映像作品を活動の場とする俳優になる人にはいろんなバックボーンがある。
・舞台俳優出身者-歌舞伎、演劇、ミュージカル。宝塚はちと別格か。
・歌手-演歌、歌謡曲、ポピュラーミュージック、ロック、フォークなど出身ジャンル様々だ。
・グラビアアイドル-写真の被写体として活動し、写真集やイメージビデオなどもある。
・モデル-ティーンズ向け雑誌の写真、ファッションショー出演など幾つかの専門分野あり。
で、即戦力期待されるのは舞台出身者だろう。もちろん演技メソッドに違いはあれどそれなりの訓練を積んでいるのは強みである。
では、グラビアアイドルやモデル出身者はどうなのか。演技に関しては全くのシロートではないか。ホントに使えるのか。と問われるかも知れない。
だが、これらの人達には共通点がある。それは、人前で自分以外の何者かを演じる、ということである。
モデルだってそうだ。写真機の前であれこれと出される指示に応じて演じているし、ランウェイを歩き表情やポーズを作って見せる。立派な演技者だ。
歌手も例外ではない。自分がカラオケで歌手になりきる時の事を思い出してほしい。「シアー・ハート・アタック」を歌えば自然と気分も身ぶりもアグレッシブになる。「妹」を歌えば弟しかいなくても妹を諭すかのように心をこめて語りかける。「天城越え」を熱唱する石川さゆりを見よ。完全に何者かになりきっているではないか。
そうなのだ。彼ら・彼女らは既に演技者として、実に親和性の高い隣接業界に身を置いているのだ。
それゆえ歌手やモデル出身の女優が多いのは理の当然なのである。
一般的にモデル出身者は写真映えするようである。外見的理由はやはりその体型・スタイルにあるんだろう。高身長でしゅっとして小顔で○頭身。表情も豊かだったりする。
門脇麦
近年頭角を現しているモデル出身の女優の一人。立派な“太眉”である。文句無しだ。なかなかデコ全開にしないようなのでその全容にお目に掛る機会が滅多に無い。時代劇は千載一遇のチャンスだろう。
で、彼女の演技がなかなかの高評価・好評価を受けている。
しかし演技以前に、その存在感というか雰囲気というか彼女が独自のオーラを放っていることが窺える。それが観る者にまとわりつくような感じ。
で、その“感じ”は少々アンニュイというか退廃的というか熱量の低さみたいな“感じ”。『二十四の瞳』の中で、明るい空の下を自転車で朗らかに疾走する大石先生のような健康的なイメージは決して無い。
比較すれば小松菜奈。彼女も何やら妖しい雰囲気を放つことがある。だが、彼女には加害者的な悪意や邪悪さが潜むかのような影があるキャラが良く似合う。
一方、門脇にはそんな感じはしない。むしろ逆に心的傷害でも負った被害者的な雰囲気を漂わせる。うつむき加減で自信を持てないいじめられっこみたいな感じ。
だが、それも無理なかろう。彼女の出演作品群を振り返って欲しい。
『愛の渦』『闇金融ウシジマ君Part2』『合葬』『二重生活』。どの役柄もリア充な生活を送る明るく快活な女性像ではない。むしろどこか影のある何か屈託のある心理を描出した表情をスクリーンに映し出す。
個人的なことを言わせてもらへば、実はこの女優をさほど好きになれないのはそのあたりに要因がある。一種の暗さ。不健全さ。ホントは笑顔だって好い感じなのに。
ゆえに所謂女子や生気に満ち満ちたjkを演じるにはどうにも相応しくないだろう。
例へば本田翼。彼女のイメージはその対極にあると思う。同じショートヘアでも快活な印象を与へ、jk役で数々の青春恋愛ドラマに出演した。
門脇には似合わないな。偏見ぽいことを言って申し訳ないが。
でももしかしたら近い将来そんな役柄もこなす可能性が無いとは言へない。彼女だったらそれほどの違和感もなく十分演じ切るだけの力量あるし。小松菜奈が喜劇をもこなすのと同様に。
そう、喜劇はもとより、その身体能力の利活用でアクションやダンスシーンなどにも挑戦してみるのはどうだろう。あ、彼女は本格的にクラシックバレエをやってたそうです。
●「第33回高崎映画祭」雑感~大林宣彦監督渾身の『花筐/HANAGATAMI』
●誰か『止められるか、俺たちを』!?
前述の通り最近売り出し中の立場ゆえ出演作もまだ少ない。従って今後さらなる経験と研鑽を積むことで演技と役柄のバリエーションもより豊かになろう。
個人的には苦手なタイプであるが、芝居ができる若手女優はリスペクトしている。ので、門脇麦も様々なジャンルで様々なキャラに是非とも挑戦して欲しいと願っている。
本日も最後までお読み下さりありがとうございました。
追記:最強太眉女優編過去記事リスト
●小島藤子 →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12288503526.html
●葵わかな →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12288793018.html
●平祐奈 →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12289060776.html
●早見あかり→https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12289394633.html
●シシド・カフカ →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12290304776.html
●杉咲花 →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12299458410.html
●小松菜奈 →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12300173521.html
●門脇麦 →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12319348066.html
●黒島結菜 →https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12319491597.html
参考:
■漱石居士に励まされ~その2→https://ameblo.jp/g-matsumoto/entry-12285900247.html