こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
二年前の秋。ローカルTV局が製作した『チア☆ドル』というドラマがあった。
アイドル戦国時代の昨今、上を目指すどころかそれ以前の生き残りを賭けて必死のサバイバル。
そこで、チアリーディングを取り込んだパフォーマンスを考案。そんなアイドルグループ“スパークス”のたどる紆余曲折を描いていた。低予算ながら心に残る映像作品だ。
なので当初、このタイトルが既視感ハンパなかった。
『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』 (‘17) 121分
梗概
福井県立中央高校のチアダンス部に入部したひかり(広瀬すず)、彩乃(中条あやみ)、あゆみ(福原遥)、唯(山崎紘菜)、多恵子(富田望生)ら。
“地獄先生”こと早乙女(天海祐希)が掲げたチアダンスで全米制覇!という目標に向かって苦楽を共にすることになる。ひかりは全治二カ月の膝の故障を克服。艱難辛苦を乗り越えたメンバーは遂に全米選手権出場を果たす。
副題一行で全てを要約している。
過去『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』(‘09)なんていふタイトルもあったけど…。
こういった帰納法的タイトルは分かりやすい反面、何と言ふか扱いに困ってしまう。いわば手品の種明かしみたいなもの。
本来なら観客は、優勝で大団円か準優勝で涙ながら次に挑戦。みたいな結末をあれこれ予想してスクリーンに向き合うはずである。
ま、昨今では前情報が溢れているからタイトルでネタばれしようがしまいが関係ないのかも知れないが。
この題名なら、如何にして全米制覇を成し遂げたか、そのプロセスをしっかり見せることが命題になる。それが描ければ大いに盛り上がるはずだ。
ではどうだったか検証しよう。
以前『ちはやふる?下の句-』でスポ根もののフォーマットのざっとした流れを記述した。
【部員勧誘→(危機)→部員確保→練習・試合→(挫折)→(克服)→団結→(危機)→(解決)→大会→優勝or準優勝】
→机君に滂沱の涙『ちはやふる -上の句-』
→一人じゃないって素敵なことね♪『ちはやふる –下の句-』
本作もほぼ同じである。となると見所は、
・部員確保までの道のり
・初戦での挫折と克服
・モチベーション上がったところでアクシデントと解決が二回
・大会でのパフォーマンス
となるだろう。
*山崎紘菜*
まずは、メインキャストの魅力的なキャラが紹介される。福原と富田のダンス初披露が良くできました◎
次いで、ばらばらのチームを立て直すエピソードは、ヒロイン二人と山崎の路上セッションで見事に決まる。言葉は不要。身体動作によってもたらされる心の合一◎
富田も私一人だけじゃない、というチームメイトへの信頼感を言ひ表す◎
福原は…全然動じなかったようでボケ役決定◎
三番目のアクシデントはすずちゃんの大怪我。
日本代表決定戦に出場できないがみんなを激励して送り出す。その後ろ姿を見送りながら笑顔が次第に泣き笑いみたいになって落涙。踊れない悔しさが溢れ出る。
ここは思わずぐっときた。ちょっと自己投影してしまった。
踊りたい、という欲求。自分も40過ぎてからジャズダンス始めてそんな欲求に目覚めた一人である。
彼女らみたいに世界レベルの人と比較するのはおこがましいが、自分もダンスをしたいがために健康管理にも留意していた。
ヒロイン並みに体も硬く、諸関節の可動域も狭く、曲の裏拍に合わせるのも苦労した。でもダンスの楽しさをほんの少しだが会得したと思う。
で、『怒り』でも感じたことだが、すずちゃんこんなに好い芝居ができるんだなあと改めて感心した。
さらに、渡米して大会前日にも思わぬアクシデントが発生する。ここは詳細省くべし。
ところで、この二つのアクシデントの描き方がスムースな流れをせき止めたような気がする。
そのエピソードがやや冗長に過ぎた感ありだ。もっと効率よく描くべきだった△
そして最後。遂に世界大会本番のパフォーマンスと優勝。なのだが今一つ乗り切れない自分がいた。何故なんだろう×
*今をときめく真剣祐と健太郎ご両人*
思い当たるのは、本番の演技の撮影がイマイチだったこと。
シロートがこんなこと言って失礼だとは思うが、もっとドラマチックに仕上げないと物足りない。ので、アップやバストショットで彼女らの表情を丁寧に撮れば感情移入しやすくなるはず。
踊る楽しさ、喜びに輝くさまやアイコンタクトをとっているところなんかを短いショットでつないで編集していく感じ。この場面は演技の全体が見渡せるようにとの配慮からかややカメラが引いていた印象が強く残った。
さらには最高の演技を終えたという実感に乏しいことも指摘できる。
どういうことかと言ふと、ひかりが頂点に立つ者しか見られない風景を目にした直後、先生の元に駆け寄るシーンに切り変わってしまう。つまりチーム全体及び各人が全てを出し切ったといふ満足感や、ウチら遂にやったんだといふ達成感などが伝わってこない。
演技を終えて興奮冷めやらぬシーンが一切排除されている。ワールドチャンピオンになった瞬間がカットされているのだ。よって、その余韻も残らないのである。
チーム全員の歓喜が炸裂するシーンが通路じゃあ駄目だろ。空間的広がりに欠け、オーディエンスの興奮も欠け、明るい照明も欠けていたら。
これら一連のプロセスがしっかり描きこまれなかったことが最大のつまづきだったと言へよう。
『ウォーターボーイズ』は最後に皆が整列し、肩で息をしつつ喜びに満ち溢れて輝いている表情を活写したからこそあの感動が生まれたのだ。余韻って大切だろう。
→終わり良ければ凡て良し『ウォーターボーイズ』
思うに120分は長過ぎ。もっときびきびした編集が望まれる。
が、五人のメインキャラに関して言ふと、五人それぞれが好演・熱演していた。
ちょっと萌えたのは福原が「ピカピカピカ」とやって山崎に突っ込まれる場面。
アニメ声の福原、いいぞいいぞ。
富田演じる多恵子の母親・安藤玉恵がほんのチョイ役なんだが相変わらずのやさグレ感をリアルに発揮。『神童』(‘07)『ぐるりのこと。』(‘08)などの延長線上にあるキャラだ。彼女もいいぞ。
*「帰れやぁ~!」*
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
追記:『アシガール』でブレーク!健太郎の告白撃沈三連発
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数年後の爽やかな再会でした(^o^)v
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