【野菜】ビタミンAの効能と危険性【果物】
2019/11/20更新・ビタミンAとはビタミンAは、脂溶性ビタミンの一つであり、ビタミンAの生物作用を示す全 ての物質を総称する一般名です。ビタミンAは、人において視覚、聴覚、生殖等 の機能維持、成長促進、皮膚や粘膜などの上皮組織の正常保持、分化機構、遺伝子発現を介する制がん、たん白質合成等重要な役割に関与するとされています。体内でビタミンAに変換されるプロビタミンA(ビタミンAの前駆体) はカロテノイド色素群に属し、約50種類ありますが、その主なものは、β-カロテン、α-カロテン、クリプトキサンチンなどです。特に、β-カロテンは、他の カロテノイドに比べて、効率よくレチノールに変換されます。植物性食品に含まれるビタミンA供給源は主にβ-カロテンですが、β-カロテンのプロビタミンAとしての過剰障害は知られていません。そのため、食事摂取基準の上限量の算出にもβ-カロテンは含まれていません。ビタミン A(レチノール活性当量)(μg)=レチノール(μg)+1/24 α-カロテン(μg)+1/12 β-カロテン(μg)(+1/24 クリプトキサンチン(μg))・ビタミンAのサプリメント摂取と過剰摂取しかし、β-カロテンの サプリメントの摂取については、ビタミンA不足防止の場合は適切としていますが、一般的には勧められないとしています。また、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、β-カロテンのサプリメントについて科学的に不明な点が多いことや健康保護の観点から、β-カロテンのサプリメントの使用には細心の注意を払うよう勧告するとともに、サプリメントによる β-カロテン摂取量は、2mg/日を超過しないよう勧告しています。ビタミンA過剰症には、急性と慢性の症状があります。急性の中毒症状は、腹痛、悪心、嘔吐、めまい、過敏症などが出現した後、全身の皮膚落屑がみられます。死亡することもあります。北極熊の肝臓や魚の肝油を大量摂取した場合などにみられることが知られています。一方、慢性の中毒症状では、全身の関節や骨の痛み、皮膚乾燥、脱毛、 食欲不振、体重減少、肝脾腫、脳圧亢進による頭痛及びうっ血乳頭などを示します。連日25,000I.U.(I.U.は国際単位で、25,000I.U.は7,500μgREに相当)を服 用すると慢性症状が出現すると言われています)。その他、ビタミンA過剰症と して催奇形性、骨密度の減少、骨粗しょう症も知られています)。また、医薬品として用いる場合に禁忌となる対象者は、1エトレチナート製剤を投与中の患者、2トレチノイン製剤を投与中の患者、3妊娠3か月以内又は妊娠を希望する婦人へのビタミンA 5,000I.U.(1,500μgREに相当)/日以上の投与 (ビタミンA欠乏症の婦人は除く)となっています)。成人では1日の推奨摂取量(RDA)が900µg RAEと定められている。1日の許容上限摂取量(UL)は3000µg RAEと定められている。女性(34歳以上)に限っては1500µg RAEから骨密度の減少や骨折が確認されており、妊婦では3000µg RAEから催奇形性が確認されいる。また、英国では、定期的にレバーを摂取している人及び骨粗しょう症になるリスクの高い人等に対して、ビタミンA摂取量に関する注意喚起が行われています。 英国食品基準庁(FSA)が、栄養諮問委員会(SACN)の提言に基づき行った注意喚起の内容は以下のとおりです。ア)レバーもしくはパテのようなレバー製品を週一回以上食べている人は、これ以上摂取量を増やさないこと。そしてビタミンAのサプリメントを摂ら ないこと。イ)閉経後の女性及び65歳以上の男性といった骨粗しょう症になるリスクの高い人は1日1.5mg以上のビタミンAを摂らないこと。具体的には、レバーも しくはレバー製品を週一回以上摂らないこと。ウ)妊娠中または妊娠を希望する女性は、ビタミンAを含むサプリメントを摂らないこと。また、レバー及びレバー製品を摂らないこと。ビタミンAは脂溶性であるため、体内、主に肝臓に過剰に貯蔵され、その量は蓄積されていきる。過剰量の既成ビタミンAの毒性は非常に高いのであるが(いわゆるビタミンA過剰症)、β-カロテンやその他のプロビタミンAカロテノイドの大量摂取により重大な有害作用が起こることはない。ビタミンAを過剰摂取した場合、摂取を中止してから組織中のビタミンA濃度が低下するまでに長時間を要するため、不可逆的な肝障害を生じることもある。既成ビタミンAとは異なり、β-カロテンの催奇形性や生殖毒性は知られていない。高用量(20〜30mg/日)のβ-カロテンやカロテノイド含有量の多い食事を長期間摂取した場合でも毒性は報告されていない。β-カロテンを長期間過剰摂取した場合の最も深刻な影響は柑皮症(carotenodermia)で、皮膚が橙黄色になるが、有害ではない。