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ネーレイスを調べてドはまり(その3)

ちまちまと、地味にデータベースを更新ちぅ。

今回は、ホメーロスの「イーリアス」18巻冒頭付近に出て来るネーレイスたちのリストを反映。
さすがに、新規にデータを作ったのは2つだけだった。
って、まだ二つもあったのかゐ。

これであとは、アポロドーロスのリストを反映すれば、ネーレイスの個別ファイルはひと段落。
かな??

ネーレイスを調べてドはまり(その2)

ギリシア神話なデータベースを作ろうとして、前回、ヘーシオドスのリストに従ってネーレイスを埋めてみたのですが。
ヘーシオドスが終わるとヒュギーヌスのリストを埋めてみたくなるのは、人情(苦笑)

そして。
反映はしましたが、今日は果てました。

次はホメーロスのリストかぁ。

ネーレイスを調べ始めて、ドはまり

先月末頃に、ギリシア神話なデータベースの項目だけは作り切ったと思っていたのですが。
まぁ、途中で追加は出ることは、あらかじめ覚悟もしていたのですが。

こんなに多いなんて、思っていませんでした(苦笑)
ネーレイスたちのリストをヘーシオドスに従って作り始めたら、漏れている名前がたくさん。

2015/8/15の作業(その2)
2015/8/15の作業(その1)

今日の作業分はアップしてあるので、どんな風に調べているのかは、ソースを見てください。
って、だいたい一つ作ってコピペなんですけど。

枠だけは作った

ギリシア神話なデータベースを作ろうと、高津春繁「ギリシア・ローマ神話辞典」岩波書店の見出し項目を参考に、とりあえずファイルの入れ物だけを作っていたワケですが。
やっと、そのファイルが一通り完成しました。

それでも、まだ内容を書いていくうちにファイルが増えるんだろうなぁ。
なんだかんだでHTMLのファイルが4000くらいあるんですが。
データを保管しているNASの動きが遅い(苦笑)

そんなワケで、これからはコンテンツを作りこんでいくPhaseに入りました。

クロムミュオーンの牝猪

クロムミュオーンの牝猪について調べている。
出典内容などはTHEOI PROJECTの丸写しから出発かなぁ。
http://www.theoi.com/Ther/HusKrommyon.html
ただ、ギリシア語表記に関しては、かなり疑問を感じる。

このサイトではὙς Κρομμυων(Hys Krommyon ヒュース・クロムミュオーン)と書いているけれども、どうも納得がいかない。
クロムミュオーンは地名だから、クロムミュオーンという形の形容詞にはならないと思うのだ。
ヒュースもクロムミュオーンも、男性形と女性形が同じだから、これでは本当に「牝猪」かわからない、という些末な疑問も残る。
まぁ、冠詞がつけば性が決まるんですけどね。

このサイトで示されている出典のうち、ストラボーンのものがこの場合参考になるように思う。
その箇所の原文(8.6.22)には次のように書いてある。
(Androidなど一部の端末では、表示できない文字が含まれます)

ἡ δὲ Κρομμυών ἐστι κώμη τῆς Κορινθίας, πρότερον δὲ τῆς Μεγαρίδος, ἐν ᾗ μυθεύουσι τὰ περὶ τὴν Κρομμυωνίαν ὕν, ἣν μητέρα τοῦ Καλυδωνίου κάπρου φασί, καὶ τῶν Θησέως ἄλων ἕνα τοῦτον παραδιδόασι τὴν τῆς ὑὸς ταύτης ἐξαίρεσιν.
また、クロミュオンは現在コリントス市に属する村だが、以前はメガラ地方に属し、ここには「クロミュオンのいのしし」にまつわる説話が伝わっている。話によると、この雌いのししはカリュドンのいのししの母親で、テセウスの功業のひとつ「いのしし退治」とはこのいのししを始末したことだと伝える。
(飯尾都人 訳)

