永遠のスクリーンミュージック 「風と共に去りぬ」 |
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1.大いなる西部
2.ショウほど素敵な商売はない
3.青春の光と影
4.死刑台のエレベーター
5.昼下がりの情事
6.風と共に去りぬ
7.ムーンライト・セレナーデ
8.南海の楽園
9.禁じられた遊び
10.虹の彼方に
11.風のささやき/マンシーニ・アカデミー・アルバム
12.枯葉/スクリーン・ヒット・アルバム
リーダーズ・ダイジェスト[日ビクター] 19S-1~12(原盤RCA)



こちらも思い出深いリーダーズダイジェストのレコードセットです。10枚組120曲の映画音楽のセットなのですが、実際はボーナスLPが2枚付いていて、144曲の大全集となっていました。先に紹介した「夜のストレンジャー」はボーナスLPが1枚でしたから、こちらは更にお得といったイメージでした。しかし、小生にとっては功罪相半ばとなったセットで、おまけの「風のささやき/マンシーニ・アカデミー・アルバム」でヘンリー・マンシーニに失望して、以後マンシーニものには手を出さなかったといういわく付きのレコードが付いていたのです。不思議なもので、この頃のイージーリスニングにはこのヘンリー・マンシーニにしてもパーシー・フェイスにしてもコーラスを取り入れたアルバムを纏まってリリースしていた時期です。で、コーラスが入ったことに寄ってせっかくのイージーリスニングのストリングスの美しさが半減してしまい、ともにつまらない無いようになってしまっているのです。
個人的にはこのリーダーズ・ダイジェスト盤でしか「DYNAGROOVE」という表示を見かけたことは無いのですが、これはレコード再生時のトラッキングの歪みをあらかじめ計算して補正しておく方法で1962年に実用化されています。しかし、1970年代になると4チャンネル再生の絡みでレコード針が円形から楕円形へと進化してしまったのでこの方法は廃れてしまいます。同様なものには東芝レコードが採用した「PTSクリアーサウンド」がありましたが、こちらも短期間で消滅しています。どうもレコードの収録時間との絡みもあったようです。詳しくは下記のHPを参照して下さい。
話が横道にそれていますが、このレコードセットでチャールズ・ゲアハートなる指揮者が登場しています。今ではチャールズ・ゲルハルトとドイツ読みで表記されることが多いようですが。個人的にはゲアハートの方がイメージが残っています。このチャールズ・ゲルハルトなる人物、元々はピアニストでしたがのちにレコード・プロデューサーになり、それだけでは物足りないと自ら指揮者になった変り種です。RCAやこのリーダース・ダイジェストに大量のレコーディングを残していますし、プロデューサーとしてあちこちに名前が散見されます。なかなか、シンフォニックな響きを求める人だったようで、レコード時代にはデッカ(ロンドン)のスタンリー・ブラックともども注目していました。セミ・クラシックから映画音楽まで手がけた人で、バルビローリ/ロイヤルフィルのシベリウスの交響曲第2番、ケンペのレスピーギ「ローマの松」、その他にはホーレンシュタイン、シャルル・ミュンシュ、ストコフスキーなどの録音にも関わっています。ゲルハルトは1999年に亡くなっていますが、ロンドンのナショナル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して録音し、米RCAレーベルがリリースした一連の“クラシック・フィルム・スコア”シリーズのLPなどは今でも手元に有ります。

チャールズ・ゲルハルト
このボックスセットでも、アルバムタイトルになっている「風と共に去りぬ」、「80日間世界一周」、「短くも美しくも絵」、「野生のエルザ」などにシンフォニックな作品や「七人の侍」、「羅生門」など、黒澤作品まで指揮をしています。ここでは、そんな中からタイトル曲の「風と共に去りぬ」のタラのテーマを聴いてみましょうかね。演奏はRCA交響楽団と表示されていますが、多分ナショナルフィルでしょうかね。指揮はチャールズ・ゲルハルトです。
もう一曲、「エル・シド」です。
このセットでもヒル・ボウエン(Hill Bowen)楽団が活躍しています。1962年の録音で「オズの魔法使い」より「虹の彼方」です。
さて、おまけのアルバムのマンシーニは不満ですが、本編には彼の作曲した作品が納められています。そんな中では「シャーレード」が聴きものです。この曲にはコーラスバージョンもあるのですが、ここではサントラのストリングスとパーカッションのバージョンが収録されています。しかし、同じマンシーニモノでも「ハタリ」の「小像の行進」何かはレス・ブラウン楽団のものが納められているなど一貫していません。でも、これはこれで今となってはレアで面白い演奏です。
内封ものとして演奏者リストが封入されていますが、このマンシーニやエンリオ・モリコーネ、ジョージ・メラクリーの、チェット・アトキンスなど日本である程度なの知られているアーティストは紹介されているのですが、大半を占めるチャールズ・ゲルハルト、ジョニー・ダグラス、そしてヒル・ボウエンなどに関する記述は一切ありません。いいアルバムなんですがこういう所がちょっと不満でした。その他はほとんど知られてい無いアーティストで多分CD化はされていないでしょう。レコードでしか聴くことが出来ない演奏がギットリとつまったものとしては今では貴重なものです。