メリーさん都市伝説、迷信、科学(小学生) | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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ひろじ「あれ? 何をかいてるの?」

さき「メリーさん」

ひろじ「メリーさんって、なに?」

さき「都市伝説。ユーチューブでいろんな人がしょうかいしてる。それを自分の絵でイラストにしたの」

ひろじ「メリーさんって、女の子の名前だけど」

さき「メリーさんはじつは男の子だっていうのもあるから、それでかいてみた。トイレの花子さんも男の子だっていうのもあるよ。こないだ、いっしょにアニメ見たでしょ」

ひろじ「ああ、あれか。でも、メリーさんも、トイレの花子さんも、さいきんの都市伝説かな。お父さんが子どものころは聞いたことがないよ。トイレでいうと「赤い紙か青い紙か」なんてのはあったけど」

さき「それは今もあるよ。ユーチューブで見た」

ひろじ「そうかあ。今はユーチューブなんかで、新しいのも古いのもごっちゃになって見てるんだ・・・で、メリーさんってのは、どんなの? 聞いたことがないなあ」

 

 

さき「メリーさんは、すてられた人形で、もちぬしがすてたことをわすれたころに電話してくるの」

ひろじ「ええと・・・」

さき「電話で『わたし、いま、ゴミすて場にいるの』って。それが『今どこどこ、今どこどこ』って、だんだん近づいてきて、さいごに『今、あなたの後ろ!』っていうの」

ひろじ「どきっとするな。そのあと、どうなるの?」

さき「その子は、死んじゃう・・・」

ひろじ「話のタイプは、昔からよくあったのに似てるなあ。でも、どんどん電話がかかってくるんだから、ケイタイ電話がふきゅうしてからの伝説なのかな」

さき「それは知らない。でも、電話を受ける方もスマホだよ」

ひろじ「都市伝説となると、口づたえのデマに近いから、ネットで調べた方が本で調べるよりはやいかも。ちょっと、いっしょに見てみようか」

さき「わあ、いっぱいあるね」

ひろじ「でも、どれも、あまり深い話はかいてないなあ。あ、これがそれに近いかな。なになに?・・・もともとケイタイ電話がない時代に生まれた都市伝説で、電話のないはずのゴミすて場から電話がかかってくるところが、恐かった話だった・・・なるほど、ケイタイ電話が登場して、ゴミすて場からでも電話がかけられるようになったから、こわくなくなってしまったコワイ話ってことか」

 

 

ひろじ「都市伝説って、コワイからユーチューブとかで見るの?」

さき「べつにこわくないよ」

ひろじ「こわいもの見たさじゃないんだ」

さき「かわいいもん」

ひろじ「かわいい?・・・小学生のカンカクって、お父さんが子どものころとはずいぶんかわっちゃってるんだな。じゃ、なにがコワイの?」

さき「リアルなゾンビとか。あれは、グロくて、だめ。マインクラフト(*1)のゾンビならいいけど」

ひろじ「そっか・・・見た目か・・・たとえば、そこのトビラが少し開いていて、ふと見たらだれかの目がのぞいていたら?」

さき「リアルに見えたらコワイ。でも、ユーチューブの動画ならコワクないかな」

ひろじ「そっか、さいきんの小学生はリアルな体験より、ユーチューブなんかの、バーチャルな体験のほうが身近なんだねえ」

さき「お父さんの子どものころは、トイレの花子さんの都市伝説はあった?」

ひろじ「うーん、聞いたことがないなあ・・・トイレの怪談はいっぱいあったけど。さっきの赤い紙青い紙の話も、小学校のとき友だちから聞いたよ。花子さんは昔はなかったけど・・・これも気になってきたな。ちょっと、調べてみようか」

 

 

さき「どう? あった?」

ひろじ「いがいだな。もともとの伝説が生まれたのは、お父さんが生まれるよりちょっと前だって。そのころは、まだ『花子さん』という名前はついていなかったみたいだけど、お父さんの知っているトイレの怪談(かいだん)に、これによくにたものがあるよ。ほら、これとか・・・」

さき「ベンキから白い手がニューッと出てくる・・・」

ひろじ「これ、どういうことか、わかる? 今の水洗トイレだと、ベンキから手が出てくるって、ムリな話だよね」

さき「?」

ひろじ「お父さんが子どものころはね、日本全国ほとんどの学校が水洗式じゃなくて、くみ取り式だった。つまり、ベンキの下はおおきな空洞(くうどう)になっていた。だから、そこになにかいて、そこから手が出てくるって思うのは、ふしぎじゃなかった」

さき「ベンキの下はどうなってるの」

ひろじ「小便、大便がたまる場所になっていた。光もさしこまないから、まっくらで、コワイ感じだったね」

さき「うわ、くさそう! それじゃ、花子さんはたいへんだね」

 

 

ひろじ「今はネットがあるから、いろんな都市伝説も伝わりやすくなっているかもね。ちょっと前までは、ほとんど伝言ゲームみたいにして、うわさが広まったんだ。口さけ女とか。今はメリーさんか・・・」