着目するのは、"τὴν Κρομμυωνίαν ὕν"の部分。
ギリシア語は形容詞とそれが修飾する名詞の性、格、数が一致するという特徴があります。
τὴν は女性/単数/対格の冠詞、Κρομμυωνίανは「クロムミュオーンの(人)」を意味するΚρομμυώνιοςという語の女性形であるΚρομμυωνίαの単数対格、ὕνは男性形・女性形が同形であるὗςの単数/対格で「いのしし」という意味。

なんでΚρομμυωνίαという形だとわかるのかというと、このケースではΚρομμυωνίανという語が女性/単数/対格であるとしか考えられないから。
先にも書いたように、形容詞は修飾する名詞と同じ性/格/数をとりますから。
で、女性/単数/対格でΚρομμυωνίανとなるような女性/単数/主格の形容詞はΚρομμυωνίαとなるハズだ、と考えます。

一方で、Stephanus Byzantinusのクロミュオーンの項目を見ると、"ὁ πολίτης Κρομμυώνιος.(ここの市民はクロムミュオーニオス<と呼ばれる>)"と書いてあり、この女性形だったらΚρομμυωνίαかΚρομμυωνίηだろうなぁ、とも思っていたのです。

つまりそれを単数/主格にした、Κρομμυωνία ὗς(Krommyoia hys クロムミュオーニアー・ヒュース)の方が妥当ではないか、と思ったのでした。

クレオンティアデース

今日も今日とて。
ギリシア神話なデータベースを作るべく、まずはファイルの入れ物から、とチマチマ作業。

今回はクレオンティアデースという人。
高津の資料を見ると、よかった、ヘーラクレースとメガラーの間に生まれた子、くらいしか記述がない。

EPWING for the classicsで提供されている英文の読解辞典や、英語版のwikipediaでも独立した項目がとられていません。
まぁ、こういときは、英語版wikipedia内で検索かけちゃうのが安易でラク。

ヘーラクレースの項目に、子供のリストとして出てきます。
その近辺のリファレンスを見てみると、アポロドーロス、ヒュギーヌスの「神話集」、そしてピンダロスへの古注。

アポロドーロスとヒュギーヌスは単にリストしているだけ。
ヒュギーヌスは162節に出て来るんだけど、メガラーではなくてアウゲーとの子に読めてしまう。

ピンダロスへの古注は、それらよりも分量が。
どんなことが書いてあるか、はコメントに入れてあるので、私のファイルのソースを見て戴ければ。
ファイルを表示させるだけだと、ファイルフォーマットだけした表示されません。

あ。
ソースに書かれているギリシア語は、Androidなどでは表示できない文字を含んでいます。
root化してフォントを追加しているような猛者ならば別ですが。

メガラーとの子ということは、ヘーラクレースが狂気に陥ったときに殺されたハズ。
そのことを扱ったエウリーピデースの悲劇「狂えるヘーラクレース」があるのだけれども、そこでは子供たちの名前は出てこない。
エウリーピデースへの古注を見ても、やはり出てこない。

メガラーとの間の子たちの一人、ということで当然殺されたという認識なのかなぁ。
その辺の記述は、現時点では見つけることができていない。
悩ましいなぁ。

更なるアムピダマース??

クリュティエーというキャラクターを調べていて、アムピダマースの娘というが出てきた。
高津の資料に載っているのは

1. アレオスの子、アルゴナウテースたちの一人。
2. エジプト王ブーシーリスの子。
3. アレオスとネアイラの子(1. とは違うらしい)。
4. パトロクロスが殺したクレイトニューモスの父。

更に英語版wikipediaを見ると他に

5. アルゴナウテースたちの一人であるアウゲイアースの母ナウシダメーの父(つまり英雄の祖父)。
6. リュクールゴスの子。

なんかが出て来る。
しかしクリュティエーの父であるアムピダマースとはどれも違うみたいだ。

このクリュティエーの父であるアムピダマースのことが書かれているのは、エウリーピデースの悲劇「オレステース」11行目への古注。
この部分は冒頭のエーレクトラーの独白、「その人(タンタロス)が(ペロプスを)子に持ち」という部分への注釈。
注釈の内容は、おおよそ次のような内容と思われる。

