一から学ぶ東洋医学 No.49 蔵象(13) 気機の相互関係 | 春月の『ちょこっと健康術』

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こんにちは ニコニコ

 

臓腑の相互関係について、前回は生理物質と陰陽のつながりでまとめましたけど、今回は気機でまとめることにしましょう。 

 

1 気機とは?

 

気の生理に書いたことのおさらいになりますが、気機とは、気の運動による機能活動のこと。 気は、生理的に絶えず動いていますからね。 で、その運動には、昇・降・出・入という四つの方向があります。

 

気機の昇と降、出と入は、その文字が示すとおり、それぞれ対立する関係にあります。 陰と陽の関係と同様で、互いに協調したり、行き過ぎないよう抑制したり、調節し合うことで、生理的に正常な気機を保っています。

 

臓腑には、たとえば肝の疏泄や脾の運化、肺の宣発・粛降など、それぞれに特徴的な気機があります。 これらがうまくかみ合って働くからこそ、人体の生理機能が発揮されるのです。

 

2 臓腑の気機

 

これまでに臓腑の生理作用として登場した気機を、昇降出入に分けて、一覧表にしました。 胆がリストされていないのは、胆汁の分泌は肝の疏泄によって行われ、胆気の気機と呼べるものがないから。

 

では、臓腑の生理作用と合わせながら、気機についておさらいしていくことにしましょう。

 

 

(1) 

肝の生理作用は、疏泄と蔵血。

・ 疏泄は、肝の昇発と条達という生理特性によるものでしたね。 昇発は上昇と発散、条達は隅々にまで行きわたることですから、上向き・外向きの気機であり、昇と出です。 しかも、他臓の気機を補助する作用も持ち合わせています。

・ 蔵血は、血をたくわえることですが、血脈中のことなので、昇降出入は関係しません。 血が漏れないようにするのは、脾の統血ですからね。

 

(2) 

心の生理作用は、主血と主神志。

・ 主血は、血脈中のことですから、昇降出入はありません。 ただ、心陽は上昇しやすい性質を持っているので、〈 〉書きでに入れておきました。

・ 主神志は、蔵神とも言いますが、気機の影響を受ける側ですね。

 

(3) 小腸

小腸の生理作用は、受盛と化物、清濁の泌別。

・ 受盛は受け入れることですが、受け入れることは入ることではありませんし、化物は消化することで、いずれも昇降出入は関係しません。

・ 清濁の泌別には、分けた糟粕を大腸へ降ろす機能も含まれるため、〈 〉書きでに入れましたが、小腸・大腸間のことなので、後述する気機の相互関係には入れていません。

 

(4) 

脾の生理作用は、運化と統血。

・ 運化は、飲食物を消化して水穀の精微を吸収し、上焦へ運ぶこと。 昇清という生理特性のなせるワザですから、となります。

・ 統血は、血を血脈から漏れ出ないようにすることで、脾気の固摂によるものですから、です。

 

(5) 

胃の生理作用は、受納と腐熟。 生理特性として降濁。

・ 受納と腐熟は、飲食物を受け入れて消化すること。 小腸の受盛・化物と同様で、昇降出入は関係しません。

・ 胃には降濁という生理特性があり、脾の昇清とバランスを取っています。 これが胃気の気機となり、となります。 

 

(6) 

肺の生理作用は、宣発・粛降と主気。

・ 宣発は、宣布発散であり、の気機。 粛降は、清粛下降であり、の気機です。 粛降には、他臓の気機を補助する作用があります。

・ 主気は、宣発と粛降によって行われるものです。

 

(7) 大腸

大腸の生理作用は、伝化。

・ 伝化は、糟粕を便に変えて、胃の降濁や肺の粛降の補助を受けながらも、排泄することであり、になります。

 

(8) 

腎の生理作用は、蔵精、納気と主水。

・ 蔵精は、精を漏らさないように貯蔵することであり、腎気の固摂(封蔵)によるです。 

・ 納気は、肺が吸気した天の清気を納めることで、となります。

・ 主水は、津液代謝の調節です。 膀胱に尿を溜めたり、排尿させたりするのは、腎の気化機能とも言われるので、にリストしました。 また、再利用する津液を肺に戻すのも、腎気(腎陽)の気化ですから、〈 〉書きですが、にも入れておきました。 表には書いてませんが、尿が漏れないようにする固摂(封蔵)はですね。

 

(9) 膀胱

膀胱の生理作用は、貯尿と排尿。

・ 貯尿と排尿は、まとめて膀胱の気化機能とされていることもあるので、腎の場合と同様に、としています。

 

3 気機の相互関係

 

(1) 昇と降

 

 

の気機は、疏泄を中心に、宣発と昇清(運化)。 疏泄は、宣発と運化を補助しています。

の気機は、粛降を中心に、降濁と伝化。 粛降は降濁と伝化を、降濁は伝化を補助しています。

 

昇降は、↓以下の組み合わせで、互いに抑制し合い、バランスを取るように働いています。

・ 宣発と粛降

・ 疏泄と粛降

・ 昇清と降濁

 

宣発・疏泄と粛降の調節は全身に及びますが、昇清と降濁は、水穀の消化・吸収における昇降調節で、中焦に留まるので、点線で囲ってあります。

 

(2) 出と入

 

 

の気機は、宣発、疏泄、腎や膀胱の気化。

の気機は、粛降、統血、蔵精・納気・主水における封蔵。 

 

出入は、↓以下の組み合わせで、互いに抑制し合い、バランスを取るように働いています。

・ 宣発と粛降

・ 疏泄と腎の封蔵(蔵精・納気・主水)

・ 腎の封蔵と膀胱の気化(または腎の気化)

 

こうして見てくると、東洋医学で呼吸を重視するのは、肺の宣発と粛降が、気機の昇降出入すべてに関わっているからだとわかりますね。 呼吸そのものが出入ですし。 さらに、丹田呼吸が推奨されるのは、腎の納気を働かせるためなんです。

 

一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。

 

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