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音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

取りこぼしの展覧会2

 

スケッチ倶楽部「4人の終着驛」

 

 

 こちらは5月の頭に開催されていたスケッチ展です。スケッチ倶楽部「執着驛」という名前のシニア四人組の展覧会のようです。初めて参加しました。今回は友情出品された方を含めて五人の作品が並んでいました。それぞれに求めるテーマが違うということで、個人的にはなかなかバランスの取れた展覧会になっていたと思います。この日回った展覧会の中ではピカイチで来場者の方も多く一番賑わっていました。

 

 

 最初は三治重靖さんの作品です。スケッチ水彩は色合いの薄い作品が多い中でかっちりとした色合いとテーマがはっきりと伝わってくる構図でまとめられていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 渡辺洋さんの作品は風景画ですが静謐さと奥行き感のある作品で見るものの目線を釘付けにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 高木靖彦さんの作品は同じ風景画でもやや焦点をぼかしたソフトフォーカスの筆致が特徴でしょうか。同じ列子屋を描いた作品でも味わいが違います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近藤悟さんは高木さんと傾向が似ていますが、緻密な部分とぼかす部分がくっきりと色分けされていて焦点がはっきりしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 亀崎敏郎さんは一番パステル画に近い色彩で描いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 当日は渡辺さんが実際に会場で写真を参考に健筆を揮って見えました。いやあ、楽しい展覧会でした。

取りこぼしの展覧会 1

 

 

 

 

 4月の終わりに開催されていた「第65回東海伝統工芸展」に出かけていました。この展覧会はここ最近は足を運んでいます。

 

 

 

 
 いつも取りこぼしの展覧会としてしか取り上げていませんが、今年はかなりレベルの高い作品が多かったように思います。 会場には陶芸、染織、諸工芸、人形の4部門で計134点を展示。156点の応募作品から選ばれた入選121点のほか、人間国宝作家の招待作品や、日本工芸会東海支部会員の遺作3点も並んでいました。
 

 

 いつものように気になった作品をピックアップして取り上げていきます。

 

萬古渋色線刻文鉢 清水潤

 

人形部会の展示

 

開演三十分前 豊田亜也女

タキシードも着ずに一心に練習する様が伝わってきます。

 

やすらぎ 鷲見美代子

 

寒月 野村典子

 

春愁 堀部信子

 

笹鳴り 阪上展子

 

陶芸部会の展示風景

 

染織部会の展示風景

 

 

 

練込華文鉢 宮本かほる

 

 

白磁金彩ノ器2025   今田陽子

 

練込花器 伊藤雄志

つぎはぎ模様がいいですねぇ

 

紙胎蒟醬嵐影合子(したいきんまらんえいごうす) 安藤源一郎


 山に吹き渡る風を主題とした作品。器の素地は、型に和紙を漆で張り重ねて作る「紙胎(したい)」によるもので、小原和紙が用いられています。漆を塗り重ねた表面を彫った後、色漆を埋めて文様を研ぎ出す「蒟醬(きんま)」と呼ばれる技法で風が表現されています。

 

黒猫型合子 古田一

 

 

桜花影大皿 上田春陽

 

 

色絵大鉢-明日へ- 佐藤颯真

 

 

色絵流加彩片身替わり鉢 梅本孝征

 

志野彩文花器 伊藤公洋

 

白緑釉壺 加納真爾

 

 

花筏 前田正剛

 

 

志野茶碗 鈴木藏
 

 

 

染付金魚鉢 小林真人

 

司馬江漢 東海道五十三次画帖

広重「五十三次」には元絵があった

 

監修:對中如雲

出版:ワイズ出版

 

 

 平成3年に発見された司馬江漢の「東海道五十三次画帖」は、本当に「広重五十三次」の原画なのか。2つの「五十三次画」を、同じ場所を描いたものを1組として1ページに上下に並べ、検証する。図はカラー。---データベース---

 

 司馬江漢の「東海道五十三次画帖」については以前にも取り上げています。同じ對中如雲氏が著した「広重「東海道五十三次」の秘密」という紳士夜番の本でした。

 

 

 そちらでは代表的な作品しか取り上げられていませんでしたが、今回の書籍は五十三次の全てが安藤広重と司馬江漢の作品が同じページで比べるとができます。二人の作品の唯一の違いは広重が今日への登り順で描いているのに対して、司馬江漢は今日から江戸への下り順に描いていることでしょう。