クサントスの娘エウリュステミスエウリュステミステーによって、ペレキューデースによればアムピダマースの娘クリュティアーによって、タンタロスはペロプスを得た。

さて。
アルゴナウテースの中にはヘーラクレースがいたし、ブーシーリスもヘーラクレースに殺された傲慢で残忍なエジプトの王だから、1.から3.はほぼ同時代の人。
4. はトロイア戦争がヘーラクレース没後の出来事なので、そこに参戦した英雄の父であればヘーラクレースと同世代か少し下くらいの人。

5.はアルゴナウテースの一人の祖父かぁ。
ヘーラクレースよりは2世代ほど前の人なんだろうけど、求める人物よりは世代が少し下に思われる。
ヘーラクレースを基準に考えると、彼の系譜は

ペルセウス(-3)-アルカイオス(-2)-アムピトリュオーン(-1)-ヘーラクレース(0)

となる。
ペルセウスがメドゥーサの首を持ち帰ったのは、ペロプスとヒッポダメイアの婚礼の祝いに何を差し出したらいいか、という議題が元だったので、ペルセウスとペロプスは、ほぼ同世代の人。
そのペロプスの母の父ということは、ヘーラクレースよりも5世代ほど前の人であって欲しい。

もっとも、そのペルセウスにしても、妻のアンドロメダーと娶せるには世代を少しワープさせないといけないのだけれども(苦笑)

6.は彼の娘アンティマケーがエウリュステウスに嫁いだといわれている。
エウリュステウスはペルセウスの子ステネロスと、ペロプスの娘ニーキッペーの間に生まれた子。
やっとペロプスの名前が見えてきた。
けれども、彼は世代のなりたちを均質に考えると、ペロプスの娘と同じ世代、つまりヘーラクレースよりも2世代前の人と考えるのが妥当と思われる。
今知りたいのは、ペロプスの母となったクリュティエーの父、つまりヘーラクレースよりも5世代ほど前の人だから、それでもずいぶん世代が違うと思わざるを得ない。

で。
高津の資料では1.から4.までのアムピダマースしかなくて、クリュティエーの項目の中にリストされているアムピダマースの娘とあるのだけれども。

いったい、どのアムピダマースのことを指していたんだろう??


5/21に追記
エウリュステミスかと思っていたら、エウリュステミステーでなければ原文の単数属格形がΕὐρυσθεμίστηςという形にならないことに気づく。
さもなければエウリュステミスタなのだが。
eurysthemisteで検索をかけるとヒットするので、エウリュステミステーに修正。

そして、その父親であるクサントスも、これだけだと情報が少なすぎて他のどのクサントスと同じなのか、または違うのかがわからない。
つまり、新たに項目をつけ加えなくてはいけないであろうことにも気づく(苦笑)

クリュサーオール??

クリュサーオールについて予備リサーチをしているときに、EPWINGなデータに落とされた英文の読解辞典に次のような記述があった。

Chrysaor

2. The god with the golden sword or arms. In this sense it is used as a surname or attribute of several divinities, such as Apollo (Hom. Il. 15.256), Artemis (Hdt. 8.77), and Demeter. (Hom. Hymn. in Cer. 4.) We find Chrysaoreus as a surname of Zeus with the same meaning, under which he had a temple in Caria, which was a national sanctuary, and the place of meeting for the national assembly of the Carians. (Strab. xiv. p.660; comp. Paus. 5.21.5; Steph. Byz. s. v. Χρυσαορίς.)

