今日は、元コピーライターとして、新型コロナの集団(クラスター)感染予防のために打ち出された合言葉「3つの密」が、いかに感染防止のために機能しづらいかを書いておこうと思う。
まず、このチラシの下段の赤い囲みの中の文字を読むと、3つの条件が重なる「場所」が問題視されていることがわかる。
こんなメッセージを打ち出せば、3つが重なっていない場所(1つしか該当しない場所、または2つしか重ならない場所)であれば、「行っても大丈夫」と国民がとらえても仕方がないだろう。
つまり、すべての国民がこんなメッセージを鵜呑みにして行動を続けたら、これからも日本国内での感染拡大が止まるわけがない。
では、海外では、どんなメッセージが伝えられているかというと、オーストラリアで暮らしている息子に聞いてみると、「外出して外を歩いていいのは2人までで、しかも、決められた一定の社会的距離(ソーシャルディスタンス)をとって歩くこと」となっているらしい。
ここから、日本では「場所」に意識を向けさせているが、海外では「場所」ではなく、「人と人の距離」に人々の意識を向けさせていることがわかる。
(この違いは、言語学的に見ても、日本語が「場」を重じた言語で、英語が主語(主体者)に重きを置いた言語であることに由来していると思われる)
この違いにより、日本では、特定の業種(特に特定の施設名)を名指しにして、そのような場所に出入りしないよう自粛要請がなされているため、今、名指しされた業種の人たちが、生計を立てられない状況に陥ってしまっている。
そして、窮地に追い込まれた多くの飲食店では、今月に入ってから「テイクアウト」のメニューを考えだし、なんとか売上の落ち込みをカバーしようと頑張っている。
しかし、店先で、テイクアウト用の注文を受けている光景を見ていると、日本人には「人との距離をあける」という意識がないため、店側と客側の人がお互いにマスクもつけずに言葉を交わし合っていて、危険な状態が形を変えて続いていることがよくわかる。
日本では、飛沫感染を避けるために「咳エチケット」を心がけるように訴えられてきたため、多くの人は、咳にばかり意識が向き、至近距離の会話でも飛沫感染が起こりえることを、あまり意識できていない。
また、最近、マスコミは、「自分が既にウイルスに感染しているつもりで行動しましょう。大切な人を自分のせいで感染させたくないでしょ」的な訴えかけを続けているが、このような偽善的なメッセージもほとんど機能しないだろう。
なぜなら、こんなメッセージを信じたら、感染しておらず、普通に働ける人々まで、接客や人に会う仕事を自主的に控えなくてはならなくなるからだ。
(第一、このようなメッセージを発しているマスコミそのものが、多くの人が集まる番組制作の仕事を控えてはいない)
いずれにしろ、このような現実味にかけたタラレバのメッセージでは、国民の行動変容を起こすことはできない。
そして、感染症が流行した際に発せられる最も科学的で有効な予防策は、国際的に見ても、100年前から今に至るまで、何も変わってはいない。
それは、「感染者に近づくな」、つまり「社会的距離(ソーシャルディスタンス)を取れ」というものだ。
このメッセージは、100年前のスペイン風邪の流行時に発せられたもので、どんなウイルス感染症であれ、これさえ守っていれば、自分が感染症になることだけは100%防げる。
これが100年以上変わっていない科学的根拠に基づく国際基準の感染症予防策なのだ。
しかし、日本では、PCR検査が限定されているので、もう今となっては、誰が感染者か特定できない。
だから、誰が感染しているのかわからない状況になっているのだから、ワクチンができるまでの間、私たちにできることは、もう以下の2つくらいしかない。
1,誰が感染者なのかもうわからないのだから、人との距離を2メートルほど保つことを心がける。
2,誰かが触れたものに、無意識のうちに触れてしまっている可能性があるのだから、こまめに手洗いを心がける。
この2点をしっかりメッセージしておけば、「3つの密」なんて小難しいことを言わなくても、小学生にだって理解できるし(←これ、コピーライティングの基本)、自ずと3つのどれかに当てはまるような行動(場所の限定ではなく、行動)も減るようになるだろう。
また、スーパーのレジに並ぶ行列の人と人との距離も各自の判断によって少しあくようになるだろうし、店側だって行列の間隔をあけるよう、お客さんにお願いするようになるだろう。
この緊急時に、「3つの密」なんて語呂合わせを考え出し、特定の場所だけに意識を向けさせ、それ以外の場所なら大丈夫と思わせるような注意喚起を促し続けたところで、今後も感染者が増える一方だと思えたので、今日は、元コピーライターとして、このようなことを書いてみた。
重要なことなので、繰り返すが、問題なのは特定の「場所」ではなく、人と人とが「近づく」ことだ。
場所に限定しない世界基準のこのメッセージを、当初からアナウンスしておけば、休校中に学生が友達同士で原宿や渋谷を出歩くことも、平日の夜、仕事帰りの社会人がグループで飲みに出かけることも、もっと早い段階で抑制できただろう。
しかし、もう今となっては、感染者の感染経路を追えない状況に至ってしまったのだから、特に都知事には、志村けんさんが夜遊びをしていたことに関連づけて、特定の業種(施設、場所)を名指しにし、閉店に追い込むような発言はもう控えていただきたい。
日本においては、たとえ緊急事態宣言が発せられても、外出禁止命令は出せず、あくまで各自の判断、主体性に任せて、自らの「行動」を自粛してもらうしかないのだから。
特定の場所、業種を非難し、そこに目を向けさせるのではなく、一人一人の「行動」=「社会的距離を取ること」に意識が向くメッセージを発し、都民、国民の健全な暮らしを守れるよう尽力いただきたい。
最後に、今、海外にお住まいの方がいらっしゃったら、今、具体的にどんな行動を取るよう政府から指示が出ているか、シェアいただけるとありがたいです。
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