2021年4月18日、ヨーロッパサッカーのビッククラブを中心とした12チームが参加するヨーロッパスーパーリーグの創設が発表されました。
ユベントス、レアルマドリード、バルセロナ、マンチェスターユナイテッド、ACミランなど、サッカー界では誰でも知っている12の人気クラブが参加するリーグです。
もしこの構想が実現すれば、毎週のように、人気クラブ同士の試合が見れるとても魅力的なリーグになるでしょう。
サッカー好きの私としても、こんなビックマッチが毎週のように見られるならとても嬉しいかぎりです。
そして、このリーグのスポンサーとして資金援助を表明しているのがJPモルガンというアメリカの大手銀行です。
総額で5000億円規模の資金を投資する事で合意したと言われています。
JPモルガンは、ロスチャイルド系の財閥から資金援助を受けてアメリカの金融業界で成長した、立派な国際金融資本家です。
1913年のFRB(連邦準備制度理事会)の設立にも関わっているので、連邦準備銀行の株主にもなっていると言われています。
毎年、多額の米国債の利息収入のあるJPモルガンにとって5000億円の資金を拠出する事は簡単な事です。
毎週ビッククラブ同士の試合が見れるヨーロッパスーパーリーグは、いちサッカーファンとしてとても魅力的に見えます。
実際に創設されれば成功する事は間違いないでしょう。
参加するクラブの商業面での収益も格段に上がり、ビジネス面だけを見ればとても有望な投資と言えます。
しかし・・・
その後、ヨーロッパ各国のサッカー協会の猛反発にあい、撤退するクラブが相次ぎ、あえなくこの構想は頓挫しました。
4月23日にはJPモルガンも過ちを認めて、撤退を表明したと報じられています。
実際に反対していたのは、FIFA(国際フットボール連盟)、UEFA(欧州フットボール連盟)、イギリスのジョンソン首相、過去の名サッカープレイヤー達とそうそうたる人達で、言ってみれば、ヨーロッパスーパーリーグの創設に関わっていないほとんどの人達といってもいいでしょう。
私自身、成功間違いないと言いましたが、構想自体には反対です。
ビジネス的には成功間違いないと思いますが、構想自体に反対な理由は、様々ありますが、一言でいうと、
「ヨーロッパのサッカー文化を潰す」
というのが大きな理由です。
ヨーロッパスーパーリーグが創設されれば、サッカーファンの注目はそちらの方に向き、ヨーロッパ各国の国内リーグがマイナーリーグのようになってしまう恐れがあります。
中小の弱小クラブは国内リーグの試合が主な収入源なのですが、現状でも経営が苦しいクラブはたくさんあります。
ビッククラブと比べると、とても資金面で対抗出来ません。
しかし、国内リーグでビッククラブとの試合や、クラブ内の育成システムで育てた有望選手をビッククラブへ移籍させた移籍金などを収入としてなんとかクラブを運営しています。
国内でビッククラブと試合して有望選手を育てる機会を失えば、さらに経営が苦しくなるのは明らかです。
つまり、ビッククラブと中小クラブとで経済格差が今まで以上に広がってしまいます。
そうなると、どういうことになるか、ヨーロッパのサッカー界だけでなくスポーツ界全体にとっても悲惨な将来が予見出来ます。
ヨーロッパのサッカークラブは、ただプロサッカーチームを運営しているだけでなく、地域の総合スポーツ施設を市民に提供する役割も果たしています。
地域に住む人達にサッカーはもちろん、バスケット、バレーなど様々なスポーツをする機会を提供しているのです。
また、ユースチームといって各年代に分かれてサッカースクールを作り将来のプロ選手を目指す子供達を指導育成もしています。
日本の場合は主に学校の部活動でスポーツをして将来スポーツ選手になる人が多いですが、その役割をヨーロッパでは地域のスポーツクラブが担っているのです。
そして、プロのサッカーチームはそういった地域に住む人達の代表的な存在なので、地域の人達から支援され応援してもらえるのです。
つまり、スポーツそのものが文化であり地域の人達の生活そのものになっているのです。
その中心的な存在がサッカークラブなのです。
なので、これらのクラブの運営が困窮して、無くなってしまったら地域の人達がスポーツをする機会が奪われます。
また、将来スポーツ選手を目指す子供達はどこにいってスポーツをしたらよいのでしょうか?
中小クラブはただプロサッカーチームを運営しているのでなく、むしろ地域の人達と共にスポーツという文化を共有する存在なのです。
ヨーロッパのスポーツを底辺で支えているのは中小クラブと言っても過言ではありません。
これらの事は、もちろんヨーロッパに住む人達は分かっているので皆が反対したのです。
ただ儲かればよい、、、という発想では文化が潰されてしまいます。
そして、その裏には国際金融資本家の影があります。
これらの事は他人事ではなく日本でもあり得る事です。
儲け主義に走れば、文化や伝統が潰され、お金では買えない自分達が築いてきた大事なものがあっという間に潰されてしまいます。
このように他国の文化や伝統をあっという間に潰して自分達だけが儲ける仕組みを作るのがグローバリストなのです。
今回の一連の騒動は、ヨーロッパ人の殆どが反対を表明したことであっという間に構想は頓挫しました。
これはヨーロッパ人の民度がとても高く、文化や伝統を大事にする姿勢の表れだと思います。
このようなヨーロッパ人の姿勢を日本人は見習うべきだと思います。
我々日本にも同じような事例がたくさんあります。
ここ20年間でどれほどの伝統や文化を失ったかを考えるいいきっかけになれば、と思います。
儲ける事と、本当の人生の豊かさを享受する事は必ずしも一致しません。
文化伝統を犠牲にして儲け主義に走れば、必ず後日、大きなしっぺ返しを食らうことになるでしょう。
※参考文献