この状態はβ-カロテン摂取を中止すれば回復する。・ビタミンAの不足ビタミンAの不足は、長期的な下痢、不適切な食事によるビタミンA摂取不足の他に、体内でビタミンAを運搬するレチノール結合たん白質欠乏につながるような低たん白・低栄養状態や亜鉛の摂取不足からも起こります。また、厳しいダイエットなどの食事制限、アルコールの過度の摂取によっても起こります。ビタミンA欠乏症の初期段階には夜盲症が起こります。その後、結膜・角膜乾 燥症に進行し、失明する場合があります。その他、感染症に対する抵抗力の低下がわかっています。ビタミンA不足は、発展途上国に見られ、これらの国では年間25万人から50万人の栄養不良の子供たちが盲目になると推定されている。・ビタミンAの過剰摂取と肺がんの関係カロテン摂取量の多い人、あるいは肺がん発症前に採取された血液中のカロテン(主として、β-カロテン)濃度が高い人の肺がん発症リスクは、20~85%ほど低いことが多くのケース・コントロール研究やコホ ート研究で示されています。しかしながら、欧米で行われた大規模な無作為化比較試験の成績では、予想とは反対に高用量のβ-カロテンの服用が喫煙者の肺がんリスクを高めるという結果となりました。喫煙歴を有する、または現在喫煙している男性および女性ならびに職業上アスベストに暴露された男性にβ-カロテン(パルミチン酸レチニルの併用の有無に関わらず)を5〜8年間補充した結果、肺癌や心血管系疾患のリスクが増加することが明らかになった。ATBC試験でも、β-カロテンサプリメントの補充(20 mg/日)は、主に肺癌および虚血性心疾患による死亡率上昇との関連性が認められた。CARET試験では、β-カロテン(30mg/日)とパルミチン酸レチニル(25,000IU/日)の補充によって肺癌や新血管系疾患による死亡リスクが上昇すると治験責任医師や治験担当医師が判断したため、試験を早期に終了した。以上の事から、食物の中に含まれているβ-カロテンの肺がん抑制効果を否定したことにはなりませんが、少なくとも喫煙者への高用量の β-カロテン投与に肺がん予防効果がないことが示されました。その後の疫学研究では、約5~7年間にわたり6~15mg/日の用量レベルにおいてβ-カロテンを補給した多量喫煙者の肺がん発生率の増加は報告されなかった。2012年に欧州食品安全機関(EFSA)はβ-カロテンの食品添加物用途及び15mg/日未満のレベルでのサプリメント用途に由来するβ-カロテンへの暴露量は、多量喫煙者を含めた一般集団において、健康への悪影響に関する懸念を引き起こさないと結論づけた。また、国立がんセンターホームページでは、肺がんを予防するため には、まずたばこをやめ、果物や緑黄色野菜をとることが推奨されていますが、 禁煙せずに、1日20mg以上のβ-カロテンを錠剤などで補給することは、かえってリスクを高める結果になるので控えることが推奨されています。・ビタミンAの肺がんに対する効能オランダの55-69歳の5,8000人の男性を対象とした食事とがんに関するコホート研究では、 6.3年の追跡調査の後、男性肺がん患者939人が確認されました。α-カロチン、β-カロチン、ルテイン+ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、および抗酸化ビタミンCおよびEと葉酸、リコピンの摂取量を推定しました。肺がんの発生率に対する予防効果は、ルテイン+ゼアキサンチン、ベータ-クリプトキサンチン、葉酸、およびビタミンCで見つかりました。他のカロテノイド(アルファ-カロチン、ベータ-カロチン、およびリコピン)とビタミンEは、有意な関連性を示しませんでした。ビタミンCの調整後、葉酸のみが逆相関したままであり、葉酸の調整後、ベータクリプトキサンチンとビタミンCのみが有意に関連したままでした。逆相関は、現在の喫煙者の間で最も強く、元喫煙者では弱かった。カロテン、ルテイン+ゼアキサンチン、およびベータクリプトキサンチンとの逆相関は、小細胞がんおよび扁平上皮がんに限定されるように思われました。葉酸とビタミンCの摂取のみが、小細胞および扁平上皮がんに加え、腺がんにも反比例するように見えました。葉酸、ビタミンC、およびベータクリプトキサンチンは、喫煙者の肺癌に対するアルファカロチン、ベータカロチン、ルテイン+ゼアキサンチン、およびリコピンよりも優れた栄養素かもしれないと発表しました。アメリカの12万人以上の男女を10年間以上追跡した2つの食事とがんに対する大規模前向きコホート研究の分析では、アルファカロチンとリコピンの摂取は肺癌のリスクの低下と有意に関連していました。ベータカロチン、ルテイン、およびベータクリプトキサンチンの摂取との関連は逆でしたが、有意ではありませんでした。