こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
個人的な嗜好だが、主役よりも脇役に心魅かれる傾向がある。これは子どもの頃からのことで今も変わらない。
だから、自分の贔屓にする芝居巧者の俳優五指に数えるマイケル・ケインも、脇役で存在感を発揮する現今の彼が大好きだ。昔からローレンス・オリビエと互角に渡り合うなどしていた(『探偵≪スルース≫』二人ともにオスカー候補)が、オスカー像も主演では遂にもらえず、助演で二体ゲットしたといふのは示唆的だ。
ま、そんなことで自分としては比較的年齢高めの渋い俳優を観るのが映画の楽しみでもあったりする。いや、もちろん美人女優も大好きだが。
で、ちょっと旧めの脇役の達人を十人選んでみた。
基本的に、デビュー当時からほぼ脇役専門であること。
主役を演じてきて年齢と共に脇役にシフトした人ではないこと。
低予算映画では主役を張ったことがあったとしても、普段は脇役であること。
主役を経験したとしてもダブル主演などで、敵役とか相棒とかサブ的ポジションであること。
TVドラマのスターだとしても、映画では脇にまわること。
マニア好みに偏らないこと。
そして、バイプレイヤーならではの汎用性の高さ。
おおざっぱに言って、なるべく以上の資格を備えた人をチョイスしたつもりだ。
よって、リチャード・ウィドマークやジェースン・ロバーズらは苦渋の選択で除外した。
以下、順不同。
【往年の名脇役十傑選~男優篇】
●ジョージ・ケネディ
『大空港』以降のシリーズ全作品に登場。役は違えど彼が出張ってくるとピンチを何とかしてくれそうな期待感がせり上がってくる頼もしさ。『ナイル殺人事件』の三つ揃えスーツ姿、『超高層プロフェッショナル』の安全帽に作業着姿、『アイガー・サンクション』の山岳ウェア姿。ホワイトカラーもブルーカラーも、善玉も悪役もサマになる。オールスター映画には欠かせない誰もが知ってる実力派。角川映画『人間の証明』『復活の日』にも出演している。2016年没。
アカデミー助演男優賞『暴力脱獄』(67)
*『エアポート’75』*
*『アイガー・サンクション』*
●ドナルド・プレザンス
一度観たら忘れられない個性的な容姿。『大脱走』の目を病む偽造屋、『ミクロの決死圏』のスパイ役、『007は二度死ぬ』ではスぺクターの首領役などが印象的。刑事コロンボ『別れのワイン』では転落するワイン愛好家を好演。シリーズ屈指の名作との誉れ高い。見ようによっては怪しい雰囲気を醸すので悪役が好適。スーツ姿が似合うジェントルマンだが『ウィル・ペニー』のような西部劇の衣装も似合う英国俳優。『ハロウィン』シリーズにはドクター役で連続登板。1995年没。
*『ウィル・ペニー』 ロン毛なのか?*
*『007は二度死ぬ』 スペクター首領ブロフェルド*
●ジャック・ウォーデン
『十二人の怒れる男』で野球好きのセールスマンに扮する。『天国から来たチャンピオン』のアメフト・トレーナー、『評決』のポール・ニューマンの相棒、『ナイル殺人事件』では医師、『大統領の陰謀』の社会部長、『チャンス』では米国大統領と、幅広いキャラに扮する。どちらかと言ふと、大柄チェックのウールジャケットが似合うちょっと田舎じみた好人物の風貌だ。TV版『がんばれ!ベアーズ』の監督役。W・ビーティーと組んだ『シャンプー』『天国から来たチャンピオン』でオスカー候補に。2006年没。
*『大統領の陰謀』*
*『評決』*
●マーティン・バルサム
