ミュージカル映画十傑選 | 徒然逍遥 ~電子版~

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こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
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何故か知ねど洋画狂いになって気付いたことが、自分は驚くほどにミュージカルやオペレッタが大好きなんだ。といふこと。それは中学生の頃から傾向明確。『シェルブールの雨傘』に感心し、『チキ・チキ・バン・バン』を観てサントラLPを購入するなどしていた。
しかし、世間的には時として白眼視されやすい(なぜここでいきなり歌い出すのか?みたなツッコミ)ミュージカル映画であるが、とりあへず十傑を自選してみたよ。


ただし、基本的に心躍る楽しい映画、元気で明るい映画、家族で観られる映画を中心に選択。なので、『レ・ミゼラブル』『ロッキー・ホラー・ショー』『ファントム・オブ・パラダイス』などは除外した。
悲恋ものが混じっているが、そこは大目に見てもらいたい。


【ミュージカル映画十傑選】
会議は踊る (‘31独) Der Kongreß tanzt
ロシア皇帝アレクサンドル1世と手袋店の娘が意気投合し居酒屋での逢瀬を楽しむ。が、皇帝はまた会おうと言って去ってゆく。居酒屋の楽団が「唯一度だけ」を演奏している…。

『ローマの休日』に先駆けて、身分違いの恋というテーマの楽しくもちょっと切ない幕切れの見本みたいな映画。映画史上に残る名場面「唯一度だけ」歌唱シーンのカメラ長回しが見事。あの名曲に心震え多幸感に包まれる。

「唯一度だけ」歌唱シーンhttps://www.youtube.com/watch?v=r8N7OXCDsh4

 

雨に唄えば (‘52) Singin’ in the Rain
ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナーらの歌と踊りに瞠目させられること間違いなし。雨中の歌唱シーンは誰もが知ってる名場面。しかし、それ以上に驚嘆すべきはD・オコナーの狂気じみた身体的アクションの一人芝居。これぞ必見。「シンギン・イン・ザ・レイン」「グッドモーニング」など聴き馴染みある楽曲に合わせて我知らず口ずさんでしまうだろう。若い世代にも是非観てもらいたい。

大驚嘆狂気的体術風舞踏『雨に唄えば』


バンド・ワゴン (‘53) The Band Wagon
フレッド・アステアなら『トップハット』を選ぶのが筋と言へようが、老境の域に差し掛かっていながらもなお衰えを知らぬダンシングに痛く感動したゆへの選出。当時の彼は50代半ば。それを逆手にとったように劇中でも引退を考えるベテラン俳優に扮した。
「By Myself」「Shine on Your Shoes」「Dancing in The Dark」そして白眉「ザッツ・エンタテインメント」などが披露されるハッピーな物語を肩の力を抜いて鑑賞。ジンジャー・ロジャースの不在は仕方ないものの残念ではある。

『バンドワゴン』溌剌たるアステアが同年輩とは…


シェルブールの雨傘 (‘64) Les Parapluies de Cherbourg
劇中のセリフが全て歌。この実験的とも言へる作品には誰もが驚きを隠せまい。物語自体はありがちなストーリーだが、巻頭の雨傘が咲き乱れるカメラアングルや雨傘店内の色彩、ヒロインの衣装など目を楽しませてくれる。殊にカトリーヌ・ドヌーヴがノーブルな顔立ちで美貌満開。ラストシークエンスが出色の出来栄え。これがトドメだ。


メリー・ポピンズ (‘64) Mary Poppins
ちょうど『メリー・ポピンズ リターンズ』がロードショウ公開されているが、55年の時を経ての続編といふのも珍しい。アニメとの合成画面も今では微笑ましいレベルだが、健全なエンターテインメント性はばっちりだ。「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」「チム・チム・チェリー」など思い出深い楽曲群がずらり。J・アンドリュースシャーマン兄弟にオスカーをもたらした。笑う叔父さんには爆笑必至。


サウンド・オブ・ミュージック (‘65) The Sound of Music
メインタイトル曲から「ドレミの歌」「すべての山に登れ」「もうすぐ17才」「マリア」「エーデルワイス」そしてジャズアレンヂでスタンダードとなった「私のお気に入り」など懐かしくも身近な楽曲のつるべ打ち。3時間弱の長尺だが一気呵成に観られるだろう。