肺がんのリスクは、さまざまなカロテノイドを多く含む食事を摂取した被験者で有意に低かった(RR:0.68; 95%CI:0.49、総カロテノイドスコアの最低と比較した場合の最高0.94)。喫煙したことがない被験者では、アルファカロチン摂取の下位五分位と比較して、上位で肺がんの発生率が63%低いことが観察されました(RR:0.37; 95%CI:0.18、0.77)。フィンランドの27,000人以上の50-69歳の男性喫煙者を14年間追跡した研究では、果物と野菜の消費は、肺がんリスクの低下と関連していました。(総カロテノイド、βカロチン、リコピン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、およびゼアキサンチン)特にカロテノイド、トマト、トマトベースの製品が豊富な食事が肺がんのリスクを減らす可能性があることを示唆しています。北米とヨーロッパで行われた7つのコホート研究の主要データの調査では、ベータカロチン摂取は、肺がんリスクと関連していませんでした。アルファカロチン、ルテイン/ゼアキサンチン、およびリコピンも概ね同様でした。ベータクリプトキサンチン摂取は、肺がんリスクと逆相関していた(RR = 0.76; 95%信頼区間、0.67-0.86;最高対最低五分位)。これらの結果は、ビタミンC(サプリメントの有無にかかわらず)、葉酸(サプリメントの有無にかかわらず)、および他のカロテノイドおよびマルチビタミンの使用量の調整後も変化しませんでした。この関連は一般に、喫煙歴のない人、過去の喫煙者、または現在の喫煙者の間で、また組織型別に類似していた。喫煙は肺がんの最大の危険因子ですが、柑橘類などのベータクリプトキサンチンを多く含む食品を多く摂取すると、リスクがやや低下する可能性があります。2007年のベータカロチンサプリメントの有効性を調べる6つのランダム化臨床試験と、カロテノイドと肺がんの関連性を評価する25の前向き観察研究をランダム効果メタ分析では、ベータカロチンの補給は、肺がんを発症するリスクの低下とは関係ありませんでした。(全く摂らないよりは良いが、取り過ぎはリスクを高める。)βカロチン以外のカロテノイドは肺がんリスクを1割弱下げていました。前向きコホート研究からの知見は、カロテノイドと肺がんの逆相関を示唆しています。ただし、リスクの低下は一般に小さく、統計的に有意ではありません。これらの逆相関は、カロテノイド測定の機能が、健康的なライフスタイル(果物や野菜の消費量が多い)のマーカーとして、または喫煙による交絡の残りの結果である可能性があります。肺がん死亡割合(危険度)と血清脂溶性ビタミンや葉酸との関連コホート研究の95年〜2013年の45歳〜75歳の約8万人に対する抗酸化ビタミン摂取と肺がん罹患の調査では、肺がんに関連のある項目(年齢、地域、喫煙状況、飲酒習慣、ビタミンサプリメント摂取、魚・イソフラボン・野菜・果物の摂取)からの影響を統計学的に排除した分析の結果、αカロテン、βカロテン、ビタミンC、ビタミンEの摂取量は、いずれも肺がんの罹患と統計学的に有意な関連はありませんでした。一方、男性では、レチノールの摂取量が少ないグループ(Q1)と比べて、多いグループ(Q4)において、全肺がんリスクの上昇がみられ、そのなかでも小細胞肺がんのリスクの上昇が確認されました。カロテノイドを含む食物類などの積極的な摂取は、男性では肺がん危険度を低める可能性が示唆されました。一方、女性では、特に血清内のカロテノイドや脂溶性ビタミン量などが高くても必ずしも危険度を低める成績が示されませんでした。 また、ビタミンA・E及び葉酸などの個々のビタミン類は肺がんの危険度を低下させる効果が若干示されましたが、ビタミンAでは女性でむしろ高めるという逆の結果が示されました。 肺がん死亡割合(危険度)と血清カロテノイド値との関連ACC Studyの調査では、対象者の血清内で見つかった成分量をその量により4群に分け、最低値群の方の肺がん死亡割合(危険度)を1.0として、順次高い群に含まれる方の危険度を統計学的に検討しました。男性では、肺がんの危険度は、人参、かぼちゃなどに多く含まれるβ-カロテン、柑橘類などの果物類に多いクリプトキサンチンおよび全体の総カロテノイド値の高い者では順次低くなり、最も高い群では最も低い群の半分以下となりました。また、ほうれん草、レタスなど緑葉野菜類に多いゼアキサンチン/ルテイン値の高い群でも同様に低い傾向が見られました。女性では、ゼアキサンチン/ルテイン値および全体の総カロテノイド値は、高値群ほど男性と同様に低い危険度となりましたが、β-カロテンおよびクリプトキサンチンの最も高い者では危険度が低くはなりませんでした。女性のこれらカロテノイド値は、そもそも男性の2倍程度あることが、男女差の原因かもしれません。