 

司馬江漢

 

 司馬江漢(1747-1818)は蘭学者として、天文学、世界地理などの著作が多く残されています。交際が広く全盛期には多くの大名を友人に持っていたほどです。「口が悪い」ことで有名で、また「はったり屋」として評判が悪いのですが、老中松平定信の政策を公然非難したがお咎めがなかったことから「御落胤」説もあり、全国をくまなく何度も旅行していることから「幕府の隠密」説まであるという奇人でもあります。また初期には浮世絵師の鈴木晴信に入門し、鈴木治重の名で作品も残しています。


 また、「江漢西遊日記」の旅(1788)では東海道をのんびり旅し、長崎のオランダ出島を訪ねています。浮世絵だけに飽き足らず、画家としての江漢は、洋画の先駆者で銅板画、油絵、西洋画の遠近法を阿蘭陀の本などで学び工夫してマスターもしています。


 江漢の生涯の画風は、浮世絵-南画(中国画)-銅版画-西洋画(油絵)とめまぐるしく変わっています。1807年には西洋画(油絵?)を止めることを宣言し、1812年には京都に滞在して「日本画、南画、洋画を融和した画風」で富士山の絵を沢山描きます。後の横山大観につながるような透明感のある富士山として残っています。この年に今日から江戸に降った折にこれらの風景を画帳にまとめたものが東海道五十三次画帖として残されます。

 

 この1812年暮れに江戸に戻った江漢は金銭問題に巻き込まれ、1813年の六月には「何もかもいやになった」として「絵画の頒布会」もふくめて一切の活動から引退してしまいます。その後1818年の死去まで二度と世に出ることはなく、1813以降の絵画作品は(著作の挿し絵以外)知られていません。

 

 この本の体裁です。

 

 司馬江漢は1912年の作、広重は1934年作です。そして、三島においては江漢は夜景を広重は朝靄の情景、沼津も夕景と日景の違いがあります。鳥居と灯籠の位置関係は江漢の方が正確です。

 

 まあ1番の違いは最初の京都と熱田でしょう。ここのデザインは全く違います。

 

 当時は御所を描くことは御法度でした。ということで、画帖ということで江漢は「御所」を描いていますが、広重は「三条大橋」を描いています。ただ、この広重の三条大木氏は木製の橋として描かれていますが、実際は木の橋ではなく当時すでに石製の端でした。これは豊臣秀吉が1589年に架けさせたものです。つまりは広重が八朔御馬進献に同行し京へ上洛したしたとの説を疑問視する要因はこういうところにもあります。

 

 もう一つ、熱田神宮も広重は描いていません。五十三次を描いた当時、広重は常火消しという幕府の役人でしたから熱田神宮を描くことは御法度だと知っていたのは当然で馬追の神事で誤魔化しています。ただ、この江漢の絵も八代の形から伊勢神宮の玉串門を描いている可能性も指摘されています。尾張名所図会では下のように描かれていて該当する場所がありません。

 

 

 発見された画帖は蛇腹条のもので上下2巻になっていたそうです。

 

 

 

 

 

この原本は伊豆高原にある崔如琢美術館(さいじょたく)で昨年公開されました。

リーダースダイジェスト 2

ヘンリー・マンシーニ

アカデミー・ワールド

 

曲目/

1.ムーン・リバー - Moon River 

2.慕情 - Love Is A Many Splendored Thing 

3.風のささやき - The Windmills of Your Mind

4.ボタンとリボン - Buttons and Bows

5.ジジ - Gigi

6. モナ・リザ - Mona Lisa 

7.春の如く - It Might As Well Be Spring 

8.日曜はダメよ - Never on Sunday

9.ケ・セラ・セラ - Que Sera Sera

10.愛の泉 - Three Coins in the Fountain

11.シークレット・ラブ - Secret Love

12.いそしぎ - The Shadow of Your Smile

 

指揮/ヘンリー・マンシーニ

演奏/ヘンリー・マンシーニ・オーケストラ、合唱団

 

19S-11 : 日本ビクター株式会社 / リーダーズ・ダイジェスト

 

