イーティーズ・プレイスの星空観測行 -12ページ目

イーティーズ・プレイスの星空観測行

岩手の移動天文台、「イーティーズ・プレイス」による、星空と天体の観測記録。 http://www.justmystage.com/home/etplace/

満月で、撮影には光が強すぎる感があるものの、天気はこの上ない快晴。すべてのメディアが終夜の晴れを予報。さすがに今夜は大丈夫でしょう。撮影行の予定も完璧・・・と思っていたのですが。

1.凡ミスその①:撮影地と時間設定

最初の撮影地に選んだのは矢巾町の菜の花畑。先日曇り空の際には、早い時間でもすでに月が高く昇っていましたので、畑全体が照らされて黄色の絨毯状態でした。その頭があったので同じ時間帯に出かけたところ、満月とはいえ月の出は前回より数時間遅く、防風林が楯となってなかなか全体が照らされません。次の予定もあるので中途半端で離脱。


二時間ぐらい待ったんですが

逆に、遅い時間に訪れた岩手山焼走り(八幡平市)は、月が傾き始めて山に迫り、広角では月明かりで真っ白になってしまいそうなほど。角度や焦点距離を調整しながら、何とか土星とおとめ座のスピカの軌跡を撮ろうとしましたが、やはり月明かりの影響が大きすぎてボツ。おまけに、駐車場に戻る途中で、溶岩につまずいて転倒し、脇腹を強打するおまけ付き。幸い、着込んでいたので軽い打撲程度でしたが。


山全体を写すことができず

2.凡ミスその②:バッテリー切れ

小岩井の一本桜。まだ花が少し残っています。今年の桜は、ほんとに強い。撮影者は私を含めて四人。前回もいらっしゃった、コンピュータ制御での撮影をしている方の姿も。宮城ナンバーの車でした。路上駐車が一台。ここは、深夜でも大型トラックがかなりのスピードで走りますので、非常に危険です。

撮影を開始してわずか40分ほど。無念のバッテリー切れです。充電したはず、と思っていたので「あれれ・・・」という感じです。同じことが、新鬼越池(滝沢村)での撮影時にも。こちらもほぼ40分。後から分かったのは、充電器のプラグが車のコンセントから抜け落ちていた、という、何ともお粗末な事実。幸い、ぎりぎり見られる程度にはなりましたが。


望遠撮影なので辛うじてセーフ


こちらは無風状態が40分程度、バッテリーが40分、とある意味奇跡

以上は、①油断②慣れ③思い込み、による単純なミスでした。事前の準備や下調べ、現地での確認、など当然すべきことが行われなかったことに起因します。改めて「初心に帰る」を痛感した一夜でした。

最後に訪れた網張。夜明け前の惑星集合をとらえようと意気込んで向かったのですが、現地は強風で、しかも、東の方向は厚く靄がかかって何も見えず。基本を忘れた自分への星の女神様のお仕置きかと。盛岡に戻る途上では、朝焼けの中に木星と金星がしっかり見えていました。

さ~て、この快晴は数日続きそうです。満月の借りは十六夜で、そして十七夜(という言い方はないか)で返しましょう。しっかり準備、きっちり確認。
15日、日中は岩手山がクッキリと見える、実に気持ちのいい晴天。気象庁による、昼の天気予報では、夕方雲が出るものの、21:00ごろからは終夜晴れ、とか。出かけるしかないですね。ほぼ一ヶ月ぶりの比較明撮影です。

最近は、ほとんどが近場の再撮影となっておりましたが、月明かりも十分、晴れの時間帯も(予報では)長いこともあり、少し遠出を。計画では、平泉・奥州から始めて北上しながら、最終的には小岩井の一本桜を撮影して、夜明け前には東天の惑星集合を観測。

の、つもりでしたが、種山高原星座の森(奥州市)で「風の又三郎」の像を撮影している最中から雲行きが怪しくなってきて・・・。急遽予定変更。よくあることですので、臨機応変、フレキシブルに。