さき「メリーさんはそのひとつ。ほかにも、ひきこさんとか、テケテケとか、ユーチューブを見ていると、いろいろあるよ」

ひろじ「ネットがあるとはいえ、昔、口づたえでうわさ話が伝わっていくのと、基本的に同じしくみで広まっていくんだね」

さき「昔と同じって、昔もネットあったの?」

ひろじ「いやいや、ネットどころか、ケイタイ電話もないころだから・・・人から人への伝言ゲームで、うわさは広まっていく。それがデマの広まり方の第一歩かな」

さき「トイレットペーパーの買いしめみたいに?(*2)」

ひろじ「うん。昔も今も、同じだね。困ったものだ。だいたい、トイレットペーパーとかの紙はほとんど国内でつくられているから、中国でなにかあっても、生産(せいさん)でこまることはないんだ。でも、今回みたいに、『マスクのつぎはトイレットペーパーが品不足(しなぶそく)になる』なんてデマにおどらされて買いしめると、そのあとのほじゅうがうまくいかないので、おこらなくてもいい、品不足(しなぶそく)になってしまう」

さき「むせきにんなデマを流す人がいるんだ」

ひろじ「商品を運ぶのはトラックで、もともとぎりぎりのスケジュールで運ばれているから、今回のような品不足が起きると、運ぶ人の人手不足の問題で、すぐにはほじゅうできないんだよ。でも、生産はふつうに行われているから、時間がたてばもとどおりになる。じっさい、トイレットペーパーとか、だんだん、前みたいに店さきにならぶようになってきてるだろ?」

 

 

さき「都市伝説って、昔からあったの?」

ひろじ「うん。でも、昔はぜんぶうわさ話から広まった。昔はネットがなかったから、うわさが広まるまで、もっと時間がかかったけどね。さきは、メリーさんの話とか、じっさいにあったことだって、信じる?」

さき「ううん。信じない。お話しがオモシロイから、好きなだけ」

ひろじ「ところが、昔の人は、そういうのをじっさいに信じたりしていたんだ。たとえば、昔の人はせつぶんの日にイワシの頭やかみの毛、ニンニク、ネギ、ラッキョウなどくさいものをくしざしにして玄関にかざったりした。そのいやなニオイでわざわいをおいはらうって」

さき「えー、それは・・・信じられない」

ひろじ「こういうのは迷信(めいしん)という。都市伝説と似ているのは、こんきょのないうわさ話と同じだということだよ。昔からそういわれているから、そういうものだと信じるって。都市伝説とのちがいは、その歴史かな。迷信は、都市伝説とはくらべものにならないくらい古い時代からいいつたえられてきている」

さき「めいしんって、ほかにどういうのがあるの?」

 

 

ひろじ「朝のクモはえんぎがいいが、夜のクモはえんぎがわるい。夜ツメを切ると親の死に目に会えない・・・みたいな・・・」

さき「なに、それ! どうして朝はよくて、夜はだめなの、クモ! わたし、クモは朝も夜もきらい!」

ひろじ「迷信やことわざは、都市伝説と同じでこんきょがないんだけど・・・どれも地方や時代によっていろいろ変形する。メリーさんや花子さんも、さっきネットでしらべたら、地方でいろいろちがってただろ」

さき「うん。花子さんの一家がでてきたり、ふたごだったり」

ひろじ「迷信やことわざは、都市伝説より長い時間をかけて生きのびてきたから、こんきょがないといっても、ちょっとちがうかな。迷信やことわざのなかには、ぜったいにまちがいといえないものもあると思うよ。カエルが鳴くと雨とか、ネコが顔をあらうと雨とか・・・」

さき「いそがばまわれ、とか?」

ひろじ「長い年月をかけて経験的(けいけんてき)につみかさねてきた知恵がふくまれているから、都市伝説みたいにまるっきりウソとはいえないってことかな。ただ、科学とはちがって、そのこんきょを実験やかんさつによってしめすことができない」

さき「たしかに。学校の3番目のトイレに入っても、花子さんが出てきたこと、ないなあ」

ひろじ「月がかさをかぶると次の日は雨、というのは、かなり科学的なこんきょがあるよ。月のかさは、月と地上の間に雲があるときに見える。月がかさをかぶる日は、空に雲がたくさんある日だから、次の日は雨になる可能性が高い。でも、雲は風で西から東に向かって流れていくから、次の日まで雲がのこっているともかぎらない。だから、たとえば10回のうち数回そういうことがあった、みたいなことで、広まっていったんだろうね」

さき「じゃ、同じように何度もためしてみればいいね。ええと、メリーさんだったら、もっている人形をいくつもすてて、電話がかかってくるかどうかためしたり、花子さんだったら、3番目のトイレに毎日入って、そのうち花子さんの声が聞こえてくるかどうかためしてみたり・・・」

ひろじ「ほんとにやる?」

さき「じょうだんにきまってるでしょ。やるわけないじゃん」

 

 

(*1)マインクラフトは、子どもに人気のゲームソフト。

(*2)中国の武漢起点の新型コロナウイルスの世界的流行が始まる前、日本では中国製のマスクが店頭から消えたが、その後、国内でそのほとんどを生産しているトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの紙製品も、デマによってパニックを起こしたこころない人々によって買いしめられ、一時的に店頭から姿を消し、本当に必要な人に行き渡らなくなった。その後、ヨーロッパ、アメリカでも同様な買いしめが広まった。日本では何十年も前に石油ショックのときにまったく同じ現象が起きたが、それに学ぶことのできなかった人々が多数いたということになる。

 

 

さきよりひとこと

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