始める。
「何だか、初めて招いたのに手伝わせちゃってごめんなさいね」
「いえ、じっとしているより動いているほうが性に合っているので」
「それは、将来頼もしいわね」
「え?」
「ううん。じゃあ、そこにあるフルーツを適当に一口サイズに切って貰える?」
「分かりましたっ」
それからしばらくの間、女同士の会話をしながら準備を進め、そんなこんなで四角いテーブルの上には隙間が埋まるほどの御馳走が並んだ。
ノアも、テーブルの下に身を置いて目の前のドッグフードを美味しそうに食べ始めている。
それぞれ、私は沖田さんの隣に。お母さんはお父さんの隣に腰掛けると、早速お父さんによりシャンパンが開けられ、皆でグラスを傾け合って誰からともなくクリスマスの挨拶を交わし合った。
彼の家で過ごす初めての夜。
正確には、クリスマスイヴは明日なのだけれど…。
手料理を頂きながら、お互いの家族のことや小さい頃の思い出話。そして、沖田さんが苦笑する中、新選組ファンのご両親の話で盛り上がったりして、とても楽しい時間を過ごした。
この後のプレゼント交換も楽しみにしながら…。
私にとってまた一つ、特別な思い出が増えた瞬間だった。
~あとがき~
今頃、クリスマスネタになってしまいました
でもって、今回の沖田さんの私服は…↓こげな感じにベージュのマフラーを巻いて
今回は、少し大人っぽく描かせて頂きました
あの日野宿での「月を愛でる会」から、約二カ月を経て、二人のクリスマスも描いてみたくてまずは、沖田さんの家にお泊り。なので、みなとみらい辺りでデートを
でもって、次の日は東京デートをした後に主人公ちゃんの家にお泊りをするという展開で
本編でも書きましたが、本来ならきっとTDLとかTDSとかで一日を過ごすのが、学生らしいんだろうな?と、思いながらも、お互いの両親とも合わせておきたかったし、二人ならこういうクリスマスの夜もありかな?と、思って
少しずつ、お互いの名前を意識して呼び始める二人…。
クリスマスが終わったら、一気に年末年始を描き、高校生活最後の春休みには二人以外に、翔太くんと祥子も京都へ行くことに…。
そして、その京都で4人を待ち受けているのは…。
こちらも、まだまだ続いてしまいます
今回も遊びに来て下さってありがとうございました