都政新報記事より(左をクリックしてください。)
前回のこのブログのシリーズの続きです。
プロとしての誇りを持つ
敵は優しい顔して近づいて来る
これから皆さんは様々な上司に出会うと思います。しかし、「叱らない上司」には注意が必要です。その理由は、その中に「皆さんのことを全く思っていない人」がいるからです。好かれる上司を目指す「自己保身的な上司」を良い上司、「部下のために自己犠牲を払う覚悟を持って厳しく指導してくれる上司」を悪い上司と勘違いしてはなりません。見極めるポイントは、上司の視線が上司自身に向かっているかどうかです。パワハラと厳しい指導を混同し、自ら厳しい上司の指導から逃げてしまうとそのツケは将来自分自身が全部払うことになります。このような話をすると「古いタイプの公務員」「守旧派」のレッテルを貼られ、私も厳しい批判を受けます。しかしこれも自己保身ではなく自己犠牲こそ使命と信じ、あえてお話しています。敵は優しい顔をして近づいて来ます。
長谷川
上記は前回コメントしましたので、今回は以下について。
井の中の蛙になってはいけない
最近、地方公務員限定のネットワーク作りが盛んになっています。オンラインサロンまで登場しています。確かに「同業者」の動向を知る意味はあるのですが、公務員には同業者の動向以上に「住民の動向」を知ることが求められます。どの業界にも事情通はいます。しかし、意外にも本業には生かせず、それ自体が目的化して終わるケースが比較的多いように思います。それは、人は自由に使える時間に限りがあるからです。同業者とのネットワーク作りにばかり時間を割くと、それ以外の人々とのネットワーク作りが事実上できなくなります。
長谷川
これよくある話です。他の地方公共団体と勉強会を作って勉強をしている職員は船橋市役所にも他市の職員と交流している職員はいますが、下手すりゃ「異端児」扱いをする空気があるような気がします。
極めて不思議な空間ですね。それは、以下のような理由があってということではなくむしろ他市の職員と交わる術のない(チャンネルのない)事による妬みたいなもんでしょうかね(笑)。
私は良いことだと思いますけどね。
私は長年、国家公務員の新人研修で「公務員の基本」の科目を担当していますが、「公務員だけでつるんではいけない」と指導しています。以前、国家公務員限定ネットワークの存在が国民から厳しく批判されたこともありました。その是非はともかく、公務組織は本来的に同質性の高い集団であり、いくら交流を重ねても視野を広げるには限界があります。例えるならば、生簀で飼われた魚が海に逃げ出し、多くの魚に出会ったと満足していたら、そこはまだ湾の中たった。海にはどんな魚がいるか、海はどんなに広いかを最後まで気づけないという話です。
長谷川
これはその通りだと思いますね。下手すりゃ、愚痴り合いの会になってしまって、同病相憐れむって感じではないでしょうかね。(笑)。失礼ながら。
「海はどんなに広いかを最後まで気づけない」と筆者の先生は書いていますが、気付ける人もいますからね。気づいた段階で今度はさらに視野を広げるためのネットワークに加わればいいんですよね。
私が長年所属している人事院公務員研修所の研修は、民間企業からの参加者5割の官民合同研修です。肩書を外した「真の対話」を通じて国民の思いを正しく理解するためです。皆さんは、住民には日頃から十分接していると思うかも知れません。しかしそれは、公務員という肩書を背負った場面です。肩書を外した付き合いから多くの気づきが得られます。
長谷川
ま、そういうことですね。
公務員に限定した「閉ざされた対話」で「真の対話」をしたと勘違いしない。そのためには、公務員に限定せず、自分と属性が全く異なる人々にもネットワークを広げる努力が必要です。
長谷川
御意。という感じ。でもなかなかね。本当は私たちみたいな立場が、そういうマッチングのための動きをしなければいけないのかもしれませんね。
都民には、民間の方、高齢者、外国人など現職の公務員の中には存在しない人々が圧倒的多数なのですから。
長谷川
ということですね。
プロとして生きる
プロとは「自分が磨いた専門性で他者に貢献する人」です。言い訳をせずに努力し続ける人でもあります。肩の力を抜くことも時には大事です。しかし、粘り強く学び続ける努力無しにプロにはなれません。公務員は公務のプロでなければならないこと言うまでもありません。学び続けることはプロであり続けるために最低限求められる条件とさえ言えます。
長谷川
そういうこと。役所に入ることが目標で入ってしまえばそれで目標達成。あとは定年まで大過なく過ごしていくことっていう職員も少なくはありませんが、多くの職員諸氏は、一生懸命「奉職」してくれていますね。
プロにはその職業から派生する「職業倫理」が求められます。どの職業にもこの「職業倫理」は存在します。公務員に求められる職業倫理とは何かを常に考え続け、自分の行動規範にすることが求められます。前回お話したように、公務員には高い人権意識、高い倫理観が求められます。公務員である以上、人権侵害に当たる可能性がある言動は厳に慎むことが求められます。
長谷川
もうまさに御意!!という感じ。頑張っていただきたいものです。
その理由は、公務員とはそれだけ大きな使命を背負った尊い職業だからです。「高い誇りを持って都民に貢献するプロ」を目指してください。
都民の一人として、皆さんにエールを送りたいと思います。頑張ってください。
(人事院公務員研修所客員教授 高嶋直人)