アインシュタイン度チェック4(小学生以上) | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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マンガ・イラスト&科学の世界へようこそ。

 

 科学者のエピソードしょうかいも、今回でひとくぎり。では、はじめましょう。

 

 

 Y「ちょっとの差で先をこされる」というのは、科学者だけの話ではありません。でも、だれもしらないことを研究する科学の世界では、このほんのちょっとの差が、歴史(れきし)に名前がのこるかどうかという大きなちがいになります。

 

 かいせつには、電話を発明したベルとグレイのゆうめいな話のほか、日本人の科学者、寺田寅彦(てらだとらひこ)の話も書きました。

 

 寺田寅彦は結晶(けっしょう)にX線をあてる実験(じっけん)をかいりょうする方法を考えました。その論文(ろんぶん)をヨーロッパにおくろうとしたとき、船便(ふなびん)でヨーロッパから物理学会誌(ぶつりがっかいし)が何ヶ月かおくれてとどきました。なんと、その本に、寺田が考えたのと同じ実験の論文があったのです。

 

 これを書いたブラッグは、その論文でノーベル賞を受賞(じゅしょう)しました。

 

 今のように航空便(こうくうびん)はありませんし、まして、インターネットで、とおくはなれた国のことがすぐにわかる時代ではありません。ヨーロッパの研究していることが日本につたわるのに、何か月もかかる時代だったのです。

 

 寺田はノーベル賞がとれるほどの研究をしていたにもかかわらず、ライバルに先をこされてしまったのです。

 

 ヨーロッパの科学者と同じテーマを研究していたのでは、とおくはなれた日本の科学者はたちうちできない。そう考えた寺田は、けんきゅうテーマ自体を日本にどくとくのテーマにすることにしました。

 

 そのなかに、地震(じしん)などの自然災害(しぜんさいがい)の研究がありました。

 現在、日本が地震の研究で世界のトップにいるのは、寺田のきりひらいた道のおかげです。

 

 

 Z「魔法(まほう)にきょうみがある」というのは、物理学の大天才ニュートンです。

 

 ガリレオ、ニュートンのころは、科学がはじまったころですが、いいかえれば、魔法の時代が終わりかけていたころにあたります。

 

 錬金術師(れんきんじゅつし:アルケミスト)とよばれる人たちと化学者(かがくしゃ:ケミスト)、そのどちらもいた時代です。(ちなみに、化学者の「ケミスト」は錬金術師の「アルケミスト」の「アル」をとりさって作ったことばです。化学者がじぶんたちのやっている仕事を錬金術師とくべつするために、新しい名前を作ったのです)

 

 ニュートンが死んだ後、いひんから、ぼうだいな錬金術(れんきんじゅつ)のけんきゅうメモがみつかりました。ニュートンは人知れず、錬金術のけんきゅうをしていたのですね。

 

 そのメモが発見されたときは「あのニュートンが魔法をけんきゅうしていたとは!」と、おどろきの声があがりました。

 

 でも、科学と魔法がいりまじっている時代背景(はいけい)を考えれば、それほどいがいなことではありません。

 

 さて、ここから先は、英語のアルファベットがつきたので、ギリシャ文字のアルファベットにしています。

 

 

 

 α(アルファ)「父は事業(じぎょう:しごとのこと)でなんどもしっぱいしたが明るかった」はアインシュタインの話です。「子は父のせなかを見てそだつ」ともいいます。なんどしっぱいしても明るいお父さんのすがたは、きっとアインシュタインにつよいきもちをあたえたでしょうね。

 

 

 β(ベータ)「人間ぎらい」でゆうめいなテスラの話です。テスラはエジソンのもとで電気のけんきゅうをした技術者(ぎじゅつしゃ)です。今、みなさんの家に発電所から送られてきている電気は交流(こうりゅう)とよばれ、電流(でんりゅう)が一定のリズムでおうふくするものです。この交流をけんきゅうしたのがテスラです。

 

 エジソンはあくまでも直流(電流が一方向にしかながれない)にこだわったので、テスラはエジソンのもとをはなれました。

 

 そのあと、エジソンの会社とテスラの交流をしえんする会社の間で「直流か交流か」というしれつなあらそいがありました。これにまつわるおぞましいエピソードもあるのですが、それはη(イータ)のエピソードをごらんください。

 

 

 γ(ガンマ)「てつやして24時間ねむりつづけた」のはエジソン。まるでしめきり前のマンガ家ですね。ほかのエピソードしょうかいでも書きましたが、エジソンのはたらきぶりはふつうではなく、すいみん時間はふつうの人の半分くらいでした。

