イーティーズ・プレイスの星空観測行 -2ページ目

イーティーズ・プレイスの星空観測行

岩手の移動天文台、「イーティーズ・プレイス」による、星空と天体の観測記録。 http://www.justmystage.com/home/etplace/

3月10日の近日点通過、14日の初対面、そして二度目は19日。天気の具合がどうも思わしくありません。二度目も沿岸は宮古市で、今回は重茂半島の月山展望台へ。標高450mほどですが、国道45号線から半島の県道に入り、頂上へは砂利道(石ころゴロゴロ道)で上ります。400mほどを4kmの道のりですから、平均斜度10°ということでしょうか。片側が全線断崖ですので、緊張を強いられる「ドライブ」です。

頂上付近は西側が吹きさらしで、この日も素晴らしい強風が、時折車を揺らすほどに休みなく舞っています。見晴らしは素晴らしく、宮古市街全域と宮古湾から浄土ヶ浜、真崎海岸、そして北のリアス式海岸が一望です。西空は・・・低空に薄い雲が広がっていますが、そこまで沈む前に彗星の姿はとらえられそうです。方角から見て、ちょうど市街地中心部の上空に見えているはずです。



日没30分後の宮古市街。山並みの左端は早池峰山?


浄土ヶ浜付近

パンスターズ彗星は、予報では4~5等級。星の等級とは違って、彗星全体の光を集めて得られる値ですので、この等級だと、特に月明かりや街灯りがあると肉眼では到底無理です。カメラ頼みで何度か試し撮りをして、「いたいた」とするしかありません。市街地とともに写したい気がありましたので、極端な望遠にもできず、ギリギリ、点のような写り方が精一杯です。


18:35、少し高度がある時間


18:40~18:52、2分ごとの画像を合成

この後無事に下山し、通常観測のために山田町に移動。月が沈むまでに画像処理・・・しているうちにどんどん曇り、やむなく断念。例によって、途中の道の駅で熟睡の後帰宅。ちょっと休んでから出かけようとしたら、リアのタイヤがパンクしているではありませんか。月山の、とがった石ころをずいぶん踏み越えたからなぁ。今月に入ってからパンクは二度目。今どきのタイヤって、そんなに傷つきやすいかしら。運転のせい?走行場所のせい?

今回は、三日の予定での遠征でしたが、結果的に二日だけ。18日のGPV最終更新予報で、夜半過ぎから沿岸地域が快晴になりそうでしたので、天の川とISSの撮影のために深夜に出発しました。そして、予報どおり、02:00過ぎ頃からスッキリとした星空が現れ、それまでの強風もピタリと止むという好条件。浄土ヶ浜周辺で、望遠鏡による通常観測と合わせて、短かいながら充実の時間。



浄土ヶ浜、舘ヶ崎展望台から重茂半島と天の川


御台場展望台から見下ろす浄土ヶ浜とISSの光跡
南天から太陽に近づき、3月10日に近日点を通過したパンスターズ彗星(C/2011 L4)がいよいよ北天に姿を現し始めました。パンスターズ(PanSTARRS : Panoramic Survey Telescope And Rapid Response System)は、自動全天捜索望遠鏡で、彗星や小惑星などをいち早く発見するための施設です。これまで「パンスターズ」の名がついた彗星は数十個存在し、小惑星は数百個発見しているはずです。

南半球から伝えられる彗星の画像や動画を見ながら、早く北の空でもみたいとジリジリしながら待っていましたが、やっとこの目で見られる日がやってきました・・・数日じらされた後でしたが。ダメもとで、10日から出かけてみましたが、沿岸は宮古市の田老、上空は快晴ながら西の低空には雲がたなびき全く見えず。11日、やはり無理を承知で滝沢村の相の沢。激しく降る雪を見ただけ。12日、盛岡市玉山区の渋民公園で岩手山とのツーショット狙い。日没とともに西空には雲が広がりアウト。13日、予報通りの雨。月齢1.5の細い月と接近した日ですが、何とも残念。

