こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
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戦隊ヒーローモノなら「ゴレンジャー」以来“ジャー”が付くのがスタンダードとあいなった。
『トッキュウジャー』なんてのもあるし。
でも、これはそんな常識に抵抗したネーミング。
『女子ーズ』 (‘14) 97分
梗概
前任者の任期切れに伴い怪しい司令官チャールズ(佐藤二朗)に召喚された互いに面識ない五人の女性。赤木(桐谷美玲)、青田(藤井美菜)、黄川田(高畑充希)、緑山(有村架純)、紺野(山本美月)。
選ばれし理由。それは各名字に色の名が付いているから(爆)
まつ毛エクステや野暮用で休むなど協調性乏しいメンバーが、宇宙からの侵略怪人相手に必殺技“女子トルネード”を駆使して立ち向かう。
先にきちんと理解しておきたいこと。それは、評論家的態度で鑑賞に臨むのはナンセンス。
福田雄一監督、佐藤二朗、ムロツヨシらの悪乗りに耐えられる、またはまあまあ好きだよ、という人ならしっかり笑える。ということ。
女優目当てだけだとあまり楽しく観られないかも知れない。が、自分は女優見たさだったが、同時に福田監督作ということで心の準備をしていたので楽しめた。
基本コンセプトは戦隊ヒーローモノのパロディ。
味付けは、全員女性。そして日常と非日常が同居するギャップが笑いを生む仕掛け。
で、映画全体細部にまで手抜きが無い。結構お金をかけてます。
例を挙げると。
○オープニングとエンディングのタイトルバックのアニメーションの出来栄えが素晴らしい。必見!
○コスチュームもしっかりデザインされたうえで綻びや汚れも無くきちんと作られている。
ヘルメットもピカピカして。
○怪人の意匠も本格的で戦隊シリーズモノと比較しても決して見劣りせず、着ぐるみもクオリティ高し。
○CGだって下手なC級映画をはるかに凌ぐ。
○編集にも時間を割いているようだし、撮影も工夫されていてメリハリあり。
○音楽も真面目に映像に寄り添っている。
○エンディング・テーマ曲歌うのがE-girlsだし。
○何しろキャストが贅沢の極み。
△チープなのは戦闘場所。どっかの開発中の現場じみたところ。もちろんパロっているので確信犯。
△肝心の戦闘アクションがチープ過ぎる。申し訳程度にちょろっとパンチ、キック、チョップをかます。
でも全然オッケー。ノープロブレム。
△それと彼女らが搭乗する巨大ロボ。これは立派にチープ。戦闘中にパーツが剥落したりして(笑)
これも御愛嬌。マジに立腹したりあきれたりしてはいけません。
兎に角それなりのお金を投じて作っているので、製作スタッフは真面目に取り組んでいることが良く分かる。しかも、恐らくは、現場はさぞかし楽しかったんじゃないかと想像される。
コスチューム姿で商店街を走る。タクシーに乗る。なぜか観光用人力車で移動する。
駅のエレベーターを使用。満員の電車に乗る。そこでスポーツ新聞を読む等々。
成功しているとは言い難いが、日常風景に非日常が同居するミスマッチ感覚のシュールな画がじんわり可笑しい。撮影班も笑えたろう。
赤木=レッド、青田=ブルー、黄川田=イエロー、緑山=グリーン、紺野=ネイビー。
劇中ネイビーがなぜブルーと色的に被るのか疑義を呈するシーンあり。
じゃあベージュとか、と発言してそれはないっしょと笑われる。
配役、特に主演五人に目を向ければこれがまた豪華極まりない布陣。まさにドリーム・チームの如きゴージャスな顔触れにわくわくするのは自分だけじゃないはず。
彼女らは単体でも主役を張れる女優たち。
もっとも当時は桐谷が一番の売れっ子で、有村は前年の『あまちゃん』以来売り出し中。
高畑は舞台での実力派。山本も前々年の『桐島、部活やめるってよ』で注目されたモデルさん。
藤井が一番のキャリアの持ち主で個人的には『シムソンズ』(‘06)以来チェックしている女優さん。といった塩梅。
で、桐谷、有村、高畑らは通信関連のCMで競合しあうことになるのはまた後の話。
高畑と有村の朝ドラ女優奇跡のツーショットも貴重です。
でまあ、桐谷は別としてキャラ立ちがいいのが有村。
安田顕率いる冴えないアングラ劇団所属の役者。己の芝居を客観的に分析できないという、それって基本的にダメじゃね?な残念な人。普段もいちいち芝居がかった喋りとリアクション。
新作では“森の木B”担当だが書き割でも済んじゃう役と知り、安田にキレまくる姿とのギャップが好い。それを、はいはいはいはい、分かった分かった、ね、ね、ね、となだめる女子たちもリアルな反応。
*森の木B「わさわさわさ~」*
*赤青黄「・・・うんざり・・・」*
*有村「変な服着てんじゃねーよ(怒)」*
他のメンツを見渡すと、高畑のコスプレが見もの。
家計を助けるためバイトを掛け持ちしているため様々なコスチュームを披露する。
いきなり土方姿で登場。これぞ貴重なメイド姿。宅配ピザの制服。等々。
さらに特典として彼女の変身シーン付きだ。
但し、笑顔を見せないクールな役どころなので『とと姉ちゃん』みたいな快活さは期待できない。
山本は大富豪のお嬢様ゆえ戦闘能力は無に等しい。
どうやら怪人に泣いて頼んだら素直に引き上げてくれた経験があるようだ。これも一種の能力かも知れないが。
桐谷も真面目一徹かつ上昇志向ばりばりのビジネスパースンを大真面目に演技。声がいい。
個人的には藤井推しだが、演じるキャラは自己チューな女でありあまり関わりたくない。『シムソンズ』もちょっとつんつんしたjkだった。
まつエクで凄いことになっているが、本来整った顔立ちなので嫌味にならず似合っているところも凄い。
ホントはそんなもの付けてない彼女が見たいのだが。
何故かサブリーダーっぽい立ち位置にいる。
言わずもがなだが相変わらず佐藤二朗があのしゃべりで笑わせる。
彼こそ最たる怪人だろう。抱いてる猫にも注目だ。
安田顕がいたとは驚きだった。演出家を怪演。有村を掴んで激しく揺さぶるシーンはワンカット撮影。
安田の激越な芝居に堪える有村もお疲れ様。頑張りました。
志賀廣太郎や落合モトキらの顔も見える。脇役も名ある人々が演じてます。ここらへんも手抜き無し。
怪人もこれでもかと言わんばかりの大放出。八体出演で盛り過ぎだろってくらいの大サービス。
その造形美にも感心しきり。着ぐるみの素材も仕上がりも本格的で手抜き無し。拍手を送りたい。
でも採算度外視ってことはないだろう。回収できたんだろうか。
それから、ありがちな下ネタお色気一切無し。というのも好感する。偉い。
が、ただ一か所だけ、巨大化した怪人が無遠慮なセクハラ発言。俄然女子らは猛反発。巨大ロボで撃退す。
事ほど左様に大真面目に真剣に手抜き無しでおバカな映画を撮る。というその意気や佳し。
こちらとしても理解ある態度で接したいものだ。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。