この春からのNHK東京制作の朝ドラ「花子とアン」が、
赤毛のアンを翻訳した村岡花子さんの生涯をドラマ化したもの。というのを覚えていて、
その原作本がこれ。村岡さんの孫娘さんが書いた伝記本です。
以前「マガジンハウス」社からハードカバーで出ていて、雑誌「anan」に広告が載っていましたっけ、
文庫は新潮社から出ています、文庫化が平成23年で、今年2月25日に出た第4刷を買ってきました。
花子さんを演じる主演女優を、てっきり井上真央ちゃんだと思っていた私・・
明治の女学生の役、ぴったり、と思っていたんだけれど、
井上真央ちゃん、いくつか前の朝ドラで、すでにそういう役は演じていましたよね。たしか次の大河ドラマの主演に決まっているんでしたね~。
主演は、吉高由里子ちゃんでした☆
(文庫本の帯↓)
本物の村岡さんのお写真は、これ↓。雰囲気が似ているかも~。
この方、東洋英和女学院卒なんですね~。
じゃあお嬢様育ち?かと思えば、商店(茶葉やさん)の娘で、「給費生」(今でいう「特待生」)として学んだそうなのでした。
開国後、ミッションスクールが、アメリカやイギリス、フランス、カナダのキリスト教会の資本で作られて、
当時の先生たちは、向こうから来た宣教師さんたちなの。だから、学校内も寄宿舎内も、英語が公用語。通訳できる日本人の先生が、朝礼時の校長先生の言葉を訳してくれる。ここで10歳から20歳まで、10年を過ごした村岡さんは、いちども海外渡航をしたことがなくても自在に英語を使えるようになったんだそうです。
わけありの年上の編入生が入ってきて、仲よくなったら、それが世間の注目を浴びるような有名人だったりして、ここで作った人脈にもすごいものがあります。
華族や士族出身の同級生たちが卒業後にお見合いで結婚していくような明治時代に、村岡さんは系列のミッションスクールの先生として職を得、先生をしながら勉強を続けて、樋口一葉を育てた文学者の門下生になり日本語能力も磨き、翻訳家として多数の本を訳しています。その時代のキャリアウーマンなのです。
そして聖書を出版している横浜の大きな印刷やさんの三男(銀座店を任されている)との大恋愛の末、相手が再婚ながらも結婚。お手紙を70通送りあったなどのロマンチックなエピソード。どの俳優さんがその「村岡敬三」を演じるのか、楽しみです(^^)。
(※もう決まっているようですね
!この俳優さんって・・「シバトラ」で黒いタンクトップばかり着ていた男の子・・映画「ガッチャマン」ではミミズクのリュウの役でしたね。大きな役を取るようになってきましたね~。)
「赤毛のアン」というのはカナダの作家が著したものですが、カナダ系のミッションスクールに通っていた村岡さんが、太平洋戦争が始まるころに排斥の対象となって日本から引き揚げていく恩師たちの一人から、「この本を」と託されたものだった、というのを初めて知りました、
カナダではベストセラー本でしたが、日本では戦後村岡さんが出版するまで10年以上も翻訳されたことが無かった「少女向け文学」でした。
文学者を志した20代の頃から、「日本には青年が読むのにふさわしい物語がない。親も子も楽しめる良質な西洋文学を日本に紹介したい」という考えを持っていた村岡さん。「赤毛のアン」がひろく読まれるのになったのは、村岡さんの訳が素晴らしかったから、の部分も大きいと思います。
その翻訳が、戦時中、明かりの使用を規制されたなかで細々と自宅で訳されたもので、戦争終結まで東京にずっと住み続けた村岡さんたちが、空襲のときに本と翻訳原稿を持って逃げて守り、平和な時代が来るまで待って出版されたもの、ということも、今までまったく知りませんでした。
ドラマ化が「東洋英和」の宣伝になるとは思いますが(笑)、
(※ドラマ放送に合わせ、学校内に展示 もしてあるみたい・・)
このあいだの大河ドラマの「同志社大学」といい、この時代のキリスト教系の学校関連がドラマ化されやすいのは、
昔を描くと倫理観や道徳観が今と違いすぎで視聴者の興味を引きづらく、
西洋文化をいちはやく取り入れた人たちを描くほうが今の視聴者に理解しやすいから、
という理由が大きいような気がしますね。
村岡さんの母校、えんじ色のチーフと、セーラーカラーに金色のライン、がかっこいいのですが、
ドラマの中の村岡さんは、セーラー服でなく「着物に袴」姿の女学生。昭和9年から今のセーラー服になったんだそう。
この春も親子で朝ドラを楽しく視聴しようと思います♪
脚本は、中園ミホさん 、語りは三輪明宏さん です(^^)。