世界大恐慌の裏側~フーバーはほんとに無能だったの?~
前回のブログで1929年に起こった世界大恐慌に触れましたが、その原因は主に世界の中央銀行の誤った金融政策の結果引き起こされたものだということがわかると思います。基本的に金融市場の安定化の為に政策を決めるのは中央銀行の役目だからです。株の大暴落を防ぐ有効な対策を立てられるのは主に中央銀行です。しかし、歴史の教科書を見ると、大恐慌時のアメリカの大統領だったフーバーを「大恐慌時に有効な対策を立てられず不況を拡大させた無能な大統領」という評価をしている記述が多いです。しかし、大恐慌時フーバーは実際には様々な対策を講じていたのですが、アメリカ政府が出来る事には限界があります。そもそも大恐慌の原因を作ったのは各国の中央銀行です。なので、解決するには各国の中央銀行が主導して金融政策をしていかなければいけないわけです。現在の経済学者達の間では「世界大恐慌はFRBが引き起こした」というのが最も有力な説となっています。その後の数多くの研究者が発表した学術論文によって、客観的な裏付けもされています。しかし、当時の中央銀行は、殆どが国有化されておらず、民間資本によって成り立っていました。イングランド銀行、フランス中央銀行は1945年頃国有化されました。日本銀行はもともと国有化されていましたが、FRBに至っては現在も100%民間銀行です。この状況下で政府にだけ責任をなすりつけるのは間違っていると思います。政府がいくら対策を立てたところで中央銀行の協力が得られなければ殆ど効果は期待出来ないからです。社会的問題は原因と、その責任の所在をしっかり分析しなければいけません。でなければ、有効な解決は出来ないからです。大恐慌をフーバーの責任にしても問題は解決しなかった、ということです。そして、当時のヨーロッパやアメリカの中央銀行を支配していたのは国際金融資本家です。ロスチャイルド財閥やロックフェラー財閥が積極的に政府に協力していれば大恐慌は世界中に拡大していなかったかもしれません。逆にいうと、かれらの協力なしでは、各国政府がどんな政策をしてもほとんど効果はなかったと言えるかもしれません。下記、ブログ記事参照世界の支配者が決まった年~1913年~ | 時間が無い人でもサクッとわかる現代社会の仕組み (ameblo.jp)金本位制とは?~金の足かせに支配された19世紀のイギリス | 時間が無い人でもサクッとわかる現代社会の仕組み (ameblo.jp)世界大恐慌はフーバーにとっては、災難であったのかもしれません。結局フーバーは大恐慌に振り回されて、1期4年で大統領職を辞する事になります。しかし、フーバーは、公共政策シンクタンクであるフーバー研究所を設立して、第一次世界大戦や第二次世界大戦についての厖大な資料を元に、当時の世界情勢について様々な研究を戦後続けました。そのフーバー研究所が2011年出版したのがフーバー回顧録と言われる「裏切られた自由」です。フーバーの死後47年たってようやく出版する事が出来た、まさに、元大統領による世紀の証言です。フーバーは1964年90歳で死去するまで原稿を書き続けました。これを読めば当時の世界情勢にどのように共産主義者や国際金融資本家が関わりルーズベルト政権を対日戦争へと向かわせたのかがよく分かると思います。もちろん私はフーバーが完璧な人間で政策的に間違った事を全くしなかった、と言うつもりはありません。彼にも欠点は沢山あり、過ちも沢山しました。しかし、責任の所在を明確にするという意味で最も非難されるべきは、その原因を作った各国の中央銀行であると思います。これは現在のアメリカ政治にも言えます。新型コロナウィルスの感染拡大をトランプ前大統領のせいばかりにしているメディアの報道姿勢と何か似ている所を感じます。そもそも大統領は医療の専門家ではないので、医療の専門家が正しい情報と正確な分析で有効な対策を講じるべきでしょう。また、感染拡大はアメリカだけでなく世界中に広がっています。どこの国でも感染拡大しているので1国の指導者だけの責任にするのはあまりに酷な話しといえます。フーバーとトランプは似ている所が沢山あります。・大統領在任時に、大恐慌やコロナといった災難に遭遇した事。・その責任をなすりつけられて1期4年で大統領職を辞めた事。・反戦主義者でナショナリストだった事。・国際金融資本家の言いなりにならず独自の政治姿勢を貫いた事。・億万長者だった事。・メディアや新聞などで人物像がかなり歪められて報道されている事。などなど。奇妙なくらい、共通点があります。我々一般庶民は時として、フーバーやトランプが遭遇したような対外的要因で大損害を受ける事があります。世界大恐慌やコロナ被害は庶民の責任で起こった事ではないかもしれません。しかし、その損害は最も弱い立場にいる人達が受ける事になります。ここで大事なのは、我々には到底かなうはずのない大きな勢力によって引き起こされたかもしれない、という認識を持つことです。少なくとも隣に住んでる人のせいではないのです。そうすれば、謙虚にそして客観的になることが出来ます。事実100年前の大恐慌はFRBによって引き起こされた、という事が今ははっきり認識する事が出来ます。しかし、その当時の人達は何が原因で誰の責任なのか、しっかり把握していた人は少なかったと思います。振り返ってみて後からわかってくるのです。この教訓は今にも活かせます。いたずらに責任のなすりつけあいをしても問題は解決しないということです。我々庶民がいくらあがいた所で太刀打ち出来ないのですが、正しい認識を持つよう努力する事は大切です。間違った認識や誤解のもとに行動すると、余計大きな対立や紛争が引き起こされるからです。世界大恐慌がきっかけで第二次世界大戦が引き起こされたように、本来対立する必要のない人達が争いだして紛争が拡大していってしまうのですから、正しい認識を持っていれば、防げる事は沢山あります。結局、大きな勢力に対抗するには我々庶民が正しい認識を持つ努力をするしか方法はないのです。今はインターネットが発達しているので、正しい情報を知る方法は沢山あります。一般庶民がこういった努力をする事が、現代社会にとって重要な責任を果たす事だと思います。※参考文献裏切られた自由 上: フーバー大統領が語る第二次世界大戦の隠された歴史とその後遺症Amazon(アマゾン)8,800〜22,733円裏切られた自由 下 ~フーバー大統領が語る第二次世界大戦の隠された歴史とその後遺症Amazon(アマゾン)9,196円