(1)ケアマネを顎で使いたい行政
このケース、体調不安を訴えた高齢者が役所に訪れ、その職員が居宅介護支援事業所に連絡して訪問する事を依頼したという事だと思われる。
そういう事はさもありなんと思わないでもない。
というのも地域によってはケアマネを探すのは困難だからだ。一般的に要介護認定が下りた後、役所は居宅介護支援事業所の一覧を渡して利用者が直接申し込むという形を取る。
しかし空きがあるかは分からないし、そんな事も話したのかもしれない。それであれば職員がおそらく知り合いであろう居宅介護支援事業所に直接連絡した、というのも分からないではないというように考える。
本来であれば圏域の地域包括支援センターに連絡するべきである。しかしそうしなかったのには何らかの理由がある。単純に職員の知識不足か、地域包括支援センターへの信頼が無かったか、それは分からないけど。
(2)行政と介護の立場の優劣
しかしこういう事例は大げさに言えば行政と民間の癒着と捉えられる可能性もある。
我が区でも、倒産した訪問介護サービス事業所の引き取りについて、役所が主導して他の事業所に引き継いだという例があった。
事業所にすれば、引き継いだ事業所は色々な軋轢はあろうが利用者とヘルパーが一気に増えることになる。それは不公平という事を当時話した覚えがある。
公平というものがどういうものかは解釈が分かれるものだが、利益につながるものはそういう反発があるものと考えた方が良い。
更にも市職員と居宅介護支援事業所が知り合いでなければ、訪問依頼を直接するという事は、職員は居宅介護支援事業所を顎で使っているともいえる。
というのも結果として介護サービスを使わないという事もありうるからだ。そうなった時、ケアマネの働きはタダ働きになる。そこまで理解した上で訪問を依頼したかは分からないが、その観点からしても、都合よく扱っているのではと思ってしまう事例である。
(3)謝罪するも
結果、個人情報漏洩という事で謝罪した云々あるが、利用者にしても大したことは無いとして不問に付すという事になったのだろうと思う。
役所にしてもこうしたことを有耶無耶にしなかったというアピールにもなる。
しかし問題の本質はそこでは無く、行政と民間の癒着か、介護の置かれている立場の弱さという事に着目しないとこれからの事も見えてこないだろうと思う。