『十二人の怒れる男』では高校の体育教師で陪審員の司会役、『サイコ』で殺害されるアーボガスト探偵、『ティファニーで朝食を』の芸能界関係の大物、『大統領の陰謀』では編集局長を演じた。黒々したくっきり眉が際立つ容貌。がっちりした顎が強い意志を感じさせる。どちらかと言ふと紳士的で、刑事や軍人役が多い。が、そこはバイプレイヤーの妙。『サブウェイパニック』のグリーン役を巧みに演じた。1996年没。
アカデミー助演男優賞『裏街・太陽の天使』(65)
●カール・マルデン
『波止場』『欲望という名の電車』などで古くからオスカー候補に。あの独特の丸い鼻がトレードマーク。『パットン大戦車軍団』のパットン将軍の良き理解者や『サマータイムキラー』のように善人役が多い傾向がある。が、『ネバダ・スミス』では珍しく悪党に扮するも違和感無しの好演。名脇役と呼ばれるにふさわしい演技派俳優である。作業着、軍服、スーツ、アウトドアなどどんな衣装もよく似合う。文字通り脇を固めるにふさわしい役者だ。2009年没。
アカデミー助演男優賞『欲望という名の電車』(51)
*『私は告白する』 M・クリフトと*
*『片目のジャック』 監督兼務M・ブランドと*
●リー・J・コッブ
この人も『十二人の怒れる男』のメンバー。最後まで抵抗するあの訳あり頑固オヤヂ役。『波止場』のボス役、『カラマゾフの兄弟』の長男役でオスカー候補に。そのキャリアは伊達ではない。『エヴァの三つの顔』では精神分析医、『電撃フリント』シリーズでJ・コバーンの上司、『エクソシスト』で刑事役。など、いかつい容姿ながらインテリから粗暴な人物まで振り幅の広い役柄を演じ分ける演技派である。とは言え雰囲気的にはやはり主人公の難敵や憎まれ役が見事にはまると思う。1976年没。
*『ゴールデン・ボーイ』 W・ホールデン(若い!)と*
*『エクソシスト』 ジェイソン・ミラーと*
●エド・ローター
そのキャリアはいわゆる悪役で彩られる。『ダラスの暑い日』で大統領暗殺部隊要員に扮し、せっせと射撃訓練に励み、ヒッチコックの『ファミリープロット』やサイコホラー『マジック』でもヒールに。しかし『ロンゲストヤード』の憎々しい看守長役では厚みのあるキャラを好演。映画史に名を残す。『青春の輝き』のユダヤ教徒一家の父親といふ意外な役柄もそつなくこなすし、時には主人公の味方を演じたりもする。晩年には『アーティスト』『人生の特等席』などに悪役以外で出演している。2013年没。
*『ロンゲスト・ヤード』 これまた名脇役E・アルバートと*
*『マジック』 J・ゴールドスミスの音楽も必聴*
●チャールズ・ダーニング
‘82、‘83年とオスカーに連続ノミニー。円熟味を見せつけた。『スティング』や『狼たちの午後』の刑事、『クワイヤボーイズ』の警察官など、アイリッシュ系だけに警官役がよく似合う。その恰幅の良さから登場人物の上司役などが多いか。スーツ姿に貫禄あり。極めつけは『合衆国最後の日』で人質にとられる大統領役であろう。これらの他『ヒンデンブルグ』のようなオールスター作品、大作映画でも存在感を発揮。『トッツィー』でD・ホフマンに惚れるオヤヂに扮している。2012年没。
*『狼たちの午後』*
*『トッツィー』 D・ホフマン(女装前)と*
●ピーター・ユスティノフ
『ナイル殺人事件』でエルキュール・ポワロを演じるや、以降TVも含めポワロ役をしばらく続投した。が、基本的にどの『~殺人事件』も群像劇的性格で、ポワロはいわば傍観者的ポジションである。ので、主演と言っても主役ではないと判断。『俺たちは天使じゃない』のような喜劇や『アシャンティ』での人身売買のアラブ人まで守備範囲が広いのはお約束。この人もオールスターキャスト映画では安定の重石となる。2004年没。
アカデミー助演男優賞『スパルタカス』(60)『トプカピ』(64)
*『2300年未来への旅』 M・ヨークと猫屋敷にて*