街灯などの関係で東を向いての撮影、月明かりの影響大

北上・花巻をスルーして、矢巾町煙山の菜の花畑です。去年は、全く育たず土がむき出しのままでしたが、今年は今が満開です。夜目にも一面黄色の絨毯のよう。ただし、西の方角、のみならず全天に雲が広がり、特に北の方角は厚い。いや~な予感がし始めました。


やな感じの雲。夏はひまわり畑に変身

ここで21:00を過ぎたあたりですので、(昼の)予報ではそろそろ晴れてくるはずなのですが、逆にじわじわと雲が増えてきて、風も出てきました。まさか・・・。

さて、小岩井の一本桜。昼過ぎの情報では「まだ満開」ということでしたので、今年のラストチャンスと思い、月が沈むまでは晴れるまで待とう、という態勢です。花は・・・だいぶ散って「葉桜」の表現の方が近いような感じです。岩手山はしっかり見えているのですが。


山の上の雲が全く動かず

深夜にもかかわらず、私を含めて撮影者は三人。一人は、コンピュータ制御でのインターバル撮影、もう一人はフィルムの吸引ポンプを使うような音が時折します。ほんかくてき~、と思いながら、自分はいつもの自動シャッターでカシャカシャ。

月没時刻の関係上、02:00過ぎまでの約3時間滞在しましたが、山の上の雲はじっとしたまま、月もずっと薄雲の中にいてぼんやり。こんなはずではなかったのに、ひょっとして・・・。その後、網張に移動して、夜明け前(03:30ごろ)の惑星集合(金星・水星・火星・木星)を見ようと試みましたが、東の空は分厚い雲。待つまでもなくとっとと撤収です。

帰宅後、天気予報をチェックしてみると。なんと!昼の時点では21:00ごろから翌日の昼頃までずっと晴れ、を出していた気象庁が、夕方の時点で「21:00~03:00は曇り」に変更しているではありませんか!

昨年の梅雨時に一週間ほど、気象庁・ヤフーおよび県内各テレビ局のデータ放送の計7媒体による天気予報的中率調査を敢行しました。けっこう細部にわたって、週間予報と時系列予報を総合的に判定したつもりです。普段からどうも天気予報が当たらないという経験・感覚と、予報が難しい梅雨の期間に当たるようなところは信頼できそうと思ったからでした。

結果は、あくまでも特殊な期間に独自の調査(採点)方法による、独断的なものではありますが、IAT(岩手朝日テレビ)が的中率75%ほどでダントツ1位。以下、気象庁・NHK・mit(めんこいテレビ)が65%、IBC(岩手放送)・ヤフーが60%、TVI(テレビ岩手)が55%でした。そういえば、朝の時点から、「終夜曇り」を予報していたのはIATだけでした。こと「天気予報」に関しては、信頼しているメディアです(実は、一番見やすいのはTVIの表示形式なんですが・・・)。

昨年の満開一本桜

小岩井の一本桜が満開です。昨年は5月9日に撮影しましたが、タイミング悪く月が出ていない時で、高感度撮影でも全体がぼんやりした感じの仕上がりでした。今年は11日が下弦の月で、少々月明かりが心許ないものの、ないよりはもちろんマシ。

ということで、八幡平市の為内(いない)の一本桜と合わせて、「月下満開の一本桜競演」と、数日前からわくわくの時間です。が、・・・。

5月に入ってこれまでの期間、天気予報(特に週間予報)はもうメチャクチャです。一言でいえば「当たらない」のです。2~3日前の予報は全く当てにならず、当日夜の天気も、朝・昼・夕でころころ変わる始末です。

そういえば、4月末の予報では、連休中はずっと晴れベースで推移するはずでしたが、ふたを開けてみれば曇りや雨ばかり。おかげで、あれこれ(観測や撮影の)予定がすべて吹っ飛びました。

一本桜が満開の期間では、10日~12日が晴れ、その前後はすべて曇りや雨の予報です。ところが、10日~11日にかけての夜間はずっと曇りで星一つ見えず。11日の夜は、気象庁をはじめ、全メディアが「晴れ」を打ったにもかかわらず・・・。