抗酸化ビタミン摂取と全肺がん罹患リスク喫煙習慣のない人では、レチノールを多く摂取している男性グループでも有意な肺がんリスクの上昇はなく、レチノール以外の抗酸化ビタミン(αカロテン、βカロテン、ビタミンC、ビタミンE)は、喫煙状況別の検討でも、いずれの摂取量も肺がんリスクとの統計学的に有意な関連はみられませんでした。喫煙状況別にみたレチノール摂取と全肺がん罹患リスク(男性)果物摂取と肺がんの関連については、いくつかの研究で予防的と報告されていましたので、その影響の大きさを調べるために、これらの研究をまとめてメタアナリシスを試みました。その結果、最も摂取量の高いグループでは最も低いグループに比べ、肺がんリスクは0.85倍であり、1日当たり1皿とるごとにリスクが0.92倍に減るという結果でした。それらを検討した結果、日本では、果物は肺がんリスクを下げる可能性がある、そして野菜と肺がんリスクの関連を示す科学的根拠は不十分であるという結論になりました。その理由として、果物については野菜に比べて予防的な関連を示す結果が多いことや、摂取データの妥当性がより高いこと、さらに最近の国際的な評価でも「可能性あり」とされていることが挙げられます。ところが、コホート研究の90年代に行った40〜69歳の男女約9万人の方々に、食事や喫煙などの生活習慣に関するアンケート調査を実施し、その後10年間野菜・果物摂取と肺がん発生率(リスク)との関係を調べた結果を2004年に論文を発表しています。その結果、下のグラフのように、野菜・果物摂取量は腺がんにも、非腺がんにも予防的な効果は見られませんでした。さらに、喫煙者と非喫煙者で分けてみても、野菜・果物摂取量と肺がんとのはっきりとした関連は確認できませんでした。しかし、野菜・果物は胃がんや大腸がんなどいくつかのがんには予防的であるといわれ、胃がん予防効果はJPHC研究からもすでに報告されています。野菜・果物の効果を総合的に評価し、全般的な健康維持のためには野菜・果物の豊富な食生活を心がけましょう。また、2015年に日本の4つのコホート研究の20万人以上のデータを併せたプール解析により、野菜・果物摂取と肺がんの関連をタイプ別に推定し、その研究成果を専門誌において発表しました。男性では、果物の摂取量と年齢と地域のみ調整した肺がん死亡リスクの間に統計学的に有意な負の関連がみられました。喫煙と総エネルギー量を調整したところ、関連は弱まりましたが、中程度(第3群)の摂取で死亡のリスクが29%、罹患のリスクが17%低下していました。特に喫煙経験者でリスク低下の傾向がよりはっきりみられました。この研究では、野菜や果物の種類別の摂取量と肺がんの関連について、性別、喫煙状況別に検討しました。男性では、果物の摂取量に応じて、肺がん死亡および罹患リスクの低下がみられました。しかし、喫煙経験とエネルギー摂取について調整した後は、この関連は減少し、中等度の摂取においてリスク低下が認められるにとどまりました。男性でのみ、野菜摂取によってリスクの上昇がみられました。これらの結果は、死亡リスクにおいて見られなかったため、偶然であった可能性もありますが、野菜の摂取量と関連している未知の交絡因子の可能性を排除することはできません。また、野菜摂取量最多群において肺がん罹患リスクの上昇がみられる理由として、検診の際に潜伏がんが見つかっていることがあげられます。がん検診受診者は、健康に気を配り、平均よりも多くの野菜を摂取している可能性があり、結果的に野菜の摂取量ががんの罹患リスクに見かけ上関連している可能性も考えられます。・ビタミンAと前立腺がんの関係いくつかの前向きコホート研究の結果から、リコピンが豊富な食事は、前立腺がん、中でも特に悪性の前立腺がんのリスク低減と関連があることが示唆された。47,000人以上の医療関係者を8年間追跡した前向き研究で、リコピンの摂取が最大の者は最少の者に比べて21%前立腺がんのリスクが低かった。しかしながら、58,000人以上のオランダ人男性を対象にした前向き研究では、食事からのリコピンの摂取は前立腺がんのリスクと関連がなかった。リコピンが前立腺がんの予防に役立つ可能性への科学的関心は相当あるものの、いくつかの疫学的研究で見られた前立腺がんリスクの低減がリコピン自体に関連するものなのか、トマトに含まれるその他の化合物によるものなのか、リコピンの豊富な食事に関連したその他の要因によるものなのかは不明である。現在までのところ、前立腺がんの患者にリコピンを使った短期食事介入研究の結果は有望である。しかし、前立腺がんの予防や治療のためにリコピンのサプリメントを長期間使用することの安全性や効能は不明である。この問題を扱うには、大規模な対照臨床試験が必要であろう。・ビタミンAと胃がんとの関係コホートが90年代に行った40〜59歳の男女約4万人の方々に、野菜・果物摂取の関するアンケート調査を実施し、その後10年間の追跡調査にもとづいて,野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係を調べた結果を2002年に論文発表しています。