今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。
本家のレコード・アカデミー賞(こちらのページを参照)とはまた別に、自分一人で勝手に選ぶ「一人レコード・アカデミー賞」のシリーズ(その記事はこちら)を書いてきたが、最後にそれらをまとめたい。
1. 大賞 管弦楽曲部門
ストラヴィンスキー:『火の鳥』『春の祭典』
ジョゼプ・ビセント&アッダ・シンフォニカ
録音の多い名曲「春の祭典」で、ブーレーズ盤やカンブルラン盤やナガノ盤の明晰性と、ネゼ=セガン盤やクルレンツィス盤の躍動感とを兼ね備えた、過去のあらゆる演奏を超えんばかりの名演を実現している。
The Firebird Suite I: Introduction (1919) - YouTube
※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。
https://www.youtube.com/watch?v=-HUaCQ_8qbE&list=OLAK5uy_m4_I8nr2J2IrzyrF9ckgrEykta43NTB6I
2. 大賞銀賞 交響曲部門
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナ
これまた録音の多い名曲「運命」交響曲で、“現代のトスカニーニ”とでも呼びたくなるような異様なキレとパワーを発揮し、往年の名盤たちに肩を並べる現代屈指の名演を実現している。
3. 大賞銅賞 協奏曲部門
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番
アリーナ・イブラギモヴァ、ヴラディーミル・ユロフスキー&ロシア国立交響楽団
(CD)
ショスタコーヴィチの音楽は演出された不気味さではなく、彼の人生そのものなのだということがよく分かる、火花の散るような真剣勝負の大熱演で、その迫力たるや初演奏者オイストラフの名盤にも劣らない。
●室内楽部門
『VIENNE 1900~20世紀初頭、ウィーンの室内楽』
樫本大進、エマニュエル・パユ、ポール・メイエ、ズヴィ・プレッサー、エリック・ル・サージュ(2CD)
(NML/Apple Music/CD)
Piano Trio, Op. 1: I. Allegro non troppo, con espressione - YouTube
※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。
https://www.youtube.com/watch?v=j9D3VZF4Md4&list=OLAK5uy_mlu3F7cy1UldiXGBSWP7JMUYC4fM0tr54
●器楽曲部門
J.S.バッハ:トッカータ集
鈴木雅明(チェンバロ)
(NML/Apple Music/CD)
●オペラ部門
ブリテン:『ピーター・グライムズ』全曲
エドワード・ガードナー&ベルゲン・フィル、スチュアート・スケルトン、エリン・ウォール、他(2019 ステレオ)(2SACD)
(NML/Apple Music/CD)
Peter Grimes, Op. 33, Prologue: Peter Grimes! Peter Grimes! - YouTube
※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。
https://www.youtube.com/watch?v=vDY55QKDvo0&list=OLAK5uy_n_hk-FEpeW7elAchjjd9EvVa_Bp5-Imr4
●声楽曲部門
シャンソン・ダムール~フランス歌曲集
サビーヌ・ドゥヴィエル、アレクサンドル・タロー
(NML/Apple Music/CD)
3 Songs, Op. 23: No. 2, Notre amour - YouTube
※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。
https://www.youtube.com/watch?v=oTr3WbMY5ao&list=OLAK5uy_nrMVAUjEWBJUBix0HKNb_gZZN8khrqLZg
●音楽史部門
Cum Silentio
Marc Diaz&Cor Cererols
※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。
https://www.youtube.com/watch?v=StCjeoFEBC0&list=OLAK5uy_n1du2RcfUk0DNurOu6c25QgxMD5uqg-K0
●現代曲部門
ペンデレツキ:ルカ受難曲
ケント・ナガノ&モントリオール交響楽団、クラクフ・フィルハーモニック合唱団、スワヴォミル・ホランド(語り)
(NML/Apple Music/CD)
●特別部門 吹奏楽/管・打楽器
なし
私は吹奏楽に疎いため、これはなしとした。
●特別部門 ビデオ・ディスク「コンサート&ドキュメンタリー」
ヴェルディ:『椿姫』第3幕 前奏曲、シェーナとアリア
テオドール・クルレンツィス&ムジカエテルナ、ナデージダ・パヴロヴァ、他
フルシャのシューマン交響曲第2番(その記事はこちら)やシフのバッハ平均律(その記事はこちら)も捨てがたいが、クルレンツィスのヴェルディ「椿姫」抜粋(その記事はこちら)を選ばないわけにはいかない。
指揮・歌唱・映像、いずれも入念に作り込まれた一級品。
●特別部門 ビデオ・ディスク「舞台&劇作品」
ヴァーグナー:『神々の黄昏』全曲
沼尻竜典&京都市交響楽団、クリスティアン・フランツ、ステファニー・ミュター、他
びわ湖ホールでのオペラ無観客公演の映像(その記事はこちら)。
コロナ禍での無観客ライヴストリーミング配信およびBlu-ray販売の先駆けとなった歴史的ドキュメンタリーとしての価値、および演奏の見事さを考えると、この賞にこれ以上ふさわしい盤は他にあるまい。
●特別部門 録音
なし
音質の良し悪しは、高音質どうしの微妙な差異がよく聴き分けられないため、これはなしとした。
●特別部門 企画・制作
なし
何を選んでいいのかよく分からないため、これもなしとした。
●特別部門 特別賞
ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 第5回派遣コンクール ライヴCD
古海行子、進藤実優、他
これも何を選んでいいのかよく分からないが、ここでは限定販売のショパンコンクール in ASIA ライヴCDを挙げたい(その記事はこちら)。
ショパンコンクール本大会(コロナ禍のため現在延期中だが)出場者選定の一環で、日本人ピアニストによる世界レベルの名演が聴ける。
●特別部門 歴史的録音
ベートーヴェン:交響曲全集
アルトゥーロ・トスカニーニ&NBC交響楽団(ステレオリマスター)
(Apple Music 1/2/3)
フルトヴェングラーやトスカニーニのモノラル録音による名盤を疑似ステレオ処理する試みは古くからなされてきたが、このトスカニーニのベートーヴェン全集は比較的きれいにできているほうだと思う(それでもやはりモノラルによる原録音の自然さを私は好むけれど)。
以上である。
このような他愛もないお遊びに長々とお付き合い下さり、誠にありがとうございました。
ちなみに、「一人レコード・アカデミー賞」のこれまでの記事はこちら。
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