天使と悪魔 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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マンガ・イラスト&科学の世界へようこそ。

 

ひろじ「今度はまた、複雑な絵を描いているねえ」

さき「これはね、天使と悪魔なの」

ひろじ「天使と悪魔・・・なるほど。この、悪魔の足もとの温泉マークみたいなのは、何?

さき「これね、飛び上がったときのけむり」

ひろじ「あーっ! マンガの記号ね。モクモクってやつ。こういう描き方って、新鮮(しんせん)だな」

さき「お父さんも天使と悪魔の絵、描いたことある?」

ひろじ「どうだったかな・・・タロットカードの【悪魔】なら描いたことがあるけど」

 

 

ひろじ「この、エジソンさんの後ろにいるのが【悪魔】」

さき「ウシかヤギみたいね」

ひろじ「西洋では、悪魔をヤギみたいに描く伝統があるんだ」

さき「悪魔だから、悪いことするんでしょ」

ひろじ「ちょっと違う。西洋での悪魔は【悪いことをする】ものではなくて、【人間に悪いことをさせる】ものだ。つまり、【悪さをそそのかす】ものだよ。タロットカードでも、その伝統(でんとう)にのっとって、【悪魔】のカードはおもに【堕落(だらく)】【誘惑(ゆうわく)】を意味するカードになっている」

さき「へえ」

ひろじ「この話は、タロットのことをいろいろ調べるよりずっと前、お父さんが大学生だったとき、同じクラスにキリスト教を徹底的(てっていてき)に研究している人がいてね。その人から聞いた話だよ。あとで知ったタロットの解釈(かいしゃく)に一致(いっち)していたから、この解釈が正統的(せいとうてき)なものなんだろう」

さき「それが、なんでエジソンさんなの?」

ひろじ「まあ、いろいろあって、エジソンさんがふさわしいんじゃないかと、科学者タロットを作ったときに、ぼくとスギさんで決定したんだ。それは、また、別の記事にもしてあるから、そっちを見てね」(*1)

 

(*1)例えば【アインシュタイン度チェック4】のエジソンと電気イスに関する記事をご覧ください。

 

さき「ねえ、悪魔や天使を、こういうキャラデザじゃなくて、わたしみたいに美形キャラ化して描いたことはないの?」

ひろじ「う〜〜〜ん・・・なんでもかんでも美形キャラ化するのは、最近の流行だけど・・・ぼくはあまり・・・あ、でも、美形の精霊や怪物を描いたことはあるよ」

さき「それ、見せて!」

ひろじ「ええと、あ、これでいいかな? まず、精霊。前にオリジナルのテーブルトーク【グラナ】で使った【光の精霊】のカード」

 

 

さき「いいじゃん! キレイ!」

ひろじ「美形キャラの描き方とは違うけど・・・オトナの色気って感じで描いたよ」

さき「怪物は?」

ひろじ「同じゲームで、美形の怪物が出てくるんだけど・・・ちょっと色っぽすぎるから、どこかから、クレームこないかなァ・・・(おそるおそる、アップ)」

 

 

さき「うわあ、うつくし〜! あれ? なんで足が根みたいになっているの?」

ひろじ「これはね、同じ【グラナ】に登場する怪物【毒の眠りの手エキドナ】だよ。植物体で、土に根を張り、毒の花マンドラゴラを育てている。マンドラゴラは引き抜くと悲鳴を上げ、その声を聞いた人間は死んでしまうという伝説の怪物だ」

さき「あ、マンドラゴラって、知ってる! 黒魔女がでてくる本や、ユーチューブのコワイ話ので、読んだことある。オモシロイね。そのゲーム、わたしもやりたいな」

ひろじ「うーん、テーブルトークは参加者が数人必要だから、おうちの人だけだと、できないかな。また、べつの機会にね」

 

 

