天に等しき出雲大社 光と影 大物主神の登場。 ~ 大物主神物語(3) 出雲大社―三輪山 大神神社
それが現在の島根県出雲の出雲大社です。

伝説の出雲大社は高さ100メートル。
まさしく天突く神殿であったとあります。
さすがに構造的に不可能と思われていました。
しかし巨大な柱の遺構が発見されています。
そこから推察された高さが48メートルにも至る大神殿です。

(松江工業高校制作)
「【出雲 紀行】その3 はじめに。奈良から出雲へ、神話を辿る旅」より
まだまだ推測の域をぬけだせませんが、巨大建造物の存在は否定できません。
約束とはいえ敗者である大国主のために、このような壮大な建物を賜ったのです。
天照大神の天津神の子らは、大国主を、ひいては出雲を恐れていた証しといえるでしょう。
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国譲りの後タケミカヅチと経津主神(ふつぬしのかみ)は、国津神・岐神(ふなとのかみ)の案内で各地を平定にまわります。
まつろわぬ神々は数多く、二神もほとほと手を焼きます。
そこへ高貴な神があらわれました。
一見、やさ男風でしたが大国主を想わせるような力強さが感じられました。
その神こそ、大国主の分身。
幸魂・奇魂として大和国の三諸山(みもろのやま:三輪山)におさまった大物主神でした。
大物主の登場により、賛同する神々が現れました。
彼らをつれて、高天原へ昇ります。
そして天照大神の子らに忠誠を誓わせるのでした。
・・・
天津神・高皇産霊命(たかむすひのみこと)は、大物主の威光が、ひどく危険であると感じました。
葦原中国へもどろうとする大物主を呼びとめます。
「そなたがもし、国津神の妻をむかえるのならば、
私は、そなたが我らに心から服従していないと疑わざる得ないだろう。」
― ほう。
「私の娘である三穂津姫を妻とし、八十万(やそろず)の神々を統率の任にあたられよ。
そして天津神の御子孫を御護りし、永遠に仕え申し上げよ。」
― 畏まりました。
大物主は快諾し、再び、大和国へと帰ったのでした。
その後―
天津神の子孫であるイワレビコの神武東征がはじまります。
日向の国(九州)より、大和国へとわたります。
大物主がいる三輪、まき向でイワレビコは神武天皇となり、大和朝廷の礎を築きます。
ここより国を治めることになるのです。
神武天皇が、妻として迎えたのが、大物主の娘・伊須気余理比売(イスケヨリヒメ)でした。
伊須気余理比売の兄が、宇摩志麻治命(うましまじのみこと)は祭祀をつかさどります。
後の祭祀・軍事の任をになう物部の祖です。
大物主は、誓いのとおり、天津神・天照大神の子らに仕えたのでした。
・・・
光と影。
天津神の子らを光とすれば、
大和の国、三輪山に鎮座する大物主は影。
影の立場として、天津神・天照大神の子らに仕え、
時には、畏れられた存在となったのでした。
・・・
さて、
奈良県桜井市 大神神社。
大物主大神を主祭神としております。
本殿を有さず拝殿から神体とした三輪山を仰ぎ見て拝む古神道の形態を残しています。
自然を崇拝するアニミズムの特色が強く、
三輪山信仰は遥か弥生時代、縄文時代にまで遡ると考えられております。
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大物主神物語1:我は汝の幸魂奇魂なり。大国主神と大物主神。
2:大国主と武甕槌。国譲りの神話
3:天に等しき出雲大社 光と影 大物主神の登場
4:タタリ神!?大田田根子命をさがせ! 大物主神と崇神天皇
5:味酒 倭なす大物主の醸みし神酒
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三輪山と大神神社「大神神社 古事記の山「 三輪山 」【総集編】」
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日本の神々の系譜(1)
