ミケの狩り
ミケは容赦ない。ミケに逆らう野良猫はいなかったし、例え自分の子供でも、ある程度大きくなったら甘えるのを許さなかった。身体はちっちゃいのに喧嘩は強くて近所には自分の子供たちがたくさんいて強かで、人懐っこい三毛猫だった。野良猫を辞めて家に入ることを決めてからは連れてきた茶太郎と小太郎のことをたくさん可愛がった。自分の身体より大きくなった子供たちを突き放すことなんかなく側に来たら毛繕いしてあげて、いつも身体をくっつけて仲良く寝ていた。ミケはいつもちゃんと考えていたんだなぁと野良猫時代の子供たちには小さい頃から早くに野良猫として生きる厳しさに慣れてもらわなければいけない生きる環境で、子供たちのことを考えて接し方を変えてきたんだなぁと思った。茶太郎と小太郎のお父さんらしき猫が来たこともあった。灰色のキジトラっぽい猫で、その模様は茶太郎が受け継いでいる。そしてその体格の良さは小太郎が受け継いでいる。「もんた」って名前をつけていたけどいつも玄関フードで外を眺めていてよその猫が来たら家族で尻尾を膨らませて威嚇するのだが、もんたが来たときは威嚇せずにガラス越しに匂いを嗅いでいたし子供達も興味津々だった。お父さんも一緒に暮らそうかとも思ったけど家にはこの親子以外の猫もいるし何よりもんたは雄の中のオス、野良猫の中の野良「俺は外で自由に生きるよ」と言わんばかりに颯爽と歩いていく。小太郎はそれからよく外に飛び出していった。網戸を突き破って、玄関が開いた一瞬をくぐり抜けてもしかしたらお父さんに会いにいっていたのかもミケも時々外に遊びに出ていった。その時はよく、ネズミや自分の体くらい大きい鳥を玄関まで運んで私たちに見せてくれた。でも残念ながらおばあちゃんはかなりのネズミ嫌いでパニックになる、それを見兼ねた母がミケにいらないよって伝えていた。流石に鳥は可哀想だなと思った母が、タオルで包んで土に埋めようとしていたらミケが「あたしがせっかく取ってきた獲物をどうするんだい...!」とかなり不機嫌になったらしい。でも実際、猫って鳥食うの?どうやって?骨とかどうするの?そんな疑問を解いてくれた出来事がある。私が中学生の頃、部活終わりのお昼、帰ってきたら家の目の前の道端に鳥が落ちていた。感電したのか、もうすでに息はなかった。このままにしておくのも可哀想、家族が帰ってきたら一緒に埋めよう、そう思ってタオルでぐるぐるに包んで家に持ち帰った。リビングのダイニングテーブルに置いたまま私は部活終わりで疲れていたので、そのまま眠ってしまった。何分か、何時間かたった頃、買い物から帰ってきた、おばあちゃんの「どうしたのぉぉぉ!!!コレェぇぇ!!!」という声に飛び上がっった。おばあちゃんの方を見るとテーブルの下に大量の羽が散らばっていた。急いで落ちているタオルをめくるもそこに鳥はいない。食った、、、、ミケが食った。こんなことするのミケしかいないと思った。おばあちゃんに状況を説明して、改めて周りを見渡すも羽だけ残して、骨も血一滴すら落ちていなかった。ぬかりねぇテーブルに置くときになんだ?それ?みたいな顔はしていたけどタオルでぐるぐる巻きにしてるし、食べはしないだろうと思ってた。甘かった。私が寝ている間に、鳥の羽をむしり取りながら骨も血も残さず平らげていただなんて、、、見たかった。ということで、猫はガチで食います!もし、自分が鳥だったらミケに見つかりたくないなって思った。だって容赦ないから、、、。