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 昨日あげた「風とともに去りぬ-永遠のスクリーン・ミュージック120」のおまけについていたのが上の2枚のアルバムです。で、今回取り上げるのは「マンシーニ・アカデミー・アルバム」で、もう一枚は「枯葉」というアルバムになります。

 

 マヘンリー・ンシーニは1924年4月オハイオ州クリーブランド生まれ。幼い頃からピッコロを習い、続いて、様々な楽器を習得していきました。ハイスクール卒業後、ジュリアード音楽院に進学し、その後、テックス・ベネキー楽団でピアニスト兼アレンジャーとして働き、次にはユニバーサル・スタジオで音楽スタッフとして活躍します。50年代~60年代のかけて100本を越す映画音楽に携わっています。そして、1958年から音楽を担当したTV『ピーター・ガン』ではグラミー賞を受賞します。さらに61年には映画『ティファニーで朝食を』で使われた「ムーン・リヴァー」でオスカーを獲得し、名実ともに20世紀を代表する映画音楽家となりました。そして、1994年6月にカリフォルニア州ビバリーヒルズで亡くなっています。まあ、アメリカンドリームを具現化した一人でしょう。

 

 マンシーニが受賞したオスカーは、

1961年「ティファニーで朝食を」歌曲賞、劇・喜劇映画音楽賞

1962年「酒とバラの日々」歌曲賞

1982年「ビクター/ビクトリア」音楽(編曲・歌曲)賞

 というものでした。つまりは歌曲によって受賞しているのです。作曲ではなかったんですなぁ。で、このアルバムもその歌が入っている録音というわけです。マンシーニは都合3枚分のこのアカデミー賞の受賞作を録音を残し、これはレラを抜粋した一枚というわけです。ですから一般には市販されていません。

 

 このおんげなも前日に取り上げたRainDrop5588がアップしていますが、これまた曲順はレコードの順番とは違うものになっています。アルバム分は2つのファイルでできていますが、なぜか「いそしぎ」だけが収録されていないという変則的なものになっています。最初の6曲が下の映像に含まれています。このRainDrop5588さんはオーディオにも凝っていると見えて、この音源は日立のローディに搭載されていたMT-23というカートリッジで再生された音源になっています。最初はその「ティファニーで朝食を」のテーマ曲、「ムーン・リバー」が収録されています。映画の中では主演のオードリー・ヘップバーンがギターをつまびきながら歌っていました。でも、実際にヒットしたのはアンディ・ウィリアムズが歌ったレコードで、この曲は彼の代表曲になっています。どちらかというと全体に小編成のオケにピアノをメインとした編成にコーラスが加わるというスタイルで演奏されています。1960年代末から70年ごろにかけてアメリカではレイ・子に不スタイルの合唱を取り込んだ演奏が主流になっていました。パーシー・フェイスも当時はそういうスタイルをとっていました。

 

 

 全体にジャジーなスタイルをとりながらマンシーニはピアノを弾きながらこれらの曲を演奏しています。「春の如く」や「ケ・セラ・セラ」はそんなスタイルで、「日曜はダメよ」ではドラムの音に弦はピチカート奏法で異国情緒を盛り込みながら粋なアレンジを聞かせます。

 

 

 さて、上の音源からカットされている「いそしぎ」です。なぜこの曲がオミットされたかというと、この曲耳コーラスが入っていないからなのです。元々は「マンシーニ67」というビッグ・バンド編成のアルバムに含まれていた曲で、トロンボーンとピアノが絡むというジャジーな演奏になっています。小生はこういうアレンジの演奏の方が好きですねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

永遠のスクリーンミュージック 120 - Vol.4

 ”死刑台のエレベーター”

 

曲目/

 

製作/1970

日本ビクター株式会社 / リーダーズ・ダイジェスト 19S-4 

 

 

 リーダーズダイジェストのレコードが結構溜まりましたので少しづつ取り上げていこうと思っています。この1枚は『永遠のスクリーンミュージック「風と共に去りぬ」』というボックスセットに含まれているものです。セット自体は10枚組なのですが、おまけアルバムが2枚も付いていて都合12枚組のセットになっていました。その辺の経緯は下記の記事で書いています。

 

 

