詩
傘問いかけが雨となったとき傘を いっぽんさした跳ねかえった雨の小粒は――問いかけをぼくの足元の外側へ 弾いていった外にある問いかけの降りしきりひとつ ひとつのかさなりは 足元から今や鑑賞物であるかのようにそれ自体の 身振りをしている問いかけから 答えまでが心の範疇であるならばあいまいに台詞なく 役者を演じる雨粒たち―求めるもやの向こうの跳ねかえり答えはそこにありそうだ問いかけはよく降ってくるそれはえんえん続く雨のよう外界にカチリと鍵をかけ時にはしっぽり濡れたひとりの人間をつくってそうして 時には土砂降りにさえなってひとりの人の生を流してゆくだから今は 傘をさす雨粒から 傘の中まで心は合間にも開かれてそこから見える世間はずぶ濡れになって私という入れ物の心は ただからりと涸れていた