入館の際に貰った散策マップによれば、「博物館 網走監獄」をじっくり見学するなら最低でも90分位は必要です。更に各施設での展示資料を詳しく読み込んだり、映像資料をすべて見れば軽く半日はかかるでしょう。

今回は約90分で見終えるペース巡ってみました。

 

 

二見ケ岡刑務支所は、網走刑務所の農園作業の施設として1896(明治29)年、網走の西方丘陵地に設置されました。

写真の白い庁舎、舎房、炊場の建築が創建当時の1896年、教誨堂及び食堂が1926(大正15)年、鍵鎖附着所が1930(昭和5)年の建築で、現存する木造刑務所として日本最古です。1999年の移築なので、20年以上前に訪れた時は無かった施設ですね。重要文化財に指定されています。

 

 

 

(左)教誨堂、(右)食堂。

この刑務支所は開放的処遇施設だったので、比較的看規もゆるやかだったのだとか。

 

 

 

舎房の様子。

東に第一舎、西に第二舎の直列配置ですが、創建当時は北にも舎房を延ばしたT字形の配置だったそうです。

 

二見ケ岡刑務支所の全景  博物館 網走監獄HP より

 

二見ケ岡刑務支所の展示エリアを出て、この博物館最大の見どころと言うべき施設に向かいます。

その途中に、これらのものが。

 

 

 

(左)は1912(明治45)年に設置された哨舎。刑務所内に8か所設置されていたもののうち、4つを博物館内に移築しています。登録有形文化財指定。

(右)は高見張り、と呼ばれる監視塔。1948年設置のものの再現です。

 

 

そしてこの博物館一番の目玉施設である五翼放射状舎房及び中央見張り所。

1912(明治45)年に建築され、1984年まで使用されました。重要文化財です。

 

 

 

八角形の中央見張所からは各舎房の廊下を見通せるようになっています。

 

 

 

各舎房廊下はこんな感じ。

 

 

その中の一つに26年間の服役中に各刑務所を合計4回脱獄し、「昭和の脱獄王」との異名で呼ばれた白鳥由栄の脱獄シーンが表現されていました。

白鳥が網走刑務所を脱獄したのは1944(昭和19)年。手錠と監視口に味噌汁を吹きかけ続け、味噌汁に含まれる塩分で鉄を錆びさせて外し、関節を脱臼させて監視口をくぐり抜け脱獄に成功しています。

 

 

 

舎房内の様子。

 

五翼放射状舎房及び中央見張り所の全景。手前は「その1」で紹介した庁舎 博物館 網走監獄HP より

 

次は受刑者にとって、所内の生活で楽しみな一時を送る施設。

 

 

 

1912(明治45)年に建築された浴場の再現になります。

 

 

1912(明治45)年に建築された煉瓦造り独居房を移築したもので、いわゆる「懲罰房」です。登録有形文化財に指定されています。

 

 

 

こちらは重要文化財に指定されている教誨堂。1912(明治45)年に建築されたものの移築です。

外観は和風ですが、内部は洋風の和洋折衷の建物です。

 

こうして一通り巡って来て、所用時間は約1時間半強。出口を出て鏡橋を渡って駐車場に戻ります。

 

 

鏡橋から下を見下ろすと、入館時には全く開いていなかった蓮の花が幾つか。

その昔も刑期を終えて出所する人を、蓮の花が出迎えたのでしょうか。。。

 

 

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