初対面は結局14日になってから。宮古市田老の夕日展望台です。直前まで西の山際に雲が残りヤキモキしましたが、地球照(月齢2.5)の月がギリギリ入るくらいでどうにかゲット。翌15日は雲一つない快晴、しかも無風と最良の条件です。湿度も低く、山際までくっきりと見渡すことができました。短時間でしたが、あれこれ試しながら撮影完了です。



超低空の山際のポッチ


焦点距離を変えての撮影


山際に沈む連続画像

当初の予報(予想)よりはだいぶ小さくなった感はありますが、それでも「らしい」姿で楽しませてくれそうです。ここしばらくは西空を北に移動しながら低空での観測ですが、3月下旬から4月上旬には北の空を一気に駆け上り、4月中旬からは一晩中見ることのできる「周極星」となります。ただし、光度は一気に下がり、肉眼では到底無理で、望遠レンズや望遠鏡での観測です。昨年暮れのリニア彗星の折にあれこれシミュレーションしましたので、これから5月までいろいろなパンスターズ彗星を記録していきたいと考えています。

夕方の彗星観測の後には、通常観測と、昇る天の川の撮影を計画しました。この時期、22:00頃にはこと座のベガ(織り姫星)が東の空に顔を出し、02:00頃には夏の大三角がそろいます。それに伴って天の川が昇り、薄明が始まる直前には、いて座までの全体像を空高く望むことができます。微速度動画撮影を兼ねて、天の川を追いました。また、「オメガ星団チャレンジ」も回を重ね、やっと肉眼でチラッとでしたが確認する機会を得ました。海上の薄い靄を通してでしたが。さらなる好条件を求めてチャレンジは続きます。



現時点でのベスト:見かけは満月より大きな巨大球状星団


浄土ヶ浜(宮古市)と天の川


大観音(釜石市)と天の川

昨年から撮り始めた「星景:岩手の天の川」は、昇る姿をあと数箇所撮影して組動画の体裁に整えて、2012夏~2013春の分の「完成版」とする予定です。県内には、まだまだ天の川がきれいに見える場所がありますので、引き続き撮影に出向き、「完全完成保存版」の作成に向けてあちこちに出没することになると思います。
月明かりが戻ってきました。沿岸地域は好天が続きそうな予報が出ています。先月から始めた、「星景で見る:岩手県沿岸地域の二年後」の撮影を再開しました。今回は、県北部を中心に、昨年撮影した場所はもちろん、震災前に訪れた場所でも、当時との比較をするために何ヶ所か写真に収めることとしました。

初日(19日)は久慈市からスタート。国家石油備蓄基地を見渡す対岸に、北の低空をISSが通過する時間に合わせて到着。基地の照明が明るく、感度を下げて短露出での撮影ですが、ISSは暗めでしたので、どうにか光跡が追える程度となりました。あたりは強風が吹き抜け、三脚を押さえての撮影です。

ここは、ほぼ復旧したのでしょうか。昨年は、周辺が立ち入り禁止だったのか、画像がありません。HPには、3年前に撮影した画像を併載しております。その後、アンバーホール(久慈市民会館)に立ち寄って比較明撮影。1999年2月開館です。この後、野田村から普代村、田野畑村まで南下しました。風が強い夜でしたので、比較明撮影はできず、1枚撮りが中心となりましたが、去年の画像と比較することはできます。



国家石油備蓄基地(久慈市)右上は北斗七星


十府ヶ浦(野田村)ここは去年と変わらず


普代浜(普代村)海が深くまで入り込んでいます

翌日は、所用で大船渡市を訪れた後に撮影を開始しました。最初に訪れたのは同市越喜来でしたが、雪が降ったり止んだりで、後の予定もあることから、撮影は諦めて移動。釜石市~大槌町~山田町と北上しながら、昨年撮影した場所を訪れ、やはり強風が常時吹いていることもあって、1枚撮りとしました。