日本の神々の系譜(2)
日本の神々の系譜(3)~神無月
日本の神々の系譜(4)~神在月
【出雲紀行2009】
その1 はじめに。奈良から出雲へ、神話を辿る旅
その2 はじめに。奈良から出雲へ、神話を辿る旅
その3 はじめに。奈良から出雲へ、神話を辿る旅
その4 スサノオ伝。日御碕神社 ~奈良から出雲へ、神話を辿る旅
その5 スサノオ伝。八重垣神社 ~奈良から出雲へ、神話を辿る旅
(終)大国主・出雲国造り物語 出雲から、奈良へ
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大国主と武甕槌。国譲りの神話 ~ 大物主神物語(2)
天津神(天の神様)にとって代わるターニングポイントがあります。
「国譲りの神話」です。
高天原(天上界)の天照大神の命を受け武甕槌(タケミカヅチ)が先兵として降臨します。
出雲・稲佐の浜で十束剣(とつかのつるぎ)を突きたて、その上に胡坐をかいた異様な格好で登場します。
そこで大国主と対峙し、大国主に天下国家を、天照大神の天津神に譲るようにと迫ります。
大国主の力とカリスマ、スクナヒコの知識と知恵で平定した葦原中国(あしはらなかつくに:地上界)。
タケミカヅチは、天照大神の御心を大国主に語ります。
「汝がうしはける葦原中国は
わがみ子の知らさむ国と言よさし給えり」
葦原中国は、あなたが私物化し支配しているが、
わが君のように民衆の心を知り、
民衆のために公平に治めるべきである。
大国主、心うたれるものがあったのでしょうか。
かつて全身全霊をかけて国造りを行った。
師でありかけがえのない親友であった「スクナビコ」。
ひとつの謎かけをし常世国(あの世)へ去って行きました。
「私たちが造っているこの国は、はたして、善くできているといえるだろうか」
これにスクナビコが答えます。
「善く出来たところもあるし、できなかったところもあるね。」
この答えが、タケミカヅチひいては天照大神にうかがえました。
大国主は武力による支配を行っていました。
まさに天下を私的に支配をしていたといえるでしょう。
彼のカリスマ故にできたのかもしれません。
しかし、それが子の代となると・・・・?
大国主は嘆息します。
「私はすでに一線をしりぞき、全ては子らに任せている。
我が子たちに問うがよい。」
タケミカヅチは大国主のいうとおり、二人の息子に詰めよります。
内政を司るコトシロヌシは、あっさりと権限の移譲します。
軍事を司るタケミナカタは、最後まで抵抗します。
これを徹底的に打ち負かし諏訪(長野県信州)まで追いやります。
― 国譲りの時。
タケミカヅチは、大国主に天照大神の系譜による統治を説きます。
それは信頼と尊敬による統治。
天下万民の心を理解し公平に治めることでした。
大国主、心うたれるものがあったのでしょう。
大国主は、ニヤリと壮絶な笑みを浮かべます。
「・・・タケミカヅチよ。
貴様らのいうとおり天下を天照大神の子らに譲ろう。
私はこの世を退いてやる。
条件として私を祀る天にも等しい社をたてよ。
そこで貴様らの治世のゆくすえを、みとどけてやる。」
気圧されたタケミカヅチは応じます。
それを聞き届けると大国主は命を絶ったのでした。
国譲りの神話。
”戦争”という観点で伺えば、天津神は、外交と戦略によって大国主に勝利したといえるでしょう。
しかし―
3.「天に等しき出雲大社 光と影 大物主神の登場 」へつづきます。
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大物主神物語1:我は汝の幸魂奇魂なり。大国主神と大物主神。
2:大国主と武甕槌。国譲りの神話
3:天に等しき出雲大社 光と影 大物主神の登場
4:タタリ神!?大田田根子命をさがせ! 大物主神と崇神天皇
5:味酒 倭なす大物主の醸みし神酒
タケミカヅチ伝説なぜ武甕槌命(タケミカヅチノミコト)は、奈良にきたのでしょうか?