19:00ごろは完全な曇り空ながらも、予報を信じて八幡平市へ。為内の一本桜は、わずかに花びらが散っている程度で、まだまだ「満開」の域。しか~し、雲はいっこうに動かず、次の予定もあり雲背景の写真を撮っただけでおしまい。


こちらは映画で知られるようになった勇姿

21:00ごろに到着した小岩井一本桜の駐車場には、県外ナンバー数台を含み15台ほどの車。その中で夜間撮影と思われる人は4~5人。「なかなか晴れませんねぇ」などと話をしながら空を見上げること2時間ばかり。

0時頃には月が沈むこともあり、ぎりぎり23:00ごろまで粘るも空し。こちらも雲背景のみ。天頂付近の星が数個辛うじて見える程度の空。下弦をわずかに過ぎた月が「ぼや~ん」と、存在だけが確認できるぐらいの曇り空でした。


いい感じなんですけどねぇ

12日からの天気は下り坂のようですので、今年も月下の満開一本桜は撮影できそうにありません。「晴れ」の予報で曇りや雨は頻繁にあるのに、その逆はほとんど記憶にないのですが、気のせいでしょうか。来年は5月7日(かな?)が満月ですので、十分すぎるほどの月明かりの下で満開の桜を堪能できることでしょう。ではまた1年待つことにします。

年中星を見ていますが、1年や2年は待つうちに入りません。数年とか数十年単位も当たり前です。「月食」や「日食」であれば毎年見られるもの(皆既日食となれば話は別)ですが、たとえば、「しし座流星群」は33年に1回の大出現、ハレー彗星は76年に1度のお目見え、などです。

この、ハレー彗星ですが、前回地球に接近したのが1986年のこと。私も見ましたが、宇宙空間での位置関係がよくなかったようで、想像していたよりだいぶ貧弱に見えました。次回(2061年夏)の条件はかなりいいようです。私は102歳になっているはずですが、絶対生きて見てやるんだ!!

星の世界では、物理法則に従って運動している天体は、予報どおりに出現します。地球上の天気は、数時間後のことでも確実には予報できないようです。まぁ、面白いといえば面白い。地球が生きている証左なのでしょう。
朝の時点では、終日・終夜曇りを予想していましたが、午後になって晴れ間が広がり、気象庁の予報でも、深夜までは県内全域晴れの領域に。そこで急遽、その他の予定を変更して撮影行ということに相成りました。

20日は、ISS(国際宇宙ステーション)が西(オリオン座・おうし座付近)に見え始め、北東(こと座付近)まで達する長い径路を移動する光が見えます。予報最大高度が25°、光度は0.5等ということで、少々の雲であれば十分観測可能と考え、方角的に雫石町から岩手山を眺望するために現地へ。

日没後の薄明の中ではかなり雲がたまっている状況でしたが、19:30を過ぎてようやく雲が切れ始め、岩手山上空も少しの薄い雲を残すだけになりました。これならば撮影も十分可能です。


ちょっとだけ雲の中

この時間帯、この方角は、飛行機の通り道になっていて、わずか3分の撮影時間内にも3機の航跡が写り込んでいます。点滅しながら移動する飛行機の光跡と比較してみるのも興味深いところでしょうか。

ISSの撮影終了後、滝沢村の新鬼越池に移動し、比較明撮影の準備です。快晴・無風で暗闇の中の池面は鏡のように星々を映しています。22:00ごろには、ぎょしゃ座のカペラが沈んできて、水面にその軌跡を映してくれることでしょう。

ワクワク、ドキドキしながら月の出を待ちます。何しろ、月明かりがないと、星の光跡があまりに勝ってしまい、ギトギトした写真になってしまいますので、どうしても適度が月光を必要とします。今夜の月の出は21:09、ジリジリする時間帯です。

そうこうするうちに少し雲が出始め、月が出た頃からそれがぶわ~っと広がってあっという間に曇り空です。北西~南西までず~っと広がる壁のような雲が空を覆い始めました。月も雲に包まれてしまい、撮影は断念しました。あと1時間もって欲しかったのですが・・・。やはりここは相当の難物。すべての条件がそろうのははたして何年後のことやら。


