おはようございます
トランス脂肪酸(trans fat、trans-unsaturated fatty acids、TFA) の過剰摂取は、子宮内膜症の発症リスクを高める だけじゃなく、うつ病のリスクも高める ことは、以前お届けしたとおりです。でもって、日本人女性30~40代の3割はトランス脂肪酸の摂り過ぎ 傾向にあるってこともね。
そのトランス脂肪酸って何なのか?については、Vanillaさんの「健康油シリーズ」 にありますから、そちらを読んでいただけばいいんだけど、簡単にいうと、酸化しやすい植物油を酸化しにくくするために、水素を人工的にくっつけた油ね。
じゃぁ、そもそも脂肪酸って何なの? それを説明するには、まず脂質が何であるか説明しないとね。脂質には、単純脂質、複合脂質、誘導脂質があります。
単純脂質は、皆様ご存じの中性脂肪で、脂肪酸とグリセリンが結合した構造をしています。一般に「脂肪」と呼ばれるのは、これです。皮下や腹腔に蓄えられて、必要に応じてエネルギー源として使われるほか、熱伝導率が低いために、体温保持の役割も担っております。
複合脂質は、リン脂質とか糖脂質のこと。単純脂質の一部に、リン酸や糖質、塩基なんかが結合しています。タンパク質と結合して、細胞膜や脳の神経組織を形づくります。
誘導脂質は、ステロール類で、そのほとんどはコレステロールです。細胞膜、性ホルモン、副腎皮質ホルモン、胆汁酸、ビタミンD前駆体、血液中のリポタンパク質などの材料になります。「コレステロールが不足すると」 も、ご参考に。
脂質を構成する中心的な物質が、脂肪酸ってこと。脂肪酸を構造的な違いで分けると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に、体内で合成できるかどうかで分けると、必須脂肪酸と非必須脂肪酸になるんだけど、詳しくは明日お届けしますね。
つまり、脂肪酸は、私たちのからだの中も含めて、自然に存在するもので、酸化するし、分解されやすい。一方、トランス脂肪酸は、酸化しにくく加工されてるので、日持ちするけど、その分、体内でも代謝しにくいんです。
それでね、今回の報告は、月経前症候群(PMS)の症状、気分のイライラとかウツウツ、下腹部や乳房のはりや痛みなんかの改善に、不飽和脂肪酸が役立つって話。
実験が行われたのはブラジルで、参加したのは、月経前症候群と月経前不快気分障害を訴えるが、それ以外の病気や症状のない16~49歳の女性120人。23症状について、0~3点で評価する質問票を使って調べたもの(Reproductive Health; 8,2,2011 )。調査期間は2004年6月~2008年1月。
① 不飽和脂肪酸のカプセルを2g飲む
② 不飽和脂肪酸のカプセルを1gと偽薬1gを飲む
③ 偽薬を2g飲む
という3グループに分けて実験を行った結果、実験前には90点以上だったのが、
*3ヶ月後には、①は48点、②は58点、③は大きな変化なし
*6ヶ月後には、①は28点、②は35点、③はやっぱり大きな変化なし
*しかも、コレステロール値は増加しない
となりました。
すご~い。半年で評価点が、2gグループは4分の1、1gグループでも3分の1になってますね。この手の実験調査の結果としては、かなり良い結果が出ています。もっとも評価点のつけ方が0~3の4段階なので、ちょっと大雑把かなぁ~とも思いますけど。できれば0~9くらいでやってほしかった。
実験に使われた不飽和脂肪酸カプセル1gの内容は、γリノレン酸210mg、オレイン酸175mg、リノール酸345mg、その他の多価不飽和脂肪酸250mgに、ビタミンE20mgを加えたもの。
月経前症候群は、プロスタグランジンというホルモン様生理活性物質の不足が原因のひとつと言われていて、不飽和脂肪酸は、プロスタグランジンの原料にもなるため、その不足を補うことで、症状が改善されたのではないかと、レポートは結ばれております。
肉食の多いブラジルでの実験ですから、栄養事情の異なる日本へ、カプセル内容量とか、そのまま持ち込むのは問題ですけど、不飽和脂肪酸摂取が、体内のバランスをととのえるには良さそうってことはわかりますね。
一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。
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