 

 

 δ(デルタ)「口をききはじめるのがおそかった」というのはアインシュタイン。小さな子が「ことばをおぼえるのがおそい」と、親としてはすごくしんぱいになるものですが、アインシュタインのようなケースもあります。アインシュタインの「のろま」ぶりは大学時代までつづいていますから、すじがねいりの「のんびりやさん」だったということでしょうか。

 

 

 ε(イプシロン)「イタズラだいすき」なのはファインマン。そのイタズラの数々は『ご冗談(じょうだん)でしょう、ファインマンさん』という本(ファインマンのエピソードを、かれの友人のむすこがまとめたもの)で読めます。

 

 ファインマンは日本にやってきたこともあります。

 大学の研究室(けんきゅうしつ)に顔をだしては、研究テーマについて、ほんしつてきな問題点をいいあて、そのたびに研究者たちは右往左往(うおうさおう)しました。「ファインマンばくげき」とよんでおそれられたそうです。

 

 

 ζ(ツェータ)「神のそんざいをしんじている」のはガリレオ・ガリレイなど、少し前の時代の科学者たちは、おおかた、神をしんじていました。もちろん、そうでない人たちもいましたが。

 エジソンが神をひていする発言をしたことで、アメリカ国内で大きなひなんをあびたことは、ほかのところでも書きました。このエピソードに「NO」と答えると、エジソンと同じ道、ということになりますね。

 アインシュタインもキリスト教やユダヤ教のような神さまは信じてはいなかったのですが、おおやけの場でエジソンのような強い発言をすることはありませんでした。

 

 

 η(イータ)「しゅだんをえらばない」のはエジソン。偉人(いじん)として美化(びか)されることの多いエジソンさんですが、きたないしゅだんを平気でつかう人でもありました。テスラとの間で、どちらの電力(でんりょく)会社が勝つか負けるかというあらそいをしたときは、とくにひどいことをしました。

 

 エジソンの直流(ちょくりゅう)は電力をとどけるとき、テスラの交流(こうりゅう)にくらべて、エネルギーがたくさんうしなわれます。そのため、交流の方がゆうせいになりました。

 

 そこで、エジソンは「交流はキケン」というイメージを広めて、あらそいを有利(ゆうり)にすすめようとしました。

 

 そのため、電気イスによる死刑を考えだして、それにテスラの交流を使ったのです。

 

 この実験をするため、エジソンは、ノライヌとノラネコをつかまえさせ、つぎつぎに電気イスで殺しました。当時、エジソンの研究所のあったちいきでは、ノライヌとノラネコがすがたをけしたそうです。

 

 ついに死刑囚(しけいしゅう)が電気イスにすわる日がきたのですが、はじめてのことだったため、電流をながしても死刑囚は死なず、まだ生きていたのです。しかたなく、もう一度電流をながして死刑をしっこうしたのですが、それがマスコミにばれて、ひどいことをしたと、大きなひなんをあびることになりました。

 

 けっきょく、交流がさいようされ、エジソンは大きなしっぱいを経験することになりました。悪いことはできないものですね・・・

 

 

 θ(シータ)「大統領(だいとうりょう)になってくれとたのまれたがことわった」のはアインシュタイン。ユダヤ人の国イスラエルがつくられたとき、初代(しょだい)の大統領になってくれとたのまれたのですが、アインシュタインは政治にはまったくきょうみがなく、ことわったのです。

 

 

 ι(イオタ)「答のわかっている問題にはきょうみがない」というのは、アインシュタイン。

 

 ほかのエピソードでもしょうかいしましたが、エジソンがアインシュタインに自分の作った問題集をといてみせてくれといった(これは本当の話ではなく、それを記者がアインシュタインに見せていけんを聞いたというのが、より本当に近い話のようです)とき、アインシュタインがこんなふうに答えたといわれています。

 

 科学者のしごとがどういうものかを、はっきりしめしたことばですね。

 

 いじょうで、アインシュタイン度チェックのエピソード集のかいせつはおしまいです。

 

 ぼくたちがあつめた科学者のエピソードはもっとたくさんありますが、アインシュタイン度チェックにつかったのはそのほんの一部。ほかのエピソードについては、またべつのとき、しょうかいしたいと思います。

 

 では、また。

 

 

【エピソード集の主な参考文献】「アシモフの雑学事典」「アシモフの発明発見事典」「世界の科学者100人」「物理学天才列伝」「E=mc^2」「魔法」「ニュートンとアインシュタイン」他(著者名・出版社名ははぶきました)

 

 

<アインシュタイン度チェック>

 

 

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