唐丹湾の防潮堤(釜石市)変わらず


大槌町庁舎、保存か解体か


鯨と海の科学館(山田町)瓦礫類の集積処理場

21日は、田野畑村の北山崎へ。関係者のご厚意により、園地内まで車を乗り入れることができ、皆さんと月や木星を観望した後、通常観測としました。月明かりが強くなってきており、暗くて淡い星雲や銀河の撮影は困難でしたので、二重星中心の観測・撮影としました。月没後は、快晴無風の中、文字どおり降るような星空が開け、わずか1時間程度ながら、「夏の星座」の星雲を何枚か。

この時期、明け方近くには天の川がけっこうな高さまで昇っています。夏の大三角の一つ、こと座のベガは50度近くまで。見渡すと、太平洋上には、カシオペアからさそり座までが広がっています。ここ数日は、異常なほどの低温が続き、その分冴えた星空が広がっています。うっすら雪化粧の「海のアルプス」と天の川の組み合わせを撮ることができました。来月には、動画用の撮影ができそうです。


魚眼により前景は小さくなりました


夏~秋の天の川全景

一旦帰宅しましたが、24日と25日はISSが興味深い通過をします。M31(アンドロメダ大銀河)とM33(さんかく座の銀河)の間を通って見え終わるのと、M44(かに座のプレセペ星団)のすぐそばを通って見え終わりです。天気予報では、両日とも晴れそうなのは、やっぱり沿岸のようです。満月に近い月明かりの中で、銀河・星団はどのように見える(写る)のか、行ってみるしかないようです。
「小惑星」とは、太陽系に存在する小天体のうち、彗星を除くものの総称として用いられていますが、2012年現在で、軌道が確定して符号がつけられているものが約33万個あります。その他を含めると約58万個、未発見の微少なものはさらに数十万個あると推定されています。そのほとんどは火星と木星の間(小惑星帯と呼ばれる領域)を公転していますが、中には地球の近くを通過するものもあります。

今回地球に接近した小惑星は、「2012 DA14」という符号がつけられていますが、これは2012年の2月後半(D)に発見された351番目(A14)の小惑星という意味を表します。「14」は添字ですので、右下に小さく表記するのが正式です。実際に発見されたのは2月23日で、スペインにある天文台でのことです。地球に接近する前の公転周期は368日でしたが、地球の重力により軌道が変えられ、周期が317日になりました。

最接近時の地球からの距離は27700kmで、その大きさは直径45m質量13万トンと見積もられています。小惑星がこれほど(月の軌道より内側)近づくのは数十年に一度程度とされています。最接近の16時間前には、ロシアに隕石が落下して大惨事となり、そちらに話題が集中しましたが、今回の小惑星とは軌道が異なり、両者は無関係なようです。

さて、この小惑星、7等級で秒速8km弱で移動、1分間で1度(月の直径2個分)という高速です。最接近の頃から見え始め、薄明前までが観測に適した時間帯です。うみへび座~コップ座~しし座と、星々の間を移動していきます。何しろ肉眼では見えないので、「今、あのあたりを動いているんだな」と想像しながらの撮影です。高度も20度から40度とまずまずの条件です。

肝心の天気ですが、内陸はいつもの曇りや雪で可能性はありません。沿岸も北部は雪模様で避けた方がよい。残るは沿岸南部、とくればいつもの蛇ヶ崎(陸前高田市)頼み、ということに。GPV予報の最終更新(20:35)を確認してから準備の後に出発、現地到着はちょうど日付が変わる頃でした。期待通りの快晴無風です。小惑星通過までの時間、澄んだ星空の下、星雲・星団・銀河そして二重星と、じっくりと観測・撮影ができました。

通過時間が近づいてきた03:00ごろ、北西から雲が広がってきます。そして03:30には完全な曇り空。これが1時間も続くことになります。当然小惑星の見え始めはアウト。ようやく雲が切れてきたのはすでに04:30ごろです。ここからも少々の雲が現れては流れ、の繰り返し。完全に雲がとれていたのは最長でわずか12分間という結果でした。動画も作っては見ましたが、アップした画質に難があってかなり見づらくなってしまいました。元版の高画質ではきれいに見えているんですが・・・。


