ホイヘンスの原理がもっとも強力に波動現象を説明したのは、反射・屈折の現象。
それまで、反射の法則、屈折の法則を説明できる理論はありませんでした。
ホイヘンスの原理は、前のプリントにもありますが、【波面から出た無数の素元波の共通接線(接面)が次の波面になる】というもの。
なぜ共通接線が波面になるのかという理屈は、当然のこと、述べられていません。
とはいえ、このホイヘンスの原理がどのくらい強力だったかは、実際に反射・屈折の法則の幾何学的な説明を見ればわかります。
では、そのプリントに。
反射の法則は、描き込みを待つまでもないと思います。入射角=反射角ですね。
それを、ホイヘンスの原理にしたがって素元波が生まれ、波面が進行するという発想で図を描き、幾何学的に調べると、反射角=入射角が、カンタンに証明できます。
この説明を講義でわざわざ説明するのはバカバカしいので、プリントに書きこんでいます。
さらに効力を発揮するのが、屈折の法則=スネルの法則です。
スネルは、光の屈折を実験的に調べ、入射角と屈折角の間に三角関数を用いた数学的な関係があることを、証明しました。
では、描き込みを見てみましょう。
色をつけた矢印などが、ホイヘンスの原理による図の描き方の順序をしめしたものです。
(1)波面ABのうち、まず波面に垂直に進む斜線BB’を確認。
(2)その長さを測り、Aを基点として、BB’と同じ半径の円(素元波)を描きます。
(3)同様に、もう少し後の波面A1B1の進行を考えると、A1からB1B’に等しい半径で素元波が半円を描きます。このように考えていくと、半径が少しずつ違う素元波の円が並び、その共通接線(接面)がA’B’と一直線に並ぶのがわかります。この共通接線が反射波の波面となります。
(4)その波面に垂直に射線を引いて、終了。
プリントに書いてあるように、幾何学的に二つの三角形が合同であることが証明できるので、そこから入射角=反射角が証明できます。
屈折の法則の証明に当たっては、証明そのものより、証明の過程で登場する波動現象の重要なポイントが重要です。
このポイントを押さえずに数学的な証明だけしても、何の役にも立ちません。教える側が意識しないといけない部分です。
歴史的には、スネルの法則として、まず、n12=sinΘ1/sinΘ2 が発見されるのですが、その原因はわかりませんでした。
それが、ホイヘンスの原理を用いることで、うまく証明できたのです。
3.が、その物理的な背景です。
これをおさえておかないと、屈折現象は理解できません。
【その1】屈折現象は、2つの媒質で波の速さが変わることによって起こる。
【その2】2つの媒質で、波の振動数は不変である。
この2つですね。
そもそも、屈折の法則は、n12=v1/v2 が、物理法則としての基本です。
それを、ホイヘンスの原理を用いて解釈すると、n12=sinΘ1/sinΘ2=λ1/λ2 となるのですね。
くわしい計算は、書き込みを見ていただくことにして、ここでは、物理的な条件を押さえておきたいと思います。
では、今回はこのへんで。
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