<艶が~る、二次小説>


クリスマスの夜をお互いの家で過ごすようになった二人。先に沖田さんの家にお泊りすることになった主人公は、沖田の家族と共に一夜を楽しんだ。その後、二人は初めての夜を迎える…。


※沖田さんを攻略されていない方や、花エンドを攻略されていない方には、ネタバレになりますので、ご注意ください!


現代版ですし、私の勝手な妄想ではありますが…よかったらまた読んでやってくださいきらハート


※今回は、ちびっとだけですが艶なシーンがあります。沖田さんのイメージが壊れる可能性があるので、ご注意くださいあせる


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【沖田総司~花end後~】第13話



楽しいディナーの後は、本格的に淹れられたコーヒーと、クリスマスケーキを頂きながら和やかな時間を過ごした。


その間、ノアはずっと私と沖田さんの膝の上を行ったり来たりしながら嬉しそうに尻尾を振っていたかと思えば、沖田さんと私の間で気持ち良さそうに寝転がっていた。


でも、ノアの気持ちは良く分かる。


沖田さんの温もりは、安心感を与えてくれるから…。




PM:9:35


お客様だから、という理由で一番風呂を頂き、それぞれお風呂を済ませた後。


(…なんか、ドキドキする…)


私の荷物を持って歩く沖田さんの背中を追うように、いよいよあの部屋へと足を踏み入れた。


「お邪魔…しますぅ」


そこは、思っていた通り木の温もりが感じられ、勉強机とセミダブルくらいのベッドと、クローゼットが置かれているくらいのシンプルな部屋だった。


そして、ベッドの隣には私の分であろう布団が敷かれている。


(…なんか、意識してしまう…)


「ところで…」と、言いながらこちらを振り返った沖田さんを見やると、すぐに視線を逸らされ…


「勝手に布団を用意してしまったけれど…」

「あ、」

「良かったのかな…と、思って」


また少し熱を帯びたような視線を受けて、私はすぐに視線を逸らした。


「あの、ここで…」

「え?」

「眠るまでずっと沖田さんと話していたいから…ここで…」


照れながら上目づかいに見やると、沖田さんの柔和な笑顔と目が合う。


「…なら良かった」

「あの、そろそろプレゼント交換しませんか?」

「そうですね」


私の問いかけに一つ頷くと、沖田さんは私にここで少し待つように言って部屋を後にした。


「ふぅ…」


(…付き合ってるんだから、当たり前なのに…)


変に意識してしまう自分に苦笑しながら、改めて部屋の中を見回してみる。


勉強机には、難しそうな参考書や沢山のノートが綺麗に整列されていて、その脇には高校生男子なら一冊は持っているであろう週刊誌などもあった。


(…そりゃあ、そうだよね。現代に生まれ育ったんだもん…)


独り納得していると、「お待たせしました」と、言って先ほどの小さな紙袋を持って沖田さんが戻って来た。


「良ければそこで…」

「じゃあ…」


ベッドに二人腰掛けて、お互いのプレゼントを交換し合う。


「メリークリスマス」


まず、沖田さんはブレスレットを私の手首につけてくれた。


「改めて…ありがとう」


少し大人っぽい印象を受けるブレスレットだけど、いつかこれが似合う女性になって…いつの日か。そんな想いを抱きながら、手首を少し掲げてみる。


次いで、私からのプレゼントを嬉しそうに開け始める沖田さんを見つめた。


「気に入って貰えるといいんだけど…」

「とてもあったかそうだ…」


プレゼントしたニットカーディガンを羽織り、「似合いますか?」と、微笑む沖田さんに小さく頷いて微笑み返す。


「はい…」

「ありがとう…。早速、明日これを着て行きます」


またお互いに微笑み合い、この日を迎えるまでのことなどを話した。


プレゼントは何にしよう?とか、どこへ連れて行こう?とか。そして、早くも年末年始のお互いの状況なども伝え合った結果、お互いに三が日以降は親戚まわりがある為、逆に年明け早々に初詣へ行こうということになった。


「その時も楽しみだ」

「ですね…」

「この幸せが…ずっと続くように。いつも、そう願わずにはいられない」


沖田さんは、薄らと微笑みながらも伏し目がちに呟いた。


お互いにあの頃の記憶を徐々に思い出して行く度に、否応無しに心の葛藤を強いられてしまう。特に、辛い記憶も多いだろう沖田さんのことを想うと居た堪れなくなり…


「大丈夫…」


その視線の先にある大きな手に、手の平を重ね合わせるようにして包み込んだ。



艶が~る幕末志士伝 ~もう一つの艶物語~



「これからもずっと、一緒だって言いましたよね」

「…………」


少し躊躇いの色を浮かべながらも、私達はゆっくりとお互いの距離を埋めてゆき。指を絡めたまま、お互いの息遣いを間近で感じ合う。


(…っ……)


