更なるアムピダマース?? | Swift Servant for WONDER

更なるアムピダマース??

クリュティエーというキャラクターを調べていて、アムピダマースの娘というが出てきた。
高津の資料に載っているのは

1. アレオスの子、アルゴナウテースたちの一人。
2. エジプト王ブーシーリスの子。
3. アレオスとネアイラの子(1. とは違うらしい)。
4. パトロクロスが殺したクレイトニューモスの父。

更に英語版wikipediaを見ると他に

5. アルゴナウテースたちの一人であるアウゲイアースの母ナウシダメーの父(つまり英雄の祖父)。
6. リュクールゴスの子。

なんかが出て来る。
しかしクリュティエーの父であるアムピダマースとはどれも違うみたいだ。

このクリュティエーの父であるアムピダマースのことが書かれているのは、エウリーピデースの悲劇「オレステース」11行目への古注。
この部分は冒頭のエーレクトラーの独白、「その人(タンタロス)が(ペロプスを)子に持ち」という部分への注釈。
注釈の内容は、おおよそ次のような内容と思われる。

クサントスの娘エウリュステミスエウリュステミステーによって、ペレキューデースによればアムピダマースの娘クリュティアーによって、タンタロスはペロプスを得た。

さて。
アルゴナウテースの中にはヘーラクレースがいたし、ブーシーリスもヘーラクレースに殺された傲慢で残忍なエジプトの王だから、1.から3.はほぼ同時代の人。
4. はトロイア戦争がヘーラクレース没後の出来事なので、そこに参戦した英雄の父であればヘーラクレースと同世代か少し下くらいの人。

5.はアルゴナウテースの一人の祖父かぁ。
ヘーラクレースよりは2世代ほど前の人なんだろうけど、求める人物よりは世代が少し下に思われる。
ヘーラクレースを基準に考えると、彼の系譜は

ペルセウス(-3)-アルカイオス(-2)-アムピトリュオーン(-1)-ヘーラクレース(0)

となる。
ペルセウスがメドゥーサの首を持ち帰ったのは、ペロプスとヒッポダメイアの婚礼の祝いに何を差し出したらいいか、という議題が元だったので、ペルセウスとペロプスは、ほぼ同世代の人。
そのペロプスの母の父ということは、ヘーラクレースよりも5世代ほど前の人であって欲しい。

もっとも、そのペルセウスにしても、妻のアンドロメダーと娶せるには世代を少しワープさせないといけないのだけれども(苦笑)

6.は彼の娘アンティマケーがエウリュステウスに嫁いだといわれている。
エウリュステウスはペルセウスの子ステネロスと、ペロプスの娘ニーキッペーの間に生まれた子。
やっとペロプスの名前が見えてきた。
けれども、彼は世代のなりたちを均質に考えると、ペロプスの娘と同じ世代、つまりヘーラクレースよりも2世代前の人と考えるのが妥当と思われる。
今知りたいのは、ペロプスの母となったクリュティエーの父、つまりヘーラクレースよりも5世代ほど前の人だから、それでもずいぶん世代が違うと思わざるを得ない。

で。
高津の資料では1.から4.までのアムピダマースしかなくて、クリュティエーの項目の中にリストされているアムピダマースの娘とあるのだけれども。

いったい、どのアムピダマースのことを指していたんだろう??


5/21に追記
エウリュステミスかと思っていたら、エウリュステミステーでなければ原文の単数属格形がΕὐρυσθεμίστηςという形にならないことに気づく。
さもなければエウリュステミスタなのだが。
eurysthemisteで検索をかけるとヒットするので、エウリュステミステーに修正。

そして、その父親であるクサントスも、これだけだと情報が少なすぎて他のどのクサントスと同じなのか、または違うのかがわからない。
つまり、新たに項目をつけ加えなくてはいけないであろうことにも気づく(苦笑)