日本の鍼は中国の鍼と違うの? | 春月の『ちょこっと健康術』

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鍼やりたい? ブログネタ:鍼やりたい? 参加中


こんなブログネタ、鍼灸師としては見逃せません。「つながり」をザザ~ッと拝見しました。経験のない方々の中で、興味を示してくださる方が予想以上に多くて、うれしかったー。


韓流ドラマの『チャングム』や『イ・ジェマ』に出てきた鍼(はり)は、かなり太くて痛そうでしたから、あのイメージでとらえられると、鍼というだけで嫌われちゃうかなぁ…と思ってました。


鍼灸施術の「あいうえお」 や東洋医学講座No.80 でご紹介したように、今の日本で使われる鍼は、もっとずっと細くてなめらか。そりゃぁ、刺し所によってはチクッとすることもありますけど、注射針みたいな痛みはないんです。コリがひどければ、ズーンとくる鈍い痛みはあるかもしれませんけど。


ただし、中国鍼で治療される鍼灸師さんの中には、刺した鍼を上下動させたり回したりして、痛みを感じさせることもあります。「痛くない鍼は効かない」とまでおっしゃる方もいらっしゃいますから。


日本の鍼灸には、鍼を使っても当てるだけで刺さないもの、表皮だけに刺すもの、皮下にまで刺しても細い鍼しか使わないもの、筋肉に刺して低周波通電するものなど、さまざまあります。


一般に、経絡治療と称しているところは、細い鍼で浅く刺す。中医学では、太めの鍼で深めに刺す。現代鍼灸では、鍼通電を多用する。という感じですが、使う鍼も刺す深さも、鍼灸師ごとに違うと言ってもいいくらいです。中医学でも、日本鍼で施術される方もいらっしゃいますから。


日本鍼と中国鍼って、違うんですよ。まず、太さ。同じものもありますが、概して中国鍼のほうが太いです。どのくらい違うかというと、↓表のとおり。


春月の『ちょこっと健康術』-鍼の太さ


太さは直径で、単位はmmです。日本鍼には0.31mm以上のものはなく、中国鍼には0.1mm~0.16mmなんて細いものはありません。


次に、形が違います。鍼の持つところを鍼柄(しんぺい)と言いますが、日本鍼の鍼柄は中国鍼の鍼柄よりも短いんです。↓写真の右側5本が日本鍼で、左側2本が中国鍼です。中国鍼の鍼柄は1.5倍近くあるでしょ?


春月の『ちょこっと健康術』-鍼


太さや形の違いは、鍼の打ち方の違いから来ていると考えられます。日本では、管鍼法(かんしんほう)と言って、筒状の鍼管の中に鍼を入れて打つ方法が定着しているのに対し、中国では鍼管を使わないからです。


管鍼法は↓これ。


春月の『ちょこっと健康術』-押し手


ディスポーザブル鍼は、↑こんな透明プラスチックの鍼管に入っています。それを利き手でないほうの手で皮膚に当てて、利き手の人差し指の先で鍼柄の頭を軽くトントンと叩いて、鍼先を打ちこみます。これだと、鍼が細くても簡単にできます。


中国鍼の場合は↓こちら。


春月の『ちょこっと健康術』-中国鍼


利き手の親指と人差し指で鍼柄を持って、他の3指を支点にして、鍼先を打ちこみます(利き手でないほうの親指を、鍼先に添えることもあります)。この方法だと、細い鍼はたわみやすくて、打ちこみにくい。だから、中国では細いものが発達しなかったのかもしれません。太いほうが刺激も強いので、そのためだと言われてますけどね。


ところが、最近の中国鍼には鍼管がついてるものが出てきています。↓写真の左側2本、中国鍼ですからね。


春月の『ちょこっと健康術』-鍼


ついでにご紹介しますけど、↑これらの鍼、ディスポーザブル(使い捨て)です。エチレンオキサイドガスで消毒され、↓のように1本ずつの梱包になっていて、衛生面、感染症の心配はありませんよ。


春月の『ちょこっと健康術』-鍼


私は、中国鍼も持ってますけど、お客様の施術には使いません。日本鍼を使って、鍼を打つ深さは、お客様の状態に合わせて、ごく浅くしたり深くしたり。単刺術(たんしじゅつ)と言って、刺してすぐ抜く方法をとることもあれば、置鍼術(ちしんじゅつ)と言って、刺したまま10~20分くらい置くこともあります。


肩こり・腰痛・膝痛のように、運動器系の症状緩和を求められることがほとんどなので、問診はしますが、舌診や脈診はしませんし、弁証も立てません。その点では現代鍼灸派ですが、低周波鍼通電はめったに使いませんし、頭の中では中医学であれこれ考えてます。


ちょっと目が疲れているので、「目と頭をスッキリさせるツボ」風池(ふうち)に鍼(はり)を打ってから、 「目の疲れにツボ押し」 でご紹介した攅竹(さんちく)と太陽(たいよう)、「全身に効くツボ」百会(ひゃくえ)に短い鍼を入れたまま、この記事の原稿を書きました。


こういうときは、自分が鍼灸師でよかったなぁ…なんて思ったりします。もちろん、自分で打つよりは、ほかの鍼灸師さんにやっていただくほうが、ず~~~っと心地いいですけどね。今度の休みには、受けに行こうっと。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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