しし座の中を移動する「2012 DA14


しばらくぶりに、ISS(国際宇宙ステーション)が、連日好条件で通過する予報です。2月8日から12日頃までは、いろいろな方角で仰角30度以上を航行する姿が見られそうです。が、内陸は例によって連日の曇りや雪の予報。そこで、もう沿岸で見るしかない。ということで、2月も遠征です。

新月前後ですので、月明かりはなく、通常の比較明撮影は無理ですが、ISSの撮影であれば、わずかな明かり(人工光)でも何とかなりそうです。宮古市運動公園、昨年もISSの通過を撮影した場所です。「沿岸地域:一年後と二年後」の撮影を兼ねて出かけました。



2月8日18:17~18:20、オリオン座・冬の大三角を通過


昨年の同じ場所。瓦礫がうずたかく積まれていました

津軽石川~宮古湾に沿った堤防の上での撮影で、この夜は暴風警報が発令中でした。ISS通過時には、幸い風が少し弱まったのですが、見え終わりの直後、強烈な突風が吹き抜け、地面においたファイルが一瞬にして吹き飛ばされてしまいました。中には、この日からの観測用資料(各種天体の位置情報や出没時刻表など)が、紙ベースで10枚ほど入っていましたが、あっという間に海まで飛ばされ、すべて藻屑と消えました。

気を取り直し、数時間かけてデータを一部復元して、この夜は星雲と星団を集中観測・撮影、で無事終了。PC持参で正解でした。翌9日は、撮影画像の処理と観測資料の作成で日中はPCとにらめっこ。すぐに夜がやってきます。この日も、観測の最初はISSなのですが、うっかりしてISSの目視予報を調べ忘れています。

曖昧な記憶を頼りに、陸前高田市の大陽崎へ。対岸は宮城県の唐桑半島で、右は陸前高田市街方面、左は気仙沼市です。念のため、かなり早い時間から撮り始めのつもりでしたが、場所選定を迷った挙げ句、時間的にもアングル的にもギリギリでどうにか画角に収まった、という結末です。



岩手県と宮城県の県境あたりに見え始め

この後は、復元した資料を基に、通常観測・撮影。大気・気流の状態もよく、快適な夜でした。・・・3晩目(10日)も陸前高田市です。ISSの通過情報は調べがついていましたので、余裕で現地へ。この日は東北地方上空の通過で、ほぼ直上を通ります。魚眼レンズで、方向を工夫すれば全経路を収めることはできるのですが、地上風景との兼ね合いで、見え始めは切れた画像となりました。


気仙中学校~市街方面~水門まで

この時期(2月中旬)の夜明け前には、すでに天の川がけっこうな高さまで昇ってきています。夏の大三角~さそり座まではその全体像を見せています。いて座の中心が見えるまではもうしばらくかかりそうですが、相当に季節を先取りしています。


宮古市田老の夕日展望台にて(9日05:18)

春の星座は南中を迎えようとしています。南天高く目立つのは、うしかい座のアークトゥルス、おとめ座のスピカ、そしてしし座のデネボラで作る、大きな正三角形「春の大三角」です。一辺の長さは、「夏」「冬」の大三角よりずっと大きく、近くに見える土星を加えて、それぞれ堂々の輝き、春の主役達です。


左下の土星は、7月ごろまで徐々に右上に移動します

11日に一旦帰宅し、所用を済ませた後に再び沿岸へ。快晴の予報は出ていましたが、やはり暴風警報も発令中。最初に向かった大陽崎(陸前高田市)は、猛烈な北風が吹きつけ、まともに立っていられない状況。一旦風よけを、と思い大船渡市の山中に移動です。北側の山を背にして、星団中心の観測と撮影。

風が弱まってきた気がしたので、再び大陽崎に移動。結局風が止んだのは2時過ぎでしたが、南天の低空にケンタウルス座のオメガ星団が南中する時刻には間に合いました。へびつかい座の球状星団の撮影中、流星と思われるものが画角に入りました。7~8等級と思われますが、肉眼では見えない、複雑な色を出しながらフラフラと落ちる微小流星と思われます。長いことやってますが、全体が写ったのは初めての経験です。



左上の星団は9.5等級。対角は1°弱(満月2個分)

