こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
若手俳優たちが出演する国内映画は軒並み原作モノばかりと成り果てた。
いや、原作ありの作品が悪いってわけじゃあない。そうじゃなくて大抵は短期間、撮影2~3週間かそこらで一丁上がり。で、編集時間もそうは取れずあっという間に劇場公開。という流れ。
良い脚本から悪い映画ができることはあっても、悪い脚本から良い映画は決してできない。という真理。であれば、先ず練り上げられた脚本を準備する必要がある。どうしても。
そうすりゃ低予算でもそれなりの、アベレージ程度の作品は完成する。
『セトウツミ』 (‘16) 75分
梗概
放課後から塾までの間の空き時間を一人で過ごす高校二年生のウツミ(池松壮亮)。いつしかセト(菅田将暉)と一緒に熱度の低いおしゃべりで暇をやり過ごすことになった。セトはクラスの樫村さん(中条あやみ)が気になる。だが彼女はウツミに気がある。ところが彼は彼女をなんとも思っていない。
そんな二人はいつも同じ場所にたむろっているばかりで物事はさほどに進展しない。今日も今日とて二人はゆる~い会話で時間を消費している。
全編が七つのエピソードで構成されている。その内容はと言ふと、宣伝でも強調されていた通り主人公二人がほぼほぼ「喋る」だけの脱力系の映画。
そう聞くと鑑賞するのが何だか心配になってくる。大丈夫かね?マジでオモロイの?
結果、杞憂に終わる。爆笑することはないがそれなりに笑えるのだ。そう、漫才感覚。ボケのセトと突っ込みのウツミ。
現在の邦画界で超売れっ子の二人による漫才映画です。と言われればちょっと興味も湧くであろう。演技派ならではの掛け合いがどんなものか、と。一見の価値ありだ。
脇役に中条あやみの他、岡山天音、宇野祥平らがアクセントを添える。
*左)岡山天音* *宇野祥平*
で、冒頭にも触れたけど低予算で完成でしょ。どうみたって、これ。撮影自体も2週間もかかんないと思うし。でも、その代り脚本がよ~く練られてる。
そらそうだ。漫才はネタが美味くなきゃ名人が演じても今イチだろう。ま、名人ゆえにその掛け合いの妙である程度は魅せてくれるだろうが。
本作も漫才と思えば脚本=ネタがいい。同時に重要なファクター、会話の“間”の取り方も上手い。それゆえにゆるい高校生の日常も飽きずに観られるんだな。
とはいえ、決してだらだらしているというわけじゃあない。三年のデカイ金髪暴君にクンロク入れられたり、花火で騒いだり、セトの母ちゃんや大道芸人や樫村さんとのからみがあったりと、それなりにアクシデントは用意されている。大事件には発展しないが。
そして1話が約10分程度だからだらける間もなく起承転結ちゃっちゃっと終わる。
さらに、7話のうち2話はそれぞれウツミ視点での回想と樫原さん視点のエピソードで変化をつけてもいる。
しかも二人のナチュラルな芝居に引き込まれる。ほんのちょっとしたことだが、個人的にはセトが話をしながら目の前を飛びまわる虫を払うような捕えるような所作に感じ入った。上手いなあ菅田将暉。
しっかし邦画界も菅田と池松のヘビロテだな。しょっちゅう共演してる印象だ。
それも当然と言へば当然で、菅田は昨年公開作品が9本ですよ。9本。
かつてのプログラムピクチャー時代の売れっ子を髣髴とさせる。と思ったら池松も9本でした。
中条あやみが『ライチ☆光クラブ』の時よりも演技がこなれてきた感じだ。美しかった。
本作の好評を受けてTVドラマもスタートするらしい。主役のウツミに高杉真宙が名を連ねている。
『表参道高校合唱部!』以来贔屓にしている俳優なので凄く嬉しい。今年は『PとJK』『ReLifeリライフ』『逆光の頃』『トリガール!』等々5本公開。ええ感じや。
ともかく尺も短いので気軽にレンタルできそうだ。ついでの一枚にどうぞ。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
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