小5になった娘(といっても、まだ学校は1日しか行っていません・・・新型コロナめ!)がとつぜん、こんなことをいいました。
さき「きょうのお勉強は、モーターの説明をしてくれるんだよね。約束したもん」
さき「したよ。学校でつくったモーターのクルマがうごかないのを、なおしてくれたじゃん。そのとき、どうして電池でモーターが回るのって聞いたら、あしたねって」
ひろじ「あー、思いだした。あのクルマね。あのひどい設計のやつ。そもそも、説明書のやりかただとスイッチがうまく働かなかったから、お父さんが改造してあげたっけ。でも、そのとき、そんな約束、したかなあ」
さき「おとうさん、お酒飲んで、半分眠ってたから、忘れちゃったのかな」
ひろじ「え、半分寝てた?・・・あ、そうかもしんない。半分寝てたのに、われながら、よく直せたなあ・・・」
ひろじ「うん、それじゃあ・・・あ、実験に使う材料、職場に全部持って行っちゃった・・・」
さき「じゃ、実験なし?」
ひろじ「いやあ、それじゃあ、わかんないよ。ちょっと、待って。使えそうなものを探して見るよ。・・・電池は、あった。導線はないから・・・かわりに電流の流れるものを・・・あ、キッチンにアルミホイルがあったな。あとは、磁石・・・も、全部学校に持って行っちゃったか・・・あ、これがあった!」
さき「あ、かべにくっつけるやつだ」
ひろじ「フレミング(冒頭のイラストの人)の電磁力の実験。正式には中学校でならう法則だけど、モーターがどうして動くのかを説明するには、この実験を見てもらう必要があるんだ」
さき「なになに? どうなるの?」
ひろじ「まあまあ。実験しながら、説明するよ。まず、アルミホイルを適当に切って、導線のかわりにする」
ひろじ「まあまあ。両端を電池のプラスマイナスにつなげば、目には見えないけど、電流がながれる」
さき「これ、ながれてるの?」
ひろじ「それを磁石に近づけてみてごらん」
ひろじ「フレミングの左手の法則というのにしたがって、アルミホイルをながれる電流が、磁石から力をうけているんだ。それはさきにはむつかしいから、今回は、電流が磁石から力をうけることだけがわかればいい」
さき「電流の向きをかえたら?」
ひろじ「電池の向きをかえて、同じ実験をしてみようか」
さき「モーターも、これと同じなの?」
ひろじ「うん。この力を利用して回転させている。導線をコイルにして、この力でコイルを回転させているんだけど、半回転すると、うける力の向きが逆になるから、半回転ごとに電流の向きが反対になるように、工夫しているんだ。それも、中学校で習うよ。これを手作りするのはむつかしいから、半回転分は電流がながれないようにすればいい」
さき「お父さんの本にのっていたアレね」(*1)
ひろじ「そうだよ。もともとは『いきいき物理わくわく実験』で紹介したクリップモーターが元祖だけど」(*2)
さき「だって、電流がながれているんでしょ。さわったら、ビリビリしない?」
ひろじ「しないんだなあ、それが」
さき「どうして?」
ひろじ「アルミホイルと人間の体では、電流のながれやすさがちがうからね。アルミホイルにくらべると、人体は電流がながれにくいから、こうやってさわっても、電流が人体にはながれない。だからビリビリこないんだよ」
さき「でも、ここに電流がながれてるんでしょ。なんか、ふしぎ」
ひろじ「電圧が高かったり、足下や手がぬれていたりすると、人体にも電流がながれやすくなるから、いつさわってもだいじょうぶというわけじゃない。昔は、凧揚げで電線にからまってしまった凧をとろうと、電信柱にのぼった子どもが感電するという事故があった。電線の電圧はすごく高いからね」
さき「そんなバカなことをした子がいたの?」
ひろじ「お父さんが子どものころは、おバカな子どもがいっぱいいたからねえ。まあ、今でもかわんないかもしれないけど、キケンなことでも、あんまり考えずに、どんどんやっちゃう子が、けっこういたんだ」
さき「こんどは、モーターをつくってみたい」
ひろじ「そうだね、用意ができたらね」
ひろじ「そうだね。物理サークルもモルの会もお楽しみ広場も、ぜんぶ中止か延期。しばらくはできないね」
さき「じゃあ、お父さん、ネットで、科学の会をやればいいじゃん」
ひろじ「え? どうするの?」
さき「たとえば・・・ほら、まえにお父さんがブログに載せたアドベンチャーゲームみたいなのを、実験でやったらどうかな。ネットの科学の会みたいにできない?」
ひろじ「う〜〜〜ん・・・考えてみます・・・もうちょっと、待ってネ」
(*1)『いきいき物理マンガで実験』奥村弘二著(日本評論社)
(*2)『いきいき物理わくわく実験』改訂版1愛知物理サークル他著(日本評論社)
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