我は汝の幸魂奇魂なり。 大国主神と大物主神。 ~ 大物主神物語(1) 出雲大社 大神神社
古来、道具や武器を”もの”とよび、それらを扱うもの、
軍事をまかされた一族を”物部(もののべ)”と呼びました。
”もの”にはそれぞれ、力がこもっていると思われているため、そして神秘的な、また霊力がひめた”もの”を、”もののけ”と呼びました。
つまり、物部氏の”もの”は、”もののけ”の”もの”をも示すのです。
そして、もののけの最大級の称号をもったのが、大物主(おおものぬし)となります。
奈良県桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)は、大物主大神を主祭神としております。
この大物主には、不思議なエピソードが多く残されています。
さて、こちらは島根県の「出雲大社」です。
大物主は、奈良からはるか離れた島根県は出雲の伝説に登場します。
それは、因幡の白兎伝説で有名な大国主(おおくにぬし)の国づくりのお話です。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
「【出雲紀行】大国主・出雲国造り物語 出雲から、奈良へ」より抜粋。
大国主のお話をしましょう。
出雲国のオオナムジは、後の大国主です。
オオナムジは、醜い青年でした。
オオナムジには八十神と呼ばれる大勢の兄弟がいました。
この兄弟たちからは、何かと蔑まれています。
あることがきっかけで八十神の恨みをかい、幾度も命を狙われます。
オオナムジは、スサノオが治める根の堅州国へと逃げ込みます。
スサノオの試練・大国主誕生
根の堅州国でオオナムジは、スサノオの娘スセリビメと恋に落ちます。
気に食わないのか、父・スサノオは、次々とオオナムジに試練を与えます。
蛇や、ムカデ、ハチが充満した部屋で過ごさせたりします。
そのたびに、影でスセリビメが手助けをします。
幾つもののスサノオの試練を乗り越えたオオナムジ。
スサノオが気を許したところ、オオナムジはスセリビメと駆け落ちを企てます。
根の堅州国を後に去っていく二人にスサノオは「葦原中国(地上)の王になれ」とエールを送ります。
地上に戻ったオオナムジの逆襲がはじまります。
みごと八十神を成敗し、地上の王・大国主となったのでした。
国造り~出雲から奈良・三輪へ。
地上を平定した大国主。
農業を興し、祭祀(政治)を定めるという国造りに着手します。
小さな神スクナビコと共に農耕を興します。
だが、スクナビコは、一段落がつくと常世国へと旅立っていきます。
頼りにしていた右腕を失い、大国主は途方にくれます。
国つくりに全身全霊をかけてきた大国主に、スクナビコはひとつの謎かけをして去って行きました。
大国主がふと、つぶやいたことがきっかけでした。
「私たちが造っているこの国は、はたして、善くできているといえるだろうか」
これにスクナビコが答えます。
「善く出来たところもあるし、できなかったところもあるね。」
スクナビコが去っても、大国主には課題が多くのこされています。
深く落胆し、嘆いてしまいます。
「今、この国を治める者は、私ただひとりである。
私とともにこの世を治めることのできる者はいないのだろうか。」
・・・
すると、海の向こうから、波を割り光輝いてやってくる神様があらわれます。
光が大国主に語りかけます。
「もし私がいなければ、
あなたがどうしてこの国を治めることができたでしょうか。
私がいたので、
あなたはこのような立派な国造りの功績をたてることができたのです。」
大国主が「あなた様はどなたですか?」とい問うと、
「我は汝の幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)なり」
(私はあなたの幸魂・奇魂である。)
・・・と名乗ったのでした。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
神様には、二つの顔をもっています。
和魂(にぎみたま)と荒魂(あらみたま)です。
和魂とは、神様の平素の穏やかな姿。
生きとし生けるものを守り、幸せな方向に導く心をもっています。
荒魂は怒りの姿。
神霊の働きの強い面、不可思議な霊的作用をもって、天災などを引き起こすとされています。
または難敵をうちはらいます。
幸魂・奇魂は、和魂のもうひとつの姿です。
幸魂は、人を幸せにする神霊。
奇魂は、不思議な力を持って物事を成就させる神霊。
大国主は自らの魂に語りかけられ、己が信ずるに足りることを説得されたのでした。
大国主は得心し、自らの幸魂・奇魂に感謝します。
「まさしく、そのとおりです。納得できました。あなたは私の幸魂・奇魂です。
あなたは今、どこにおさまるべきとお考えでしょうか。」
「私は大和国の三諸山(みもろのやま)に住みたいと思っている」
そうして大国主は、幸魂・奇魂を三諸山に御祭したのでした。
これがいまの三輪山(奈良県桜井市)です。
大神神社は、大物主大神を主祭神としており、ともに大国主、スクナヒコを祀っています。
神代の時代、荒れすさんでいた葦原中国(あしはらなかつくに)。
多くの敵対する神々を打ち砕き、平定し、国土を富ませた神様が祀られているのです。
・・・
物語は、国譲り、天孫降臨の神話へと移っていきます。
大国主は、タケミカヅチ命と出会います。
2.「大国主と武甕槌。国譲りの神話」へつづきます。
ポチッとよろしくお願いします。
↓↓↓↓↓
![人気ブログランキングへ](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fimage.with2.net%2Fimg%2Fbanner%2Fc%2Fbanner_1%2Fbr_c_3073_1.gif)
![へび](https://emoji.ameba.jp/img/user/ts/tsumegaeru/631865.gif)
1:我は汝の幸魂奇魂なり。大国主神と大物主神。
2:大国主と武甕槌。国譲りの神話
3:天に等しき出雲大社 光と影 大物主神の登場
4:タタリ神!?大田田根子命をさがせ! 大物主神と崇神天皇
5:味酒 倭なす大物主の醸みし神酒
- 大神神社 (日本の古社)/岡野 弘彦
- ¥2,940
- Amazon.co.jp
- 出雲大社/千家 尊統
- ¥2,310
- Amazon.co.jp