そして、オメガ星団チャレンジ。低空には、海上の靄らしきものがかかり、万全の状態ではありません。星団は5.3等級で、肉眼で一瞬見えた気がしましたが、「見たい」という気持ちが作り出した「虚像」の可能性が大です。NGC5128銀河とともに撮影してみました。北緯39度での南中高度は、銀河が7°、星団は4°です。



岩手県内では、最も条件がいい場所の一つだと思われますが、それでもこんな感じです。盛岡周辺からは、よほど標高の高い場所まで行かなければ、その姿を見ることすらできません。おそらく、室根山(一関市)のきらら天文台あたりがこれより条件がいいのではないかと思われますが、今は冬季閉鎖中。岩手からのωチャレンジは続きます。
今年も早くも1ヶ月が経過しました。1月の最終週も、内陸の雪を逃れて沿岸地域への小遠征です。十六夜の晩(28日)、宮古市浄土ヶ浜にて月の出待ち。月出の18:00過ぎにはもう真っ暗になりますので、その前にとっておいた前景に、昇る様子を合成してみました。残念ながら、1時間後には雲がかかり、途中までとなってしまいました。

この後、通常の、星団と二重星の観測と撮影をしながら、合間に休憩を取りつつ、朝のISSの通過を待ちます。真北に見え始め、十分な高度を取って、南東の空で見え終わりとなる予報です。夜半には多めの雲が出てやや心配しましたが、ISSの通過時にはほぼ快晴の空となって、月明かりの中を堂々と進む輝きを出迎え、そして見送ることができました。


月の出1時間で雲に阻まれ・・・


最大仰角52°光度-1.4等

一旦帰宅して、撮った分の画像処理を済ませた後、再び沿岸へ。今度は陸前高田市~大船渡市です。今回は大きな目的があります。昨年1月~3月、震災被害から1年を経て、岩手県沿岸地域はどう復旧・復興しているだろうかが気になり、自分なりのやり方で記録していこうということで、「星景で見る:沿岸地域の一年後」として、各地の撮影を行いました。

やがて丸二年を迎えますが、去年撮った画像を見ながら、その一年後はどう変わってきたのかを検証するために、再び撮影を開始しました。「岩手県沿岸地域:一年後と二年後」として、3月まで各地を訪ねることとします。撮り始めの陸前高田・大船渡では・・・全体を一言でいえば、「変わってない」が印象です。少々「こぎれい」になった感はありますが、根本的には同じ状態が続いているのではないでしょうか。



道の駅「高田松原」


道の駅から見る高田松原方面


大船渡市、サンアンドレス公園展望台からの眺望

そして、この日の朝のISSは、南西の空高くから、南東に向かって-2.0等が駆け抜けます。撮影場所は、あれこれ検討の結果、碁石埼灯台としました。ちょうど海が開けて見える方角に当たり、灯台の光といいコントラストができると考えました。低空までほぼ快晴で、圧倒的な輝きをもって、通過していきました。


さそり座をかすめるように南東の空へ

31日、内陸にも快晴が訪れました。風もなく、全く寒さを感じない夜で、滝沢村の相の沢、よく観測に訪れている路側帯です。月が出るまでは、星雲・星団・銀河・二重星の観測と撮影に集中し、スライド動画用の月の撮影前に、牧野から望む岩手山を比較明撮影してみました。


月明かりの中でも星いっぱい

2月は、これといった天文現象はありませんので、通常観測を中心に、沿岸巡りを差し挟みながら、あちこち出かけてみます。ちょっと気になる場所(観測地)が見つかりましたので、ケンタウルス座のオメガ(ω)星団に再びチャレンジしてみます。断崖の端っこですが・・・危険はない・・・はず。
1月第二週の遠征(釜石市中心)に続き、第三週は沿岸南部(大船渡市・陸前高田市)への小遠征を計画しました、が、結果的には、好天続きと過ごしやすい気温・湿度のおかげで、5日間という、ほとんど本格遠征になってしまいました。観測・撮影のメインは、作成中の「月の満ち欠けスライド動画」用の月と「星雲・星団・銀河」です。


