こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
宮沢りえも随分と年齢がいったものだ。貴乃花関との問題がちょっとアレした後やつれたなあ、と思ったらそのままの状態をキープしているから、たぶん心配御無用なんだろう。
そんなルックスの彼女に相応しい役柄だった。
『湯を沸かすほどの熱い愛』 （‘16） 125分
梗概
銭湯「幸の湯」を営むオダギリ・ジョーが突然失踪して1年。パートタイムの仕事で一人娘16歳の杉咲花を養っている宮沢りえ。杉咲は高校で女子からいじめの対象となっている。
だが宮沢は末期がんで余命2～3ヶ月と宣告された。そこでオダギリを見つけ出し、同居していた女性との間の子、と思われるが確証は無い女の子も一緒に家に戻らせる。家族4人で銭湯を再開。
自分亡き後をオダギリに託す覚悟。進行する病状。娘たちと共に旅行に出て全てを告白しようとする。
そこで杉咲にとって衝撃の事実が明かされる。
料理の味付けが違ってる。自分にもお母ちゃんの遺伝子が少しあったよ。手話を理解できる。毎年送られてくる大きな蟹。お母ちゃんから買い与えられた女の子らしいアンダーウエア等々。物語が進むにつれてそれらの意味が明かされていく。ここは脚本のポイント高し。さりげないが見事に回収されていった。力作である。
だが125分は長過ぎだろう。もっと引き締まった編集が可能ではないかと感じられた。
が、それはさておき三人の女優が素晴らしい。オダギリも松坂桃李も駿河太郎も刺身のツマである。
りえちゃんの名演も捨てがたいが、ここは是非とも二人の娘に注目したい。
*いかにもダメっぽいオダギリ* *旅は道連れ松坂桃李*
まずは何と言っても杉咲花の芝居に心打たれる。
母親がいなけりゃ夕飯も作れず、毎朝母親に髪を結ってもらい、ハンカチ持たずに登校しようとして母親から渡される。おまけに学校でいじめられるし。
事ほど左様に精神的に母親依存の“子供”であった。あ、冒頭シーンからは身体的にもまだまだ“子供”っぽいということが示唆されるが。
その後彼女が徐々に変化していく様が描かれる。いじめを克服すべく決起。銭湯の番台にも控える。母親と並んで食事の支度をする。お母ちゃんの前では悲しい顔をしない、と妹を諭す。
殊に、隠された制服を取り戻すために意を決して行動するシークエンスは劇中の白眉と言へよう。恐るべき女優である。この作品一本観れば誰もが彼女に惚れ込むだろう。
そんな彼女の熱演に対し、各映画賞で絶賛の嵐。各新人賞・助演女優賞を軒並み受賞。若手女優のトップグループに一気に躍り出た。
*第40回日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞受賞*
次いで妹役の伊東蒼だが、その健気さには涙を禁じ得ない。
オダギリの一回だけの浮気相手が、その時の子だと主張したそうだが真実は不明である。よって、もしかしたら彼とは血のつながりが無いのかも知れない。
で、その母親は彼女を迎えに来るからと言って失踪。普通だったらもう帰って来るわけないパターン。でも純に母親を待ちもうけている。寄る辺ない姿がマジ哀れを誘う。
で、彼女の最大の見せ場は朝食の場で嗚咽しながら自分の処遇を訴えるシーンだ。gonzalezはこれを執筆しつつ洟をすする体たらくである。
観る側は彼女が芝居をしているということを忘れてついぞ本気で同情、感情移入してしまう。そんな迫真の演技に胸が締め付けられる。
*高足ガニを頬張る姉妹*
こう書いてくると大層湿り気たっぷりの作品と誤解されても仕方無い。だが、あくまでもポジティブなりえちゃんが全体を活気づける。また杉咲も精神的に成長し、笑顔を忘れないところにも救われる。
こうして観客も「幸の湯」一家の再生とその前途に光明が見えることに安堵するだろう。
なので、変に辛気臭い印象は全くなく、そこは安心して鑑賞して頂きたい。
*駿河太郎扮する探偵とその娘。この子役も◎*
ただ、最後の出棺の描写と会話、りえちゃんの遺体、湧きあがる湯船の湯、銭湯の窯、煙突の煙。これらのカットと映画のタイトルが何を意味するか掛け合わせて推量すると、ちょっと怖い。
自分の見当違いであれば問題無いのだが…。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
杉咲花関連過去記事
●『花のち晴れ～花男Next Season～』で杉咲花を観た
●『花のち晴れ～花男NextSeason～』で平野紫耀、飯豊まりえ、今田美桜を観た
●『ハケン占い師アタル』の杉咲花と『私のおじさん～WATAOJI～』の岡田結実を観た
●『ハケン占い師アタル』『私のおじさん～WATAOJI～』雑感