うぅ~ん。
後半は同じ意味を持つクリュサオレオスという名前がゼウスの添え名に使われているということ、その出典となったストラボーンには、確かにそういう語が使われている。
問題は前半。

イーリアス(15巻256行)のアポローンにしても、ヘーロドトス(8巻77節)のアルテミスにしても、ホメーロス(風)讃歌のデーメーテール讃歌(讃歌第2番, 4行目)にしても、使われている語はクリュサーオロスという形容詞であって、クリュサーオールという名詞ではない。
名詞としてのクリュサーオールは、ヘーシオドスが神統記の中で言っているようにクリュセイオン(黄金の)アオル(剣)から、ということだろう。
実際、訳文を見てもクリュサーオロスの部分は「黄金の太刀(たち)佩く(はく)」という意味合いで書かれている。

かなぁ~りビミョ~な感じだよなぁ。



クラーノーンまたはクランノーン

同名の都市の名祖なのだけれども。
高津の資料には、オイノマーオス王の娘ヒッポダメイアへの求婚に失敗して殺されたときに、当時エピュラと呼ばれていた都市がクラーノーンに変わった、とある。

しかし、これが何に依拠しているのか、が今のところリサーチがついていない。

都市の名祖だから、ステパヌス・ビュザンティヌスなんてどうだろう??と思ってクラーノーンの項目を見たが書いてない。

ホメーロスの「イーリアス」13巻301行目にエピュラという都市名が出て来るので、古注にないかと思ったけれども、私が見た限りでは見つからない。

そういえば、ホメーロスの注解にはエウスタティウスのものもあるな、と思ってみたけれども。
当該箇所にはペロプスの島(現在のペロポンネーソス半島こことだと思う)の発見に関しての短い記述はあるけれども、ヒッポダメイアという名前は見当たらない。

あとは、何を見たらいいんだろう。

悩む。

デーメーテールの異称としてのクトニアー

英語版wikipediaには、クトニアーとしてデーメーテールをはじめchthonic deityな女神の異称、ともある。
chthonicというのはもちろんギリシア語由来の言葉で、再帰的な定義になっているように見えます。

このクトーンというのは、物理的には地面の下、または、ある特定の地域の、といったニュアンス。
パウサニアースなどを読んでいると、「土地生え抜きの人」という意味で「アウトクトノス」という語がよく出てきます。
一方で、その地母神的なイメージ、つまり豊穣とそれに関連する生成、その裏返しとしての死、地下的な魔法の技術、などをイメージさせる語でもあります。

ちなみに、デーメーテールに関してのリファレンスを見てみると

オルペウスの讃歌 第40(または39) エレウシースのデーメーテールへの讃歌 12行。
アポローニオス「アルゴナウティカ」4巻987行。

の二つを挙げています。
まぁ、出典がわかればそれを確認すればいいのです。

オルペウスの讃歌の当該部分は(Androidのスマホやタブレットでは表示できない文字を含みます)
σύ χθονίη, σύ δὲ φαινομένη, σύ δὲ πᾶσι προσηνής·
と書いてあり、おおよその意味は恐らく

おんみ地下なる女神よ、してまた、おんみ光をもたらす女神よ、更にまた、おんみこそすべてに優しき女神。

くらいの意味でしょう。

アポローニオスは岡 道男さんの訳が出ています。
と思ったら、今は絶版のようですね。

当該部分は
....(省略).... οἱ δὲ ἑ Δηούς
κλείουσι χθονίης καλαμητόμον ἔμμεναι ἅρπην.

で、その訳は

それは地下の女神デメテルの刈り鎌ともいわれる。

となっています。

うぅ~ん。
これを「異称」として認めてしまうと、オルペウスの讃歌ではスゴいことになってしまいそうな予感が。
というのも、讃歌を捧げる神格の神威があまねく世界に届いていることを示すために、「天空の、しかして地下をも」といった表現が結構出てきます。

まぁ。
データベースにどのように反映していくか、は、ゆるゆると悩んでいこうと思います。

<追記>
私が異称だと思っていた元の語はepithet。
つまり、形容辞ですね。
それなら納得。
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