週一以上でも効果は見られ、週3〜4まで効果が上昇し、ほぼ毎日食べても胃がんの発生率がさらに低くなる傾向は見られませんでした。一方,胃がんは年齢とともに発生率が高くなる分化型のがんと,若年層にも多い未分化型のがんに分類されます。今までの報告では,胃がんの中でも分化型のがんは未分化型のがんよりも食事等の環境要因の影響を受けやすいと言われています。今回の調査結果においても野菜の摂取量が増えるにつれて,胃がん全体と比べて分化型の胃がんでより発生率は減少しました。これまでに行われてきた研究では,漬物は塩分を多く含むため胃がんの危険因子だといわれています。 胃がんを予防するためには,漬物以外の新鮮な野菜の摂取を心がけましょう。・βカロテンは結局何が悪いのか?DNA酸化的損傷を悪化させ、細胞増殖とアポトーシスのp53関連経路を変更する能力に起因する。また、タバコの煙にさらされたフェレットでの実験も、廃腫瘍形成の加速を明らかに示しました。結論・現代の食生活ではビタミンAは男女共600µg RAE前後取れており、少食や偏食での栄養不足の人以外は不足する事はほぼありません。(必要量であって推奨量よりは低い)・ビタミンAの最適な量は食事で十分摂れるため、できるだけ食物繊維が豊富な野菜や果物の食事で摂り、サプリを飲む場合は、あくまでも補助として摂取しましょう。・肺がんに果物とカロテノイドの豊富な食物の肺がん予防効果は「ほぼ確実」であり、非でんぷん質の野菜は肺がんリスクを下げる「可能性がある」。(WCRF/ACIR)・胃がんに効果あり。特に分化型の胃がんにはより効果があります。・食道、結腸・直腸、肺、上部消化器がんに対して野菜・果物、食物繊維を摂取することで予防効果があります。・前立腺がんの予防や治療には不明であるが、前立腺がんの患者にリコピンを使った短期食事介入研究の結果は有望。人参に含まれる豊富なαカロテンは前立腺がんに効果があります。・妊娠中、妊娠を希望する者、閉経後の女性、65歳以上の男性はサプリ摂取を控える。・肺がん死亡リスクが男性が女性の2.8倍あることからも性差はあるが、統計的に見てビタミンaをサプリから取る必要はないとも言えないが、大量摂取は危険です。・ビタミンa(βカロテン含有量)サプリ摂取においてドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は1日2mg以下を推奨し、欧州食品安全機関は15mg以下なら安全と発表しているが、研究結果を検討すると多くても7〜8mg程度に留めた方がよいと考えます。IUで言うと25000IU/日程度までです。特に女性は、カロテノイドの値が男性の2倍あるため、私的には2~3mg程度でも十分だと思います。また、海外ではカロテンではなくビタミンa自体を25000IU含んでるものも存在し、とても危険だと考えられるので購入の際は注意が必要です。・カロテノイド系は肺がんに有効だと考えられる。(βクリプトサンチン≧ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン)・果物と野菜の両方取ることで肺がん死亡リスクを下げ、肺がん罹患リスクの低下にも期待ができ、他の病の罹患リスクを防ぐ。多すぎても少なすぎても、罹患リスクを上げてしまうと考えられるため、がん予防のためには、野菜・果物の摂取量は公衆栄養政策としては、1日600gを目標とする個人の食生活では、1日400g(掌二つ合わせて一杯分)を目標としましょう。・喫煙者は喫煙を辞め、過去喫煙者、アスベスト経験者も健康な人と同様の量を目標としましょう。また、喫煙者はビタミンA(βカロテン含む)のサプリは摂取することは危険です。野菜の摂取でさえ逆効果となり、オランダの研究によると喫煙者は結腸がんのリスクを高める可能性があると言われているため、喫煙を辞めないとリスクは高まる一方です。過去喫煙者も、統計的には有意ではないですが、喫煙の頻度や歴が人によって異なるため長年ヘビースモーカーだった人はサプリ摂取はしないほうが良いと考えます。・私は男性でβカロテンを5mg/日取っていましたが、野菜を日ごろから食べるため、一度は摂らなくなりましたが、食事が偏る時もあるので、摂取したほうがいいと考え現在はβカロテンの量は2~3mg/日に減らして摂取しています。