今夜も無風ではあるが快晴ではない。月の出直後


みるみるこうなって。月の出30分後


西の方角はこんな感じ。雫石スキー場方向


お月様も雲の中

今月の比較明撮影は、月齢の関係上、ぎりぎり26日の朝まででしょうか。下弦を過ぎれば、月明かりはあってないようなもの。半月は、見かけ上は満月の半分あるものの、光量は1割にも満たないほどです。たしか8%程度だったと記憶しています。

週間天気を見ると、それまでにスッキリと晴れそうな日は1日もないようです。そうなると、次のチャンスは来月中旬、ということは残雪が少なくなり画的には物足りないわけで。そう考えると晩秋の降雪時以降、池が氷結する前・・・。う~む。
今月は、18日11:44が満月の「瞬間」です。3月20日には、楕円軌道を周回する月が最も地球に近づいた頃に満月を迎え、いわゆる「スーパームーン」だったのですが、岩手は厚い雲に覆われ、撮影することができませんでした。19日は快晴だったのですが・・・。

スーパームーンは、地球からの距離が約356600kmで、視直径が33分30秒(1秒は1分の60分の1、1分は1度の60分の1、1度は全周の360分の1)。今月の月は、距離が約358600kmで、視直径は33分20秒と、見かけ的には先月とほぼ同じで、今年の中では2番目に大きく見える満月です。最大と最小の満月では、視直径にして14%ほどの違いがあり、明るさも30%程度異なります。


満月の大きさ比べ

さて、その大満月の光の中で、比較明撮影を敢行してみました。17日は朝からすばらしい快晴で、撮影対象は既に決めていました。先日訪れて、強烈な霞と靄に覆われていた早池峰山です。明るいうちに出発し、川井の道の駅「やまびこ館」にて食事・休憩。2時間ほどおりましたが、日曜日ということもあり、多くの車が訪れました。また、「災害支援」の自衛隊車輌も次々と入ってきます。

19:30、タイマグラ。早池峰山荘から早池峰山を見上げます。月が昇るにつれて、残雪をいただいた山頂がクッキリと浮かび上がります。適度な月光を待ってシャッターを切り続けました。おうし座のすばる~アルデバランが沈む時間に合わせての撮影です。


早池峰山の残雪が美しい

次の撮影予定地は、滝沢村の新鬼越池と雫石町の小岩井一本桜です。鬼越は、ちょうど沈むカペラが水面に映るはずの時間帯に到着予定でした。ここは、快晴・無風の鏡面状態が絶対条件の場所で、ちょっとでも風が吹けば池面が波立ち、岩手山が映りません。何年もの間、何十回となく訪れていますが、「完璧!」と思える条件にはいまだに出会ったことがありません。


無風ではあるが、快晴ではない・・・撮影は断念

小岩井の一本桜も相当通ってはいますが、ここもなかなか難しい場所です。雲の通り道なのか、靄や霧の発生しやすい地形なのか、ピンポイントで天候も変わりやすく、撮影者泣かせです。


月明かりが強く、露出時間は短め

18日も、深夜まで晴れの予報が出ていて、この日は20:35分頃、ISSが西南西から北西へと航行する光が見えるはずでした。オリオン座に見え始め、カペラ付近で見え終わりになる予報です。

最大高度25度、0.6等級ですので、少々明るい空でも見えるはず。ということで、岩山展望台にて、移動する光跡を狙いました。が、盛岡市街上空はずっと雲が立ちこめ、ISSの姿をとらえることはできませんでした。東~天頂付近はスッキリと晴れていただけに残念な結果となりました。


