(一人レコード・アカデミー賞2020 その9 現代曲部門) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。

「一人レコード・アカデミー賞」のシリーズである(その記事はこちら)。

本家のレコード・アカデミー賞(こちらのページを参照)とはまた別に、自分一人で勝手に2020年発売の名盤を選んでみようと思う。

 

 

一部門につき5つの名盤を挙げ、そこからさらに一つ選びたい。

今回は現代曲部門。

現代曲、というとどこから選んでいいのかよく分からないのだが、本家のレコード・アカデミー賞では以前にクルターグの曲が現代曲部門に選ばれていたため、少なくともクルターグの生年である1926年以後に生まれた作曲家の曲は選んでいいものと思われる。

順序は、発売日の早い順である。

 

 

 

 

 

 

グリゼー:戸口を抜けるための4つの歌、ノーノ:ジャミラ・ブーパシャ、他

バーバラ・ハンニガン、ルートヴィヒ管弦楽団

NMLApple MusicCD

 

ソプラノ歌手兼指揮者のハンニガンが「受難」をテーマにルートヴィヒ管弦楽団を振って録音したノーノ、グリゼーの歌曲とハイドンの交響曲。

特にグリゼー晩年の「4つの歌」は、響きの透明度を重視したカンブルランの名盤とはまた違った濃厚な表現の演奏で、こちらも良い。

 

Djamila Boupacha for Soprano Solo - YouTube

 

※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。

https://www.youtube.com/watch?v=MWfs7ELzlRw&list=OLAK5uy_nom7b7u_27l4mCLN8nc7jcl27tigrqbHo

 

 

 

 

 

 

ペンデレツキ:ルカ受難曲

ケント・ナガノ&モントリオール交響楽団、クラクフ・フィルハーモニック合唱団、スワヴォミル・ホランド(語り)

NMLApple MusicCD

 

現代音楽を得意とする名指揮者ケント・ナガノが2018年ザルツブルク音楽祭で取り上げた、ペンデレツキ「ルカ受難曲」のライヴ録音。

純朴な信仰のペンデレツキ自演盤、悲痛な叫びのヴィト盤とはまた違った、透明度および完成度のきわめて高い洗練された名演。

 

 

 

 

 

 

クライン:ダンス、他

インバル・セゲフ、マリン・オールソップ&ロンドン・フィル

NMLApple MusicCD

 

以前の記事にも書いたが(その記事はこちら)、イギリスの女性作曲家クラインのチェロ協奏曲風作品「ダンス」を、女性チェリストのセゲフと女性指揮者のオールソップが取り上げたアルバム。

女性らしい(というのは先入観かもしれないが)優しさに満ちた演奏。

 

 

 

 

 

 

 

ペルト:ラメンターテ、ピアノ作品集

オヌテ・グラジーニテ、モデスタス・ピトレナス&リトアニア国立交響楽団

NMLApple MusicCD

 

管弦楽曲部門で取り上げた指揮者ミルガ・グラジニーテ=ティーラの妹であるピアニスト、オヌテ・グラジーニテによるペルトのピアノ曲集。

北欧の空気のような純な響きは、これまでよく聴いていたラルフ・ファン・ラート盤以上に印象的(終曲での歌唱も朴訥として美しい)。

 

Lamentate: I. Minacciando - YouTube

 

※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。

https://www.youtube.com/watch?v=_75I_YFKh7g&list=OLAK5uy_m4LA46gyLme1eLW08r7kSjZrDCVs0FWnI

 

 

 

 

 

 

リーム:混ざりあう夢(グリューフィウス断章、バリトンとピアノのための 2017)、他

ゲオルク・ニグル、オリガ・パシチェンコ

NMLApple MusicCD

 

ドイツの作曲家リームの歌曲集「混ざりあう夢」(トラック10-16)は、このアルバムで初めて聴いたが(2017年作と比較的新しい曲のよう)、リームらしい(現代曲にしては)抒情的な味わいが感じられる。

バリトン歌手ニグルの落ち着いた声は、この曲によく合っている。

 

Im Freien, D. 880 - YouTube

 

※YouTubeのページに飛ぶと全曲聴けます。飛ばない場合は以下のURLへ。

https://www.youtube.com/watch?v=x0UojasUrOM&list=OLAK5uy_l7M6ulxJw4DRxGfIvVdxQj406uooks0Uc

 

 

 

 

 

その他、エスメ四重奏団のチン・ウンスク「パラメータストリングス」他、クレックナーのリーム「線について」、オールソップ&BBC響他のクライン「神話集」などが印象に残っているが、最終的には上の5盤を選んだ。

 

 

この5つの中から一つ選ぶとすると、由緒あるザルツブルク音楽祭で最晩年のペンデレツキ本人の臨席のもと大作「ルカ受難曲」の歴史的名演を実現したナガノということになろうか。

というわけで、一人レコード・アカデミー賞2020の現代曲部門は、

 

ペンデレツキ:ルカ受難曲

ケント・ナガノ&モントリオール交響楽団、クラクフ・フィルハーモニック合唱団、スワヴォミル・ホランド(語り)

NMLApple MusicCD

 

ということにしたい。

 

 

なお、実際のレコード・アカデミー賞2020の現代曲部門は、ハンニガン(sop,指揮)、ルートヴィヒ室内管弦楽団による「受難」(グリゼー:境界の彼方への4つの歌、他)であった。

つまり、上記の5盤のうち1番目のものと同じである(本家と初めて重なった)。

 

 

ちなみに、「一人レコード・アカデミー賞」のこれまでの記事はこちら。

 

その1 交響曲部門

その2 管弦楽曲部門

その3 協奏曲部門

その4 室内楽曲部門

その5 器楽曲部門

その6 オペラ部門

その7 声楽曲部門

その8 音楽史部門

 

 


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