おはようございます
東洋医学の診察法(四診)、16回にわたってお届けしました。日常の体調管理に使っていただけるような情報も、けっこう含まれていたかと思うんですけど、いかがかしら?
東洋医学の用語って漢字だらけで、どうも小難しい感じが否めませんね。でも、慣れてくると、その漢字が逆に中身をわかりやすくしてくれるんです。漢字は、「意味を持つ文字」ですから。どうか毛嫌いしないで、文字の意味をとらえて、イメージしてみてくださいね。私も、できるだけわかりやすく書くように努力します。
さて、今回から「経絡」に入ります。経絡については、一度「東洋エステに使われた経絡って何?」 で取り上げてますが、もう少し詳しくお伝えしていきますね。
経絡とは何か?
経絡は、経脈と絡脈を合わせたものです。
① 経脈
「経」には、「径」と同じで、「まっすぐな道」という意味があります。経脈は、からだを上下に流れる縦ラインで、いわば幹線道路のような役目を果たしています。図にすると、こんな↓感じ。
② 絡脈
「絡」には「網」という意味があります。経脈から分かれた枝が絡脈で、縦ラインの経脈を網の目のように結びます。バイパスや街路のような役目です。
③ 経絡のつながり
経絡には気血が流れていて、臓腑と四肢や関節を連絡して、からだのすべての機能を調節しています。経脈には、その中心となる十二経脈、そのほかに奇経八脈、十二経別、十二経筋、十二皮部があります。絡脈には、その中心である十五絡と、孫絡、浮絡があります。
経絡の作用
① 気血を運行し、陰陽の調和をはかる
からだが正常に機能するのも、からだ中をめぐる経絡があって、その中を気血が順調にめぐっているからです。それによって、からだの内と外、上と下、左と右、前と後ろ、臓と腑などの間で、相対的なバランスと協調、すなわち陰陽の調和が保たれるしくみになっています。
② 外邪 の侵入を防御する
免疫系の働きをする衛気 は、絡脈の中に集まって、肌を温め、皮膚を潤し、汗腺をコントロールして、外邪の侵入を防ぎます。この働きが弱くなると、外邪が容易に体内に入ってきて、悪さをします。
③ 病邪を送り、病状を反映する
衛気が弱って外邪が入ると、経絡を通って、体表面(表)から臓腑(裏)へと移っていきます。また、臓腑に何らかの病変があると、その臓腑と関連する経絡を通って、体表面に症状が表われます。たとえば、肺の病変 は鼻に、肝の病変 は目に、 腎の病変 は耳に、それぞれ症状となって出てきます。
④ 鍼灸の刺激を伝え、臓腑の調和をはかる
鍼灸治療では、経絡を使って、その刺激を臓腑に伝えます。したがって、たとえば脾の治療には、脾へ連絡する経絡にあるツボを使うのです。
臨床における経絡の使い方
① 経穴による診察
経絡にあるツボを経穴といいますが、臓腑の病変が経絡に表われるのですから、その経絡上にある経穴を診察することで、どの臓腑に問題があるのかを診断することができます。按診 には含めませんでしたが、経絡の切診(触診)を切経(せっけい)といいます。
② 経絡による弁証論治
経絡から得られる情報で診断して、その経絡を使って治療をすることを経絡弁証といいます。「漢方の四気・五味・帰経と食養生」 でお届けした漢方の帰経は、まさにこの理論を使うもの。鍼灸でも同様に、臓腑と経絡とを結びつけて、治療を行います。
次回は、経脈の流れについて、もう少し詳しくご紹介します。一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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