ひろじ「ところでさ、さきの絵の、天使と悪魔の輪郭(りんかく)のところで、炎とかケムリみたいに、もやもやしてるのは何?」

さき「なんとなくつけた、オーラ!」

ひろじ「え? さき、【オーラ】って言葉、知ってるんだ。なんだか知ってる?」

さき「ほら、アニメとかでよく見るよ。なんかねえ、生命力をあらわすものが体から出てるの」

ひろじ「へえ、ちゃんと知ってるんだね。そういえば、昔、オーラを写真に撮るってのが、流行(はや)ってたな。お父さんの大学時代の知りあいで、そんな写真を持ってきて、見せてくれた人がいるよ」

さき「そんなこと、できるの?」

 

ひろじ「オーラの写真はね、超常現象が好きな人たちの間では【キルリアン写真】といわれている。高周波高電圧をかけたときに生物体の表面に現れる青白い光を写真に撮ったもので、この青白い光が【オーラ】だというんだ」

さき「へえ、おもしろそう! もっと教えて!」

ひろじ「最初にこの現象に気づいたのは、物理学者のニコラ・テスラ、ほら、科学者タロットの【死神】のカードに描いた科学者だよ」

 

 

さき「あー、この人ね」

ひろじ「テスラは1881年に高周波高電圧のもとで、生物体が発光する現象を発見して写真に撮り、これを【高電圧写真】と名づけた」

さき「オーラの写真、じゃなくて?」

ひろじ「オーラの写真といういい方は、もっと後になって生まれたんだ。1939年に、ロシア(当時ソ連)の電気技師セミヨン・キルリアンが再発見した。キルリアンは生物体の発光写真の美しさに魅せられ、妻のソレンティナと、30年間研究を続けた」

さき「それで、どうなったの?」

ひろじ「キルリアン夫婦の発光写真は、モスクワ大学の超心理学研究者アダメンコたちの目にとまり、さらにその研究が西ヨーロッパの超常現象研究家に伝わって、オカルティストがオーラと呼んでいた生命力を表す謎のものこそ、このキルリアン写真の正体だと考えられるようになったってことだろうね」

 

さき「それじゃ、わたしがさっきいった【生命力をあらわすもの】が【オーラ】でよかったんだね」

ひろじ「うん、オカルト用語としては、ね」

さき「科学ではないの? 写真に撮れているんだから、科学じゃないの?」

ひろじ「科学的には、高周波高電圧のもとで取れる写真ということだけだよ。研究が進むと、生物体が出している水蒸気量と発光体の写真が関連することもわかってきた。だから、これが生命力と関係するかどうかなんて、わからないし、そもそも生命力って、科学用語じゃないからね」

さき「水蒸気なの?」

ひろじ「たとえば、もぎとったばかりの葉っぱと、枯れ葉のキルリアン写真を撮って比較すると、もぎとったばかりの葉っぱの【オーラ】は大きくて、枯れ葉の【オーラ】はほとんどない。オカルティストは、これを【生命力】の大小だと解釈した」

さき「科学だと、水蒸気の大小ってこと?」

ひろじ「まさに、そうだよ。生きている葉っぱは水蒸気をたくさん出すけど、枯れちゃった葉は水蒸気をほとんどださないからね。高周波高電圧発光の様子も変わってくるんだ。やるね、さき」

さき「えへへ」

 

さき「あっ、でも、別にイラストには、そういうの描いてもいいよね」

ひろじ「アートな世界では、科学とか非科学とか関係ないんだから、好きなように描けばいいんじゃない? ぼくも【ミオくんと科探隊】のシリーズでは、科学優先でマンガを描いているけど、他の作品では、科学にこだわらずに描いているよ。まあ、ぼくの感性が科学よりなので、科学的なガジェット(小道具)がたくさん入っちゃうけど」

さき「科学と関係ないお父さんのマンガも、見てみたいな。もう、ジャンルを変えたから、いいんでしょ?」

ひろじ「あ・・・そうか・・・そういえば、そうだねえ・・・」

さき「決まり! わたしも絵をいっぱい描くから、お父さんもいろいろ見せてね!」

ひろじ「さきには、かなわないなあ・・・」

 

 

 

【追記】娘のアドバイスにしたがって、キルリアン写真の説明を少し増やしました。また、読みにくい漢字にフリガナを打ちました。

 

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