動画用に連続撮影

通常観測は、遠征の前半がNGC天体の散開星団と銀河、後半は重星を中心としました。また、南天のごく低空に見えてきた、ケンタウルス座のオメガ(ω)星団の撮影に、今シーズン初めて挑戦しました。南中時刻は、05:30ごろですが、薄明が始まる時間帯ですので、少し早い時間の撮影で、北緯39°まで南下したとはいえ、高度は4°にも満たない状況です。


光度差があり色の違いが鮮明な、自分好みの二重星たち


今年初のω星団・・・大きい

観測と並行して、サブカメラに収めたのは、陸前高田市・蛇ヶ崎の亀島(比較明合成)です。この島の向かいにある、鶴島は以前撮影していましたので、これで、鶴亀がセットで完成しました。この場所(蛇ヶ崎)は、自分の中では、晴れの特異地点として、縁起がいいところです。


亀・・・です

充実の4泊5日を終えて、盛岡に帰ってきたら・・・やっぱり空が何となく重い感じです。それでも、1~2日は、夜間はどうにか晴れの時間帯もあって、月だけは撮影できましたが、微光天体は無理な状況が続きました。週末からはどうやら、一週間ほどもほとんど雪模様ですので、今月三度目の(小)遠征に出ることとなりそうです。


月暈・・・木星を従え、冬のダイアモンドに囲まれて
リニア彗星を追い、新月前の細い月をとらえ、星雲・星団・銀河を撮り、最後はISSを出迎えて見送る、ということを全部やりたくて、1月6日から11日まで、沿岸の宮古市と釜石市を中心に、観測・撮影のための遠征に出かけました。天気は、概ね晴れで推移する予報で、初日は釜石市の、大観音を遠くに望む海辺です。

彗星は、当初の予報よりは1~2等級暗かったようですが、遠征期間中はちょうどおうし座の中を移動中で、ヒアデス星団に近づきます。半月前に比べれば、明らかに尾が短くなっていて、かなり頼りない感じもします。そして、6日(7日早朝)の月齢は24.5で、土星と「接近」しています。とは言っても、4°(月の直径8個分)は離れていますので、ゆるい感じで、という程度です。


見かけ上は、月は土星の100倍の大きさ

7日夜は宮古市の浄土ヶ浜へ。リニア彗星の観測・撮影の後、冬~春の星座の星雲・星団・銀河を多数撮影。明け方近くになり、かなり雲が出てきて観測は中断。雲の流れを追って東の空を見上げたところ、「漁火光柱」が突如として出現しました。つい一ヶ月前に普代の黒崎で見たばかりでしたが、今回は柱の本数が10本以上です。しかも、光の加減により色つきです。いいもの見たなぁ、と余韻に浸っていたところ、浜に下りてきたのはパトカー。巡回中の警官としばしお話。聞くところによると、市街地からでも光柱は見えたようです。


最も明るく、色がくっきり見えた頃

8日、彗星観測後は、動画作成用に、望遠レンズで移動の様子を連続撮影、を始めたのですが、途中でうっかり寝てしまい、目が覚めた時には彗星はほぼ西空に沈み、カメラと望遠鏡のバッテリーは切れ、画像も中途半端なところで終了。ほとんど収穫ゼロの、何とも悔やまれる一夜となりました。明け方に撮ろうとした、昇る地球照の月も雲に阻まれあえなくアウト。

9日の夜も、彗星から始めて、夜半までは星団と銀河の観測と撮影。少々疲れがたまってきていましたので、国道脇の路側帯に移動して仮眠。深夜、窓ガラスをたたく音で起きてみたら、釜石署のパトカー。お陰様ですっかり目が覚め、移動の後、明け方の月(地球照)が昇るところを連続撮影。釜石大観音の頭上に達する前に、空が明るくなりすぎて、残念ながら終了。やはり、9日の朝が最適だったようです。方角があっていることは確認できましたので、機会があれば再トライということで。