*『地中海殺人事件』 すっかりH・ポワロで周知さる*
●イーライ・ウォラック
『荒野の七人』の盗賊団の首領役を、悪辣だがどこか可笑しいヒールとして見事に演じ、魅力的な敵キャラを立体化した。『続・夕陽のガンマン』の卑劣漢(Ugly)役でも忘れ難い強烈な印象を残す。C・イーストウッドもL・V・クリーフも霞むほど。悪役と言ふよりコメディリリーフ的存在だった。西部劇のみならずその後『おしゃれ泥棒』『シンデレラ・リバティー』『ゴッドファーザーPARTⅢ』『ウォール・ストリート』などで幅広い役柄を演じた。『ホリデイ』の老脚本家役も味わい深い。2014年没。
*『ウォール・ストリート』 J・ブローリンと*
*『ゴースト・ライター』 E・マグレガーと*
●マーティン・ランドー
言わずと知れたTVムービー『スパイ大作戦』の変装の名手役。‘88、‘89年オスカー候補。ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』で青い目が不気味な敵役で強い印象を残す。『クレオパトラ』、『偉大な生涯の物語』、『ネバダ・スミス』、『メテオ』、『タッカー』など全方位的ジャンルで活躍。刑事コロンボ『二つの顔』の双生児役など二役も巧みに演じ分ける技量を持つ。実力派ながら何故かB級映画への出演が多い。2017年没。
アカデミー助演男優賞『エド・ウッド』(94)
*『北北西に進路を取れ』 ヴァンダムの手下*
*『エド・ウッド』 ベラ・ルゴシに扮する。J・デップと*
次点
●ヘンリー・シルヴァ
意外やアクターズ・スタジオ出身。この顔でB級映画の悪役専科になりかけた。が、『影なき狙撃者』のちょっとわからない格闘技を駆使する東洋人、角川映画『復活の日』のいかめしい軍人、『ディック・トレイシー』のギャングなどオールスター映画にも出演して、しかも目立っている。とにかく特異な風貌ゆえ一度観たら二度目には、見たことあるぞ。と、必ずや思い出せる役者である。個性派として貴重な存在だ。御年90歳。
*『影なき狙撃者』F・シナトラとカラテ対決か?ベスト・ショット(笑)*
*『シャーキーズ・マシン』ラリッて「ひゃっは~!」もう無敵状態*
*『ディック・トレイシー』 特殊メイクしてもバレてますって*
*いろんな悪行を重ねてきたツラがまえ。Viva!悪役*
番外
●ウォルター・ブレナン
合計3度オスカー受賞の脇役名優。殊に西部劇では見慣れた顔である。というより、見掛けるのは全部じゃなくてもほぼウェスタンものに限られてくる傾向あり。『打撃王』『ヨーク軍曹』『赤い河』『荒野の決闘』『西部開拓史』など。中でも『リオ・ブラボー』のスタンピー役は記憶に残る軽妙なトリックスターだ。今観られる作品群では彼も年齢がいっているので、もはや演技といふより普段のままみたいに思えてくる。主人公をサポートする好人物の翁がはまり役だ。1974年没。
アカデミー助演男優賞『大自然の凱歌』(36)『Kentucky』(38)『西部の男』(40)
*『西部の男』 ロイ・ビーンに扮する*
*『リオ・ブラボー』 J・ウエィンに加勢するスタンピー爺*
ちなみに、メルヴィン・ダグラス、バージェス・メレディス、ジャック・パランス、エディ・アルバート、エドモンド・オブライエン、アーサー・オコンネル、テリー・サバラス、ハル・ホルブルック、ヴィンセント・ガーディニア、バート・ヤング、ポール・ウィンフィールドなども候補だったことを付け加えておく。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
なんでも十傑シリーズ
●秋めいて、翳りゆく部屋・・・「ユーミン・サウンド」10曲選