参考http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/13.html(ビタミンA | 海外の情報 | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト)https://www.fsc.go.jp/topics/factsheet-vitamin-a.pdf(ビタミンAの過剰摂取による影響)http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03720160149(食品安全関係情報詳細)https://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/ito3/index.html(日本人男女の肺がん死亡と血清カロテノイド・脂溶性ビタミンとの関連)https://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/160906JACC_HP_Added/umesawa3/index.html(野菜・カロテンの摂取と前立腺癌の罹患)https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8096.html(抗酸化ビタミン摂取と肺がん罹患リスクの関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ)https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2660.html(野菜・果物と肺がんリスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター 社会と健康研究センター)https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/264.html(野菜・果物摂取量と肺がんとの関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ) http://www.5aday.net/v350f200/kanri/kankei_1c.html(がん発症と野菜摂取の関係 - 疫学研究で見る野菜・果物摂取と健康の関係) https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/3802.html(野菜・果物摂取と肺がんリスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター 社会と健康研究センター)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/cncr.23527(Beta‐carotene in multivitamins and the possible risk of lung cancer among smokers versus former smokers - Tanvetyanon - 2008 - Cancer - Wiley Online Library)https://www.afpbb.com/articles/-/2592824(喫煙者の野菜・果物摂取、結腸がん発症リスク高める オランダ研究結果 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11010942?dopt=Abstract(Intake of specific carotenoids and risk of lung cancer in 2 prospective US cohorts. - PubMed - NCBI)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10794479?dopt=Abstract(A prospective cohort study on antioxidant and folate intake and male lung cancer risk. - PubMed - NCBI)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14744731?dopt=Abstract(Dietary carotenoids and risk of lung cancer in a pooled analysis of seven cohort studies. - PubMed - NCBI)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12226001?dopt=Abstract(Dietary carotenoids, serum beta-carotene, and retinol and risk of lung cancer in the alpha-tocopherol, beta-carotene 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