(1)隠れた名曲アルバム
オフコースには名曲がたくさんある。
といっても売れている曲ばかりではない。誰も知らないような曲でも心の琴線に触れるような曲、スケールを感じる曲など「好きな人は好き」というバンドなのだろうと思う。
今の季節、春で言えば「僕の贈り物」という歌がある。
「冬と夏の間に春を置きました だから春は少しだけ中途半端なのです」という歌い出しで始まる。
「この頃は何となく心楽しくて 知らないうちに誰かを好きになったりします それでも好きな人が出来なかった人の為に この歌は僕からあなたへの贈り物です」という歌詞。
今思ったが、「枕草子」の「春はあけぼの」に似た、それが恋バナ的な心の動きに思う。
ファンというのはどこか共通点がある。
数ある歌には救われた経験がある人も多い。やはりオフコースは名曲アルバムだ、とファンの私は勝手に思っている。
(2)今でも使われる「言葉にできない」
オフコースの曲で知っていると言えば「さよなら」が有名だろうが、CMで流れた「言葉にできない」という曲も馴染みがある人は多いと思う。
「あなたに会えて本当に良かった 嬉しくて嬉しくて言葉にできない」というフレーズ。直線的で、かつ今でも響く言葉であろう。
この曲は「終わるはずのない愛が途絶えた 命尽きて行くように」という歌い出しから始まる別れの曲である。
愛に満ちた日々。それは永遠に続くことを望む幸福の時である。自分も相手もそれを望んである。終わるはずがないと思う。
しかし時の流れは隙間風が吹く時もあり、あんなに好きだったのに終わってしまう。心が騒いでいる。いくら必死に否定しても現実は自分の思い通りではない。
愛した人との別れが嬉しいなんてことは無い。出会いがあれば別れがある、というありきたりなフレーズで片づけられない心残りみたいなものを「あなたに会えてよかった」という言葉で納得させようとしている。
しかし歌詞には具体的なことは描かれていない。
それはその歌詞からそれぞれが自分に当てはめればよい。
やはり人と別れるのはどこかに嫌なことがあって、我慢できないから分かれるのである。だから「別れて清々した」となるのが普通だろう。しかし「別れて清々した」と言ってしまうと後々嫌な思いを引きづることも多い。自分自身に当てはめてみると、そういう経験が多い。
となると社交辞令としてでも「あなたに会えてよかった」と言う方が後腐れなくて良い。それを言うのは相当な勇気はいるが、ケンカ別れするよりは良いのだろう。
(3)オフコースは「OFF COURSE」?「OF COURSE」?
ところでオフコースの名は「OFF COURSE」である。勿論という意味の「OF COURSE」ではない。
というのも小田和正氏は東北大学や早稲田大学大学院で建築の研究をしていたが、建築には進まず音楽関係に進むという「コースを外れる」という意味で「OFF COURSE」とつけたとテレビで聞いたことがある。
しかしウィキペディアでは「“オフコース (OFF COURSE)”という名前はコンサートのためにいつも中心となって動く聖光野球部OBが作った草野球チームの名前が“勝ってof course”、“of course 勝つ”という意味で“OF COURSE”だったことから。コンサートを始めてなにか名前をつけるということで“調子っ外れ”とひっかけて“OFF COURSE (THE OFF? COURSE)”にしたという。」
まあ、いちファンとすればどちらでも良いが、こういうネタを披露することはあまりない。そりゃそうだ。