日の出1時間前まで限界

なお、この日の朝は、月の出のちょうど2時間後が日の出で、出の方角(方位角)が全く同じという珍しいことが起きました。もっとも、それに気づいたのは太陽が顔を出した後でしたが。日の出を見て、「あれっ」と思って調べた結果でした(真東から、28°南寄り)。年に数回あるようですので、次のチャンスには何かしてみたいと思います。


カメラのアングルがちょっとずれました

10日、最終夜です。彗星撮影後、雲が出てきましたのでここは潔く、一旦撤収して件の路側帯にて仮眠。明け方近く、ISSが好条件で通過しますので、撮影場所へと移動。今年の初ISSです。南西から北東、150°以上の長径路で、見え始めが特に明るく輝き、薄明が始まった空に吸い込まれた後も、しばらく消えた方向を眺めたままでした。


魚眼でも収まりきれません

さて、観測の主目的だったはずのリニア彗星ですが、ここまで暗くなると望遠鏡の1000mm直焦点でやっと、というところ。中望遠レンズでも、日々の移動をとらえようと撮影はしましたが、あまりに小さすぎて画になりません。残念ながら、今回は没と相成りました。


徐々に暗くなっています

冬型が強まった期間だったようで、7日朝には最低気温-3°ほどだったものが、毎日1°ずつ下がって、11日朝には-8°にまで。沿岸でこんな感じですので、内陸はさぞ冷えたことでしょう。帰路、休憩した「道の駅・紫波」では、8時過ぎでも-12°でした・・・。
1月3日前後は、「しぶんぎ座流星群」が極大の頃です。毎年の本格的な観測の始まりはこれ。今年の極大予報は3日22時ということでしたが、この時間だと放射点が低く、多くの流星は望めません。数多く見られるのは、夜半から夜明けの時間帯となりそうです。終夜晴れそうな場所は県内には見あたらず、少々の曇りや雪模様を覚悟しつつ、北山崎に出かけました。

ガイド撮影と、リニア彗星の観測・撮影も予定していましたので、望遠鏡を設置し、カメラのピント調整のために木星を導入したところ、衛星が5つに見えます。乱視が極度に進行したのではないかと、一瞬愕然としましたが、予報位置と比べてみたところ、どうやらおうし座の恒星が間に入り込んでいるようです。その色合いから見て、赤色巨星と思われます。



明るさも同じぐらいで違和感なし

流星群が極大を迎えるまで、リニア彗星の撮影。この夜は、ぎょしゃ座の散開星団M36との接近が楽しめます。最接近は04:00ごろのようでしたので、それまで近づいていく様子を定期的に撮影して合成すれば、面白い画になりそうです。300mm望遠にて、1時間ごとに撮影し、最接近時には1000mm直焦点でのアップ撮影、という計画。

19:00から始めて、23:00まではまずまずの空模様でしたが、00:00前から雲が広がりだし、ついには雪。約3時間にわたって、降り続きました。予報どおりと言えばそれまでですが、ちょっと雪雲がずれて欲しかったところです。再び快晴が訪れたのは03:30を過ぎた頃。彗星は、星団の間近まで移動しています。最接近時の様子を撮ることができて、めでたし。



3日19:00~23:00の1時間ごとの画像を合成


4日04:00の最接近

そんなこんなで、流星群の観測がメインの一夜のはずでしたが、曇る前の南~西空に向けたカメラでは1つもとらえることはできませんでした。北の方向に流れたのが数個程度でした。04:00ごろには、下弦前のやや大きめの月が南中の頃でしたので、北の空、北斗七星を中心にした範囲にカメラを向けてガイド撮影です。

放射点(りゅう座とうしかい座の境目辺り)も十分高くなり、月明かりの中でも間違いなく「しぶんぎ」とわかる流星がポツリポツリと流れます。この日の最大は、04:30ごろに出現し、月に向かって飛んだ長径路のものでしたが、さすがにその方向にカメラは向けていません。記憶の中に残した、ということで。


05:00台の3個を合成

さて、今年の運試しですが、100%満足とはいかないまでも、それらしい流星はけっこう見られたし、彗星も捉えられたし、偶然にも、木星の5衛星(?)にも遭遇したし、ということで、「吉」とまとめておきます。話題の天文現象が、今年も盛りだくさんですので、頑張って全部見ることとします。

