安産と冷え解消のお灸 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


昨日は、久々に若いお客様がいらっしゃいました。うちみたいに、住宅地にある施術院に来られる方は、30~50代の働くお母さんが中心で、ときどきご主人やご両親がいらしたり、たまに息子さんや娘さんがいらしたりです。独身の方もいらっしゃいますが、意外と少ない。


昨日いらした方は、20代後半。臨月のおなかをかかえてのご来院で、ご希望は安産のお灸。若い方で、これをリクエストされるのは、とってもめずらしい。マタニティ・リフレクソロジー を受けられる方のほうが、圧倒的に多いですから。お母さんかお祖母ちゃんが、関西方面のご出身なのかもしれません。


安産のツボは、「婦人の三里」とも言われる三陰交 (さんいんこう)です。妊娠6ヶ月くらいから、ここへ毎日3壮ほどすえるとよいとされています。「壮」は、お灸を数える単位。


産婦人科医で、鍼灸学校の校長もされていた故・石野信安先生が、3年以上にわたる臨床研究の結果、「三陰交へのお灸が、妊娠中の母体と胎児に、優れた効果を発揮する」と、学会で発表されたのは、昭和20年代のこと。以来、安産の灸として、三陰交への施灸が定着しました。


三陰交への施灸の利点は、ひとつには、分娩時間が短く、出血量が少なくてすむことから、お産がラクになり、産後の回復が早いこと。もうひとつは、生まれてくる赤ちゃんの胃腸が丈夫になること。


お灸も、鍼と同様に、体質や病状に合わせて、受療される方ごとに、ツボの選び方とか、お灸のすえ方・形・壮数を変えるのが通常ですが、安産の灸は、養生灸ですから、誰でも同じように行なってよいものなんです。


養生灸で、昔からもっともよく行なわれているのが、足三里 (あしさんり)へのお灸。健胃・健脚、健康増進に使われてきました。


お灸のすえ方については、東洋医学講座No.80 でご紹介していますが、安産の灸では、半米粒大あるいは糸状にひねった艾(もぐさ)を使います。ひねった艾を「艾しゅ(がいしゅ)」といいます。


まず、上質な艾をほんのちょっぴり、↓これくらい、手に取ります。片脚に3壮なので、これで十分足りちゃいます。


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↑これを、人差し指と親指の間に軽く挟んで、転がすようにして、細くひねります。艾しゅが硬くならないように、力まず、かる~く転がすのがコツ。艾しゅが硬くなってしまうと、燃焼温度が高くなっちゃいますからね。


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↑こんなふうに指先にできた艾しゅを、3~4mmの長さにつまみとって、ツボに乗せます。


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↑これは、艾しゅの大きさを見ていただくために、指に乗せてますが、安産の灸では、もちろん三陰交のツボですよ。艾しゅの先っぽに、お線香で火をつけ、根元まで燃やします。チリッという熱さを感じますが、ほんの一瞬ですから。


この方法、体質によっては、お灸をすえたところに、水疱ができることがあります。そのときは、水疱が治るまで、3~4日の間、お灸を休みましょう。かさぶたができたときは、かさぶたの上から施灸します。


やり始めたばかりのうちは、ほんの一瞬でも、けっこう熱く感じるかもしれません。が、じきに慣れて、熱さを感じなくなるはず。そして、おなかの赤ちゃんも、気持ち良さそうに動くはず。


昨日いらしたお客様にも、この艾のひねり方、お線香を使った火のつけ方、三陰交のツボの取り方をご指導させていただき、艾とお線香をお持ち帰りいただきました。そう、これから毎日、ご自分でやっていただくため。だって、毎日のように来ていただくのは大変だもの。


まだ20代という若いママさんですが、実は今回で3人目とのこと。1人目のときに、逆子治療を受けたご経験があって、そのせいか、とっても安産だったんですって。逆子のツボは至陰 (しいん)ですけど、治療の際には三陰交も使いますからね。


で、2人目のときに、逆子にはならなかったけれど、分娩にちょっとだけ時間がかかったことを思い出して、今回、お灸することを思い立ったんだそうです。すでに臨月ですけど、きっと良い結果になると思いますよ。気になるような冷えもなかったし。


三陰交への施灸は、30分もすると全身の血流がよくなって、からだ全体が温まってくるのがわかります。これが最大のポイント。そう、血流改善。健康のためには、だいじなことですね。ということは、もちろん冷え改善にもいいんです。


妊婦さんはもちろん、冷えでお悩みの方、月経不順や月経痛でお困りの方、ぜひ試してみてくださいね。ただし、妊娠初期の方は、流産のリスクがあるので、やっちゃダメですよ。


この週末にもやってきた妊娠6ヶ月の姪っ子にも、もちろんしましたよ。一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。


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