微かな吐息が頬を擽り、やがてぎこちないながらもその端整な唇を受け止めた。


総司くんとの初めてのキス。

けれど、やっぱりそれはあの頃の優しい口付けと同じで…。


そっと離された唇から想いを囁き合う。


「…好きだ」

「……好き…」


総司くんの手を包み込んでいた私の手は、逆にその大きな手に包み込まれ。指を絡め取られると同時に今度はより深いキスを受け入れた。


「…んっ…」


自然と漏れ出した自分の吐息を耳にして、恥ずかしさでいっぱいになりながらもその想いを受け止めようと、もう片方の手を総司くんの胸元に添えてみる。


と、次の瞬間。


唇はそのままに手を離されて間もなく、肩と腰を支えられながらゆっくりとベッドへ倒されていく感じを覚え…


(…っ……)


そんな急展開に心臓がこれ以上無いほど高鳴り出して、どうしていいか分からないまま必死に総司くんのニットカーディガンを掴みながら、唇から零れる吐息を我慢出来ずにいた。


震える唇。


どこへやったらいいか分からない指先。


やがて、そっと唇が離れていき、


「…手が……」

「えっ…」

「……震えて…」


困った様に微笑う総司くんの息遣いが、私の前髪をふわりと揺らす。それでも、再び温もりを分け合おうと、お互いに手を伸ばし合った…。


あの頃、叶えられなかったもう一つの想い。


言葉にはしなくても、欲するがままに指先を絡めお互いを求め合う。


「……っ…」


そして、再び受け止めた端整な唇が次第にゆっくりと私の首筋へ滑っていき、肩越しに添えられていた大きな手が熱を帯びたまま胸元へと流れ、優しく包み込まれるような感触に身を震わせたその時…


「ワンッ」


「えっ…」


ドアの向こうからノアの声がして一瞬、お互いの動きが止まった。


「ワンッ、ワゥ…」


ノアなりに気を使っているのだろうか、その声は抑えるように発せられている。


「…参ったなぁ…」

「ぷッ」


お互いに苦笑し合うと、総司くんは名残惜しげに体を離し、静かにドアを開けてノアを部屋の中に招き入れ、


「おいで、ノア」

「ワンッ」


次いで、ベッド脇を背に胡坐をかいて寄りかかりながらノアを腕の中に迎え入れた。


「本当に総司くんのこと好きなんだね」


ノアの頭を撫でながらそう言うと、総司くんは少し吃驚したように私を見上げ、やがて嬉しそうに瞳を細めた。


「そろそろ来るかもしれないとは思っていたんだけれど…」

「え?」

「いや、預かってから毎晩、僕の隣で眠りたがって」

「あはは、その気持ち分かるかも」


総司くんの楽しそうな笑顔を見つめながら、いつの間にか、『総司くん』と呼んでいる自分に気付く。そして、気兼ねせずに同等に話していることにも…。


「続き、出来そうもないな…」


困ったように笑う総司くんの腕の中で、うとうとし始めるノアを見つめながら、私もその逞しい腕に頬を寄せた。


「ズルいぞぉ、ノア。独り占めして…」


囁くように言うと、総司くんはノアの腰元に敷かれていた腕を起こさないようにゆっくりと引き抜き、私の肩を優しく抱きしめてくれる。


「寒くないですか?」

「全然…」


沖田さんに恋をして、尽くしていたあの頃の想いを大事にしながら、総司くんを愛し続けたい。


ゆっくりでいい、私達らしく。


これからの二人の未来を思い描きながら、私は時許す限り総司くんの肩に寄り添っていた。




【第14話へ続く】




~あとがき~


いつも、この「花エンド後」の次にUPする「十六夜の月」で、沖田さんとの初夜を描くことになっているのに、こちらでもある意味、初めての夜を書くことになってた汗


こちらの二人は、まだまだ焦らし作戦で行かせて頂きますですあせるもう、「あの犬が邪魔に入るのではないか?」と、思っていた方もいたかもしれまへんが(笑)


その、まさかどした( ̄▽+ ̄*)

あの頃の沖田さんを描きながらも、総司くんとして意識していく彼女の変化とか…ちゃんと描けているだろうか??あせる


次回は、彼女の家に沖田さんが招かれる番ドキドキ

どないなるやら( ´艸`)


今回も遊びに来て下さってありがとうございましたきらハート