ヴィパッサナー瞑想という言葉を初めて聞いたのは、ラフターヨガの師匠からだった。

瞑想三昧できる場所がある。
ここに参加した人は人生観が変わると。

教えてくれた師匠は参加したことがなかったのだが、ラフターヨガの仲間が参加し、人生がとても変化したということだった。

なんとなく気になりつつも、時は流れた。

初めて行動を起こしたのは、2年前。
いよいよ真剣に瞑想を学ぼうと思い、申し込んだ。ところがラフターヨガをやっているといったら、はじめは方向性が違うので断られたが、笑うことで自分と向き合うということを説明したら、許可された。しかし、一向にキャンセルが出る気配がなく、スケジュールを入れてしまった翌日にキャンセルが出たとの連絡をいただいた。
タイミングではない気がして、行かなかった。

それからしばらく旅人の意識からヴィパッサナーのことは、離れていた。ところが、昨年末あたりから身近にヴィパッサナーに行く人が現れたり、勧められることがあったりして、いよいよ機が熟してきたような感じがした。
すると今度は、行けそうなタイミングに申し込みをしたら、すんなり許可が出た。
きっと、今だからこそ!という理由があるのだろう。

瞑想センターは日本には2つ、京都と千葉にある。旅人は京都に参加。

ヴィパッサナー瞑想とは、お釈迦様が悟りを得た時の瞑想法で、徹底的に自分と対峙するため、トレーニング中は誰ともコミュニケーションをとってはいけない。喋ることはもちろん、目を合わせること、ジェスチャー、筆談は全て禁止。携帯電話、本、筆記用具なども全て預けなければいけない。外界からの刺激を全て遮断する。

10日間の瞑想トレーニングと、前後一日の12日間。ゴールデンウィークにドンピシャだったので、おそらく通常より一般社会人も参加しやすかったのではないのかな??参加者は男女比が2:3。女性が多く、国際色も豊かだ。

初日は夕方までにチェックイン。
受付の前に部屋に案内された。

旅人は一番大きな7人部屋に案内された。先に到着している人たちもいた。
そして部屋の中を覗き込むと、、、、、

えっ???

ど真ん中のベッドにちょこんと座り、じっとこちらを見ている人がいる。

ゆかぴょん??

6年前、ラフターヨガのティーチャートレーニングを受けるためバンガロールに行った時、共に学んだ仲間がいたのだ。

マジか????

服装指示で、シャカシャカと音のするものも禁止されていたので、とてつもない静けさに浸れるとばかり思っていたら、いきなり知り合い?
しかも隣のベッド!!

いったい、なんなんだ??

とお互い、もう笑うしかない。

赤の他人なら知らん顔もしやすいが、よりにもよって笑いヨガの仲間。最初の試練がいきなりやってきた。

軽い夕食後のオリエンテーションまではお話ができるので、同室のみなさんと挨拶をする。
すると、こういうところにはあまりいないタイプのおばちゃんが旅行気分でニコニコしながら入ってきた。
挨拶をして、
「もうすぐ話せなくなりますね」というと、
「えっ?喋っちゃダメなの??」
思わず、「何をしに来られたのかわかってらっしゃいますか??」と聞いてしまった。
「いやー友だちがよかったよーっていうからー」

こりゃーーーー大変だあ。と、ヤーーな予感。

夜のオリエンテーションが終わり、いよいよ聖なる沈黙が始まった。

瞑想ホールでは、一人ずつ決められた場所に座り最初の瞑想が始まる。

シーーーンとした静けさ。

とりあえず。瞑想してみる。
隣に座っていた例のおばちゃんが、鼻鳴らしたり、呼吸を荒だてたり、ゴソゴソしっぱなし。挙句にくしゃみ、咳込みと、絶えることがない。

あーーーーー、旅人は、静けさに浸りたかったのに。はじめの3分だけしかないのかー。
雑念すらも、すべてはそのおばちゃんが持って行ってしまう。いかんいかん。眉間にシワが。

とはいえ、その日はとても緊張していたためか、就寝時間になると、コテンと寝てしまった。

ぐっすり深い眠りだった。
のはずだった。

が、しかし、
副鼻腔炎というおばちゃんは、ベッドの位置がちょうど旅人の頭の上に配置されていて、
ナイロン袋にいれた着替えを出したり、しまったり、ずーーーっとガチャガチャとしていて、頭の上で思いっきり鼻をかまれ、くしゃみをされ、咳き込まれ。。。。

これから10日間も、いったいどうなってしまうんだろうと、旅人は途方も無い2つ目の試練が与えられたのだった。