今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
好きなピアニスト、アンドラーシュ・シフの新譜が発売された(Apple Music 1/Apple Music 2/Blu-ray 1/Blu-ray 2)。
曲目は、バッハの平均律クラヴィーア曲集第1、2巻である。
詳細は以下の通り。
巨匠アンドラーシュ・シフの平均律、ライヴ映像が登場!
2017年のプロムスで行われた、シフによるバッハ『平均律第1巻』全曲ライヴが映像で登場します。80年代を中心にバッハの鍵盤作品を体系的に録音。またモダン・ピアノのみならずフォルテピアノを用いたシューベルトなどの録音でも高い評価を得ているシフ。バッハという作曲家とピアノという楽器を多角的に手中に収めている彼なればこその、ペダルを一切使わずにスタインウェイを豊かに響かせる、たいへん美しい演奏を聴くことが出来ます。プロムスというお祭りの会場ということもあり、最初は多少のざわつきも聞かれますが、曲が進むにつれて聴衆を作品の中へどんどん引き込んでいく様は圧巻。2時間近い時間が、あっという間に過ぎてしまいます。
なお、2018年に同会場で行われた『第2巻』全曲のライヴは、2020年2月に発売予定です。(輸入元情報)
【収録情報】
● J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV.846-869 (1722) 全曲
アンドラーシュ・シフ(ピアノ/スタインウェイ)
収録時期:2017年9月7日
収録場所:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール(ライヴ)
収録時間:111分
画面:カラー、16:9、HD
音声:PCM Stereo、DTS-HD 5.1
Region All
ブルーレイディスク対応機器で再生できます。
巨匠アンドラーシュ・シフの平均律ライヴ映像、第2巻が登場!
2018年のプロムスで行われたシフによるバッハ『平均律』第2巻全曲ライヴが、2017年の第1巻に続き映像で登場します。80年代を中心にバッハの鍵盤作品を体系的に録音し、モダン・ピアノのみならずフォルテピアノを用いたシューベルトの録音などでも高い評価を得ているシフ。バッハという作曲家とピアノという楽器を多角的に手中に収めている彼なればこその、ペダルを基本的に使わずスタインウェイを豊かに響かせる、たいへん美しい演奏を聴くことが出来ます。
練習曲集の色彩が強い第1巻から約20年を経て出版された第2巻は、音楽的にも作曲技法的にも高度で先進的な作品となっており、先にリリースされた第1巻にも増してシフの深い作品理解がより生きた演奏内容となっています。プロムスというお祭りの場でありながら、前年の公演の素晴らしさもあってか大きな期待と感動に包まれた会場の様子もまた、たいへん好感の持てるものです。(輸入元情報)
【収録情報】
● J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV.846-893 (1742) 全曲
アンドラーシュ・シフ(ピアノ/スタインウェイ)
収録時期:2018年8月29日
収録場所:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール(ライヴ)
総収録時間:142分
画面:カラー、16:9、HD
音声:PCM Stereo & DTS-HD 5.1
Region All
ブルーレイディスク対応機器で再生できます。
以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちらとこちら)。
以前にも少し書いたことがあるけれど(その記事はこちら)、私が2011年2月13日に紀尾井ホールで聴いたシフのバッハ平均律第2巻全曲演奏会は、これまでに体験した数えきれないほど多くのコンサートの中でも、5本の指に入るであろう素晴らしいものだった。
このときの演奏は、同じ2011年の8月に彼がセッション録音した平均律全曲盤(NML/Apple Music/CD)に似ている。
なお、彼がさらに若い時に入れた1984-85年盤(NML/Apple Music 1/Apple Music 2/CD)は、この曲のピアノ版としてはもう以後30年以上これを超える録音が現れていないほどの名盤である。
2011年の紀尾井ホールでの演奏は、厳密に言えばこの1984-85年盤に比しほんのわずかな衰えがあったけれど、生演奏の臨場感もあってほとんど気にならなかった。
始終驚きっぱなしの、ものすごい演奏だった。
しかし、今回の新譜は、正直に言うと、さらにもう一歩か二歩衰えのみられる演奏である。
指の回りやフレーズのつながりが、ところどころぎこちない。
衰えと言っても、63-64歳時の演奏であることを考えると、かなりテクニックを保っているほうだとは思う。
しかし、私は2011年に上述の演奏会を聴いてしまったので、どうしても要求が贅沢になってしまうのだった。
好きなピアニスト、石井楓子が本年初めにスイスのバーゼルで、シフのバッハ平均律第2巻全曲演奏会を聴いたという。
彼女のブログには、シフの明晰な演奏が印象的だった旨が書かれていたが、わりあいさらりとした感想だった。
彼女には、ぜひとも2011年の紀尾井ホールでの演奏会を聴いてほしかった。
あれを聴いたならば、彼女はどのような感想を持っただろうか。
と、色々難癖をつけてしまったが、それでもシフのバッハは、他のどのピアニストよりバッハらしいのも確かである。
このようにきれいな形で残してくれた彼の平均律の映像は、やっぱり貴重というほかない。
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