 さて、このアルバム4枚目は上記の曲目が収録されています。で、最近YouTubeにこのアルバムの音源がアップされていているのを見つけました。そのYouTubeの音源は「RainDrop5588」さんによってアップされているのですが、かなり手を加えているようなので、ここはオリジナルをちゃんと紹介したほうがいいと再び取り上げようと思った次第です。実際のレコードには次の順で収録されています。

 

 

 ただし、この「RainDrop5588」のアップされたものはどうも片面づつをアップしたものではなくかなり恣意的に削除と入れ替えをおこなっています。そのアップされたファイルは「LPレコードで映画音楽 ”太陽がいっぱい” ”第三の男” ”シャレード” 他 全5曲 」

 

太陽がいっぱい - Plein Soleil (0:00

第三の男 - The Third Man (3:22

シャレード - Charade (5:39

荒野の用心棒 - A Fistful of Dollars (7:48

大空港 - Love Theme from "AIRPORT" (9:39)

 

で、もう一つが「LPレコードで映画音楽 ”シャレード” ”太陽がいっぱい” ”死刑台のエレベーター” 他 全5曲」というもので、当時のビクターはこのシルバリー・ストリングスの音源を押していましたが、薄いストリングスとピアノでカバーしたちょっと安っぽいサウンドが物足りなさを感じました。「第三の男」はチターではなくギターで演奏されていますがゲルハルトらしいミスティックな音色で曲のサスペンス性を盛り上げています。「シャレード」はヘンリー・マンシーニのオリジナルですから文句のつけようはありませんし、「荒野の用心棒」もエンリオ・モリコーネの演奏ですからいい味出しています。

 

シャレード - Charade (0:00

荒野の用心棒 - A Fistful of Dollars (2:12

さらばベルリンの灯 - Wednesday's Child (4:02

太陽がいっぱい - Plein Soleil (6:37

死刑台のエレベーター - Ascenseur pour L'Échafaud (9:58)

 

ということになっています。曲順も違いますし、採用されているジャケットは小生の所有しているレコードそのものです。まあ、今の時代になると「死刑代のエレベーター」という映画は忘れられていますし、それよりも、「太陽がいっぱい」や「シャレード」のほうが通りがいいのでしょうなぁ。

 

 これらの演奏の中でピカイチは冒頭のファッツ・フィールド楽団の「死刑台のエレベーター」でしょうか。ジャズのマイルス・デイヴィスの即興で録音されたこのテーマを字や図のフィーリングの中でうまく料理しています。

 

 まあ、そんなことで2014年にはアップされていなかった音源もアップされているということで、上の2つのファイルには収録されていない演奏を追加することにしました。まず最初はジョニー・ダグラスの率いるリビング・ストリングスの演奏でコスタ・ガブラス監督の1968年の映画「Z」より、「愛のテーマ」です。ここではギリシャの民族楽器のブズーキの代わりにマンドリンで演奏されています。

 

 

 日本映画の中では黒澤明の「七人の侍」と「羅生門」が取り上げられています。その演奏はチャールズ・ゲルハルト指揮真シネマポップス管弦楽団というコンビの演奏ですが、実体はロンドンの臨時編成のナショナル・フィルでしょう。ゲルハルトは元々はプロデューサーで、このリーダーズ・ダイジェストのために膨大な録音を残しています。セミクラシックから晩年にはクラシック映画の映画音楽を集めたアルバムを何枚か出しています。早坂文雄の音楽はサントラだと金管をメインにしたぶんちゃか調の音楽になっていますが、ここではフル編成のオケを使っていますのでかなりシンフォニックな演奏になっています。

 

 

 次の「白銀のレーサー」はあまり知られていない作品でしょう。1969年のロバート・レッドフォードの主演映画で、スキーのトップ゜レーヤーを目指す物語です。なを、この映画でちょい役ですが、シルベスター・スタローンがデビューしていました。

 

 

 このレコードで一番古い音源がこの「黄金の腕を持つ男」でしょうか。1955年の映画ということで流石にこの音源はモノラルです。ただし、サントラの音源ということでは貴重でしょう。じっさい、このリチャード・マルトビー楽団が演奏していました。子供の頃はこの曲が好きで、そのシートの時代はいろいろな音源を集めたものでした。黄金の腕とはトランプ賭博での彼の腕の良さのことですが、それで彼は身を滅ぼします。