クリュサーオール?? | Swift Servant for WONDER

クリュサーオール??

クリュサーオールについて予備リサーチをしているときに、EPWINGなデータに落とされた英文の読解辞典に次のような記述があった。

Chrysaor

2. The god with the golden sword or arms. In this sense it is used as a surname or attribute of several divinities, such as Apollo (Hom. Il. 15.256), Artemis (Hdt. 8.77), and Demeter. (Hom. Hymn. in Cer. 4.) We find Chrysaoreus as a surname of Zeus with the same meaning, under which he had a temple in Caria, which was a national sanctuary, and the place of meeting for the national assembly of the Carians. (Strab. xiv. p.660; comp. Paus. 5.21.5; Steph. Byz. s. v. Χρυσαορίς.)

うぅ~ん。
後半は同じ意味を持つクリュサオレオスという名前がゼウスの添え名に使われているということ、その出典となったストラボーンには、確かにそういう語が使われている。
問題は前半。

イーリアス(15巻256行)のアポローンにしても、ヘーロドトス(8巻77節)のアルテミスにしても、ホメーロス(風)讃歌のデーメーテール讃歌(讃歌第2番, 4行目)にしても、使われている語はクリュサーオロスという形容詞であって、クリュサーオールという名詞ではない。
名詞としてのクリュサーオールは、ヘーシオドスが神統記の中で言っているようにクリュセイオン(黄金の)アオル(剣)から、ということだろう。
実際、訳文を見てもクリュサーオロスの部分は「黄金の太刀(たち)佩く(はく)」という意味合いで書かれている。

かなぁ~りビミョ~な感じだよなぁ。