リチャード・ロジャースオスカー・ハマースタイン二世名コンビによるブロードウェイ作品が原作。高校時代に大宮まで観に行った。なぜか併映が『ヤング・ゼネレーション』だった。

素戔嗚尊の如く奔放な『坂道のアポロン』の屈託


チキ・チキ・バン・バン (‘68) Chitty Chitty Bang Bang
中学生の時に観ていたく気に入り、サントラ盤LPまで購入した。パンフレットも取寄せた。実は70年頃にはデパートのミニカー売り場にはバットマン・カーチキ・チキ・バン・バン号が、大中小様々なサイズを揃えて陳列されていたのである。なので、世間的にも結構知られた存在だったはずだ。楽曲は「チキ・チキ・バン・バン」「The Roses of Success」「お山の子守歌」などが気に入っている。本作でもディック・ヴァン・ダイクが素敵な踊りと歌唱を披露してくれる。ご家族揃ってどうぞ。


魔法にかけられて (‘07) Enchanted
ディズニー映画が自らのパターンを打ち破る気概を魅せた一本。あえてセル動画を合成し、自己パロディ化した小ネタを散りばめるなど懐かしさも相俟って思わず興味をそそられる。

プリンセスのエイミー・アダムス33歳にも吃驚だが、その歌唱力の高さにも驚きを禁じ得ない。もちろん親子で楽しめるし特にディズニー映画好きでなくとも気に入ってもらえるだろう。

 

マンマ・ミーア! (‘08) Mamma Mia!
ブロードウェイでの大成功。世界各国での上演。の流れからの映画化なのか。ABBAの既存の楽曲を散りばめたポップス・ミュージカルとでも言へそうだ。なので、とにかく娯楽性に満ち理屈抜きで楽しめる。この際ストーリーなど関係ない。演者たちの歌と踊りに爆笑す。エンドロールに至るまでサービス精神が横溢。振返れば古典と対を成す新しいタイプのミュージカルだった。ピアース・ブロスナンラジー賞受賞に納得の「The Winner Takes It All」に苦笑。

ABBAってエバーグリーンなのか?『マンマ・ミーア!』


オズの魔法使 (‘39) The Wizard of Oz
〆は古典中の古典に登場願おう。ジュディ・ガーランドが歌う「虹の彼方に」はエバーグリーンとして今に残る。登場人物も原作児童文学通りの珍妙な顔ぶれ。昔の作風らしくある意味教訓的な寓意に満ちる彼らの成長譚ともなっている。ので、ドラマとしても見応えがあろう。

ガーランドは後年その演技力が高く評価される女優に成長したが、晩年は失意のうちに没した。ライザ・ミネリの母でもある。V・フレミング監督は本作の他『風と共に去りぬ』も同年公開。充実した年だったに違いない。


次点
ラ・ラ・ランド (‘16) La La Land
全編に亘って過去の名作ミュージカルへの目配せが効いている。32歳のD・チャゼル監督による入魂のオープニングシーンに嬉し泣き。切ないエンディングにも目頭を押さえる始末。物語はありきたりで優れているとは思えないが、シンプルな方が鑑賞しやすい。ライアン・ゴズリングエマ・ストーンの歌唱と踊りに注目しよう。クラシックと現代風のハイブリッドは次世代監督の感性と才能を裏打ちしている。「Another Day of Sun」「A Lovely Night」「Mia and Sebastian’s Theme」など耳残り度高し。

幸福感溢るる『ラ・ラ・ランド』

古典作品へのリスペクト『ラ・ラ・ランド』


さて、『ウエストサイド物語』、『巴里のアメリカ人』、『王様と私』、『ショウ・ボート』、『カラミティ・ジェーン』、『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』、『マイフェアレディ』、『ドリームガールズ』が入ってねえぞ。とのご批判もあるかと思うが、そこは自選ゆへ何卒ご容赦願いたい。個人的には『キャバレー』も入れたかったのだが涙を飲んでの結果は以上となった。

 

本日も最後までお読み下さりありがとうございました。

 

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