こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
高校野球真っ盛り。甲子園出場校が次々と名乗りを挙げています。
他方、吹奏楽部なら普門館。ロボットならロボコン。かるたなら近江神宮だそうです。
え?かるた?そう。小倉百人一首の競技かるた。
『ちはやふる -上の句-』 (‘16) 111分
梗概
小学生時代、共にかるたに熱中した綾瀬千早(広瀬すず)と真島太一(野村周平)、綿谷新(真剣祐)。新が転校し、中学は三人ばらばらに。だが、千早と同じ高校に進学した太一は彼女を手伝い競技かるた部創設に尽力。最低人数5人を確保。但し、うち2人はどシロート。日々の練習と合宿を経て全国大会目指して試合に臨む。
やっぱ基本線はスポコンもののフォーマットをしっかり踏襲。目標は競技かるた甲子園とでもいうべき全国大会。そこを目指して日々鍛錬を重ねるプロセスをしっかりと見せること、これ大事。
観客も主人公たちと共に闘う戦友のような気分が高まる仕掛け。この部分の見せ方次第で登場人物への感情移入の可否が決まります。
いや、その前の部員集めの段階も作品の面白味を推し量る重要なパートとして不可欠。
そういった意味でもシロートを如何にして参加させるかの奮闘振りが描かれないといけません。
興味ない人間が徐々に心を傾けていく。このプロセスが丁寧に挿入されることにより、その後のお決まりの挫折と再起と成功に説得力をもたらします。
この二点に関して言うならば本作は成功です。導入部から五人の心が一致結束するまでがスリリングに描かれており、観客は彼らと共に困惑し、悩み、信頼し、歓喜することになるのです。
本作はさほどの工夫の無いフォーマット通りの筋立てですが、競技かるたという新奇な領域を舞台に選んだので、そこに興味を惹かれますよね。
ところで、登場人物ですが、広瀬すず演じるヒロインが溌剌と画面いっぱいにアクションしていて観ている側も心躍ります。
彼女が意外や恥ずかしがらずの演技を開陳しており心打たれました(笑) 『銀魂』の橋本環奈はその上を行ってるようですがね(爆)
今まで女優としての彼女を結構軽く見ていました。これまでの各映画祭の女優賞は、まぐれ当たり的とか、監督の演技指導のおかげとか、どうしても素直に認められなかったんです。自分の中で彼女が世間的な人気者であり、かつ優れた役者であるという二面性を上手く消化できなかったようでして。
でも今では立派な若手女優と評価しています。ま、こんな名も無き翁に評価されようとけなされようと、当の本人は歯牙にもかけないとは思いますが。
そういや広瀬は『海街diary』(‘15)から年齢も進み、ますます実姉・アリスに似てきましたね。劇中すずとアリスがダブって見えてばかりいました。アリス贔屓の自分は気が散って仕方ない(笑)
広瀬すず関連過去記事
●『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』ってタイトル長くね?
●水曜ドラマ『anone』で田中裕子、小林聡美、広瀬すずを観た
さてさて、しかし今回瞠目させられたのは部員の机君・駒野を演じた森本悠希です。
彼が真にチームメイトと呼べる存在へと移行していくエピソードは感涙モノ。迫真の演技に引き込まれて息もつけない感じで。こうやって回想しててもじわんときちゃいます。
彼の態度・気持ちの変化をしっかりと丁寧に積み上げたおかげで、心を許しあい笑い合える仲間、励まし合う戦友へと心がシフトしていく様、屈辱感に打ちひしがれて心揺れる心情、そして再起動する決意がびしばし迫って来ました。
個人的にはこれが最大の収穫。観て良かった。
その他の部員もキャラが立っててすごく好感しました。
軽佻浮薄っぽさと裏腹にメンバー最強の実力者・西田(矢本悠馬)や小倉百人一首萌えの呉服屋の娘・大江(上白石萌音)ら部員たちの楽しい掛け合いが上手くできてましたし。
特に西田はコメディリリーフ役をさらっとこなしており、良い役者だなあと感心しきり。近所のコンビニエンスストアにいそうな高校生っぽいルックスが実に好い。
あ、真剣祐は出番が少なくて、これはちょっと残念でした。
松岡茉優も今回は出番無しでこれも残念。
ですが、そこらへんは後編『下の句』で。さらには新作の『ちはやふる -結び-』が製作・公開される予定ですのでそこでもお目に掛れるようで。
それと、カット割りやフレーム内の人物配置が巧みで、意表を突く場面が散見されるのもスリリング。脚本とともに編集のテクが光ります。
タイトル・デザインのアニメーションも丁寧な作りで素敵でした。
しっかしホント高校生活って憧れますわ。もう終わってるけど。終わってるからこそ。