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我は汝の幸魂奇魂なり。 大国主神と大物主神。 ~ 大物主神物語(1) 出雲大社 大神神社
古来、道具や武器を”もの”とよび、それらを扱うもの、
軍事をまかされた一族を”物部(もののべ)”と呼びました。
”もの”にはそれぞれ、力がこもっていると思われているため、そして神秘的な、また霊力がひめた”もの”を、”もののけ”と呼びました。
つまり、物部氏の”もの”は、”もののけ”の”もの”をも示すのです。
そして、もののけの最大級の称号をもったのが、大物主(おおものぬし)となります。
奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)は、大物主大神を主祭神としております。
この大物主には、不思議なエピソードが多く残されています。
さて、こちらは島根県の「出雲大社」です。
大物主は、奈良からはるか離れた島根県は出雲の伝説に登場します。
それは、因幡の白兎伝説で有名な大国主(おおくにぬし)の国づくりのお話です。
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「【出雲紀行】大国主・出雲国造り物語 出雲から、奈良へ」より抜粋。
大国主のお話をしましょう。
出雲国のオオナムジは、後の大国主です。
オオナムジは、醜い青年でした。
オオナムジには八十神と呼ばれる大勢の兄弟がいました。
この兄弟たちからは、何かと蔑まれています。
あることがきっかけで八十神の恨みをかい、幾度も命を狙われます。
オオナムジは、スサノオが治める根の堅州国へと逃げ込みます。
スサノオの試練・大国主誕生
根の堅州国でオオナムジは、スサノオの娘スセリビメと恋に落ちます。
気に食わないのか、父・スサノオは、次々とオオナムジに試練を与えます。
蛇や、ムカデ、ハチが充満した部屋で過ごさせたりします。
そのたびに、影でスセリビメが手助けをします。
幾つもののスサノオの試練を乗り越えたオオナムジ。
スサノオが気を許したところ、オオナムジはスセリビメと駆け落ちを企てます。
根の堅州国を後に去っていく二人にスサノオは「葦原中国(地上)の王になれ」とエールを送ります。
地上に戻ったオオナムジの逆襲がはじまります。
みごと八十神を成敗し、地上の王・大国主となったのでした。
国造り~出雲から奈良・三輪へ。
地上を平定した大国主。
農業を興し、祭祀(政治)を定めるという国造りに着手します。
小さな神スクナビコと共に農耕を興します。
だが、スクナビコは、一段落がつくと常世国へと旅立っていきます。
頼りにしていた右腕を失い、大国主は途方にくれます。
国つくりに全身全霊をかけてきた大国主に、スクナビコはひとつの謎かけをして去って行きました。
大国主がふと、つぶやいたことがきっかけでした。
「私たちが造っているこの国は、はたして、善くできているといえるだろうか」
これにスクナビコが答えます。
「善く出来たところもあるし、できなかったところもあるね。」
スクナビコが去っても、大国主には課題が多くのこされています。
深く落胆し、嘆いてしまいます。
「今、この国を治める者は、私ただひとりである。
私とともにこの世を治めることのできる者はいないのだろうか。」
・・・
すると、海の向こうから、波を割り光輝いてやってくる神様があらわれます。
光が大国主に語りかけます。
「もし私がいなければ、
あなたがどうしてこの国を治めることができたでしょうか。
私がいたので、
あなたはこのような立派な国造りの功績をたてることができたのです。」
大国主が「あなた様はどなたですか?」とい問うと、
「我は汝の幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)なり」
(私はあなたの幸魂・奇魂である。)
・・・と名乗ったのでした。
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神様には、二つの顔をもっています。
和魂(にぎみたま)と荒魂(あらみたま)です。
和魂とは、神様の平素の穏やかな姿。
生きとし生けるものを守り、幸せな方向に導く心をもっています。
荒魂は怒りの姿。
神霊の働きの強い面、不可思議な霊的作用をもって、天災などを引き起こすとされています。
または難敵をうちはらいます。
幸魂・奇魂は、和魂のもうひとつの姿です。
幸魂は、人を幸せにする神霊。
奇魂は、不思議な力を持って物事を成就させる神霊。
大国主は自らの魂に語りかけられ、己が信ずるに足りることを説得されたのでした。
大国主は得心し、自らの幸魂・奇魂に感謝します。
「まさしく、そのとおりです。納得できました。あなたは私の幸魂・奇魂です。
あなたは今、どこにおさまるべきとお考えでしょうか。」
「私は大和国の三諸山(みもろのやま)に住みたいと思っている」
そうして大国主は、幸魂・奇魂を三諸山に御祭したのでした。
これがいまの三輪山(奈良県桜井市)です。
大神神社は、大物主大神を主祭神としており、ともに大国主、スクナヒコを祀っています。
神代の時代、荒れすさんでいた葦原中国(あしはらなかつくに)。
多くの敵対する神々を打ち砕き、平定し、国土を富ませた神様が祀られているのです。
・・・
物語は、国譲り、天孫降臨の神話へと移っていきます。
大国主は、タケミカヅチ命と出会います。
2.「大国主と武甕槌。国譲りの神話」へつづきます。
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大物主神物語1:我は汝の幸魂奇魂なり。大国主神と大物主神。
2:大国主と武甕槌。国譲りの神話
3:天に等しき出雲大社 光と影 大物主神の登場
4:タタリ神!?大田田根子命をさがせ! 大物主神と崇神天皇
5:味酒 倭なす大物主の醸みし神酒
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