6日からの週は、月の撮影を中心に、リニア彗星とおうし座(ヒアデス星団)の接近など、連続して観測したいところ。天気の具合は、やはり沿岸地域が吉と出ています。新月前の細い月と地球照の撮影なども行いたいので、やや長期滞在のつもりで出かけてみる予定。宮古~釜石~大船渡を行ったり来たりとなりそうです。
夜の早い時間と、一時の曇り空をはさんで、深夜から朝まで晴天になりそうな予報を見て、沿岸の宮古市へ。到着時には、浄土ヶ浜周辺は曇り空が広がり、観測どころではなし。北の空が晴れている様子でしたので、田老に向けて北上。三王岩展望台を越えて、真崎海岸に続く道、現在は工事のため途中までしか通れないのですが、山を登り切ったところに「夕日展望台」なる、ちょっとした小上がりのようなスペースがあります。

その名のとおり、西の方角が開けて見えています。すっかり西に傾いた夏の大三角が見えていましたので、ふと思いつきで、こぎつね座の星団「コートハンガー」に望遠鏡を向けてみました。低倍率でもはみ出してしまいますが、望遠レンズだとちょうどおさまる大きさです。19時過ぎには沈んでしまいますので、今年の見納めの記念として撮影しました。



5~7等星の粒ぞろいがうまい具合に並んでいます

引き続き、「月の満ち欠け」ニューバージョン用の撮影。この夜は、月齢14.1~14.3で、28日19:21が満月の瞬間ですので、そのちょうど24時間前の14.1をゲット。これで、動画完成まであと21枚。最速での完成は、2013年2月7日となりました。たぶん、その通りにはならないでしょうがw。4月ごろまでずれ込むのではないかと、覚悟はしております。


左側がほんの少しだけ欠けています

先日、北斗七星の星々を一つずつ撮影して並べたものを作ってみましたが、オリオン座についても同じものを作ってみようと考えました。周囲の四星にベルトの三ツ星を加えた七つですが、一等星2つ、残りは2等星と豪華です。この晩は大きな月明かりがありましたが、その中で撮ってみたところ、ベテルギウス(赤色超巨星)以外は、すべて高温の青色(超)巨星ということで、星そのものの違いが分かりづらいことがわかり、この企画はボツ。

ここで雪雲がうわ~っと西から広がってきて、大小の雲、そしてベール状の雲が次々と流れ始めます。天気予報どおりで、これはもう待つしかありません。深夜まで、だいぶ時間はありますが、食べたり寝たり歩いたり・・・しているうちに、数時間経過。晴れの月下、展望台から見下ろした三王岩の比較明撮影。



東天に雲だまりが少々

次いで、釜石市に移動。釜石港と釜石大観音の再撮影。そして、夜明けの金星と朝焼けを、観音様前景で拝んでおきたい。概ね「快晴」なのですが、画角内を、リレーのように雲が通りすぎ、2時間近くの撮影の末、比較明画像に使えるのはわずか15分足らずという結果。それに対して、大観音の東方向は、全く雲なく快晴そのもの。


月明かりを背中に受けています

このまま朝焼けまで。土星が観音様の頭上高く昇った頃に、金星が顔を出します。6時を過ぎると、この時期にはもうさそり座が出始めています。3連星を見て「おや?」と思うほど、意外というかビックリというか。さそり座の頭の部分でした。星空の季節は、どんどん先を進んでいます。逆に、夕方の空には夏の星座が残っていますので、季節感がちょっと混乱してしまいます。


仏舎利塔をはさんで左に金星、右にアンタレス

今年も残り3日。31日まで、岩手県内は、内陸・沿岸ともに星空は期待できそうにありません。27~28日の観測・撮影行が、今年最後となる可能性大です。ISSの好条件パスや、必要な月の撮影もあるのですが、ぜ~んぶまとめて来年に先送り。2013年の観測初めは、例年通り3~4日の「しぶんぎ座流星群」にて。