ISSは雲の中と思われます。岩手山もぼんやり

その後、予報よりも早く、22:00過ぎにはすっかり曇ってきたこともあり、紫波町に移動して、冒頭の写真にある、「セミ・スーパームーン」を撮影して終了です。

比較明撮影は、自然の造形物対象の場合には、月明かりがないときれいには写せません。人工物や人工照明がある場所でも、月がないと空の色がくすんで、星の光跡が引き立ちません。適度な月明かりが得られるのは、月齢にして10~22の間です。ただし、満月とその前後1日は、月明かりがやや強すぎることもあり、できれば避けたいところ。したがって、条件を満たすのは一ヶ月に10日程度です。経験上、その間に晴れ(しかも快晴)になるのは、平均して2~3日ですので、一年間でせいぜい30日程度でしょうか。さらに、ある程度の時間帯が無風になるのは・・・と、色々な条件を加算していくと、100%の条件がそろうのは数年に一度という結論になるのですが・・・。
盛岡市内は、朝から霞に包まれて太陽さえもぼ~っとした感じの一日でした。「春霞」と言えば聞こえはいいですが、要は、水蒸気やチリやホコリや黄砂(?)や花粉(?)や・・・よく分からないものが大気中に大量に舞っているわけで、どうやら今年から花粉症になったらしい私にとっては、風情を楽しむ余裕はなし。

気象的には「晴れ」には違いないので、比較明撮影ができそうな場所には出かけてみたものの、雫石~滝沢方面も強烈な靄の中で、撮影になりません。滝沢村の新鬼越池は、雪解け水をたたえ、残雪の感じも今が最高で恰好の対象なのですが、ご覧の通り。


新鬼越池、13日の画像。14日はさらにひどい状況

15日03:00ごろには、ISSが北~東の空に現れることもあり、もちろん観測・撮影の予定を立てていましたが、予報高度が低い(28°程度)こともあり、内陸では見えないのではないかと危惧されました。導き出された結論は、・・・海。内陸に比べれば、空気が澄んでいるのではないかという期待のもとに。

方角や視界を考えて、再び宮古市の浄土ヶ浜を目指しました。が、時間に十分余裕がありましたので、途中で思いついてちょっと「道草」のつもりでタイマグラへ向かいます。早池峰山が撮影の対象です。山中はひょっとして霞が晴れているかもしれないとの淡い期待を抱きつつ。


早池峰山。

山は、残雪の具合がよくきれいなのですが、空は茶色っぽいチリに覆われ肉眼では星一つ見えない状況です。なお、途中の細い道の脇の何ヶ所かに、大きめの岩が片付けてありましたが、地震による落石と思われます。春先のテンを二匹目撃しました。

23:00ごろ、浄土ヶ浜第一駐車場に到着。曇りで、月といくつかの一等星がぼんやりと見えているくらい。明らかに「雲」と分かり、内陸の「よく分からない霞」ではない分、雲が取れれば星が見えてくるであろう空です。前回もこんな状態から急速に晴れてきたことを思い出しつつ、仮眠。

02:00過ぎ、月が沈み、期待どおりに晴れ間がぐんぐん広がってきました。東の水平線付近には靄がかかってはいますが、ISSの通り道はほとんど快晴状態です。準備を整えて、浜に下りていきます。もちろん歩いて。

今回も月明かりがなく、撮影場所やアングル、感度や露出時間など、あれこれ試し撮りをしている間に小一時間は経過してしまいました。02:55、いよいよ本番。北の空からISSの光が現れ、カシオペアの上をとおって、東に消えていきます。その間約6分。


北~東の空に

前回よりもやや北寄りにアングルを変え、ISSの光跡がより多く入るように工夫したつもりです。水平線近くは、靄に光が吸い込まれ、やや残念ではありますが、全体的にはまずまずの出来、としておきます。


13日撮影の画像。

悠久の昔から、激しい風雪や大波にさらされ耐えてきた、岩手の沿岸を代表する景観です。これからも、いつまでも、しっかりと踏ん張って、すべての人を励まし続けてほしいと、改めて願った夜でした。
時間はさかのぼりますが、4月の新月が3日(日)で、その前後数日は月明かりが全くない星空を堪能することができます。今は、土星が見頃を迎え、おとめ座の1等星スピカの上方でやや黄色っぽい色で輝いています。

もちろん土星や春~夏の星座・星雲などを心ゆくまで楽しむこともできますが、この時期にのみ可能な「見もの」がもう一つ。いわゆる「大三角」と呼ばれる、明るい星が構成する夜空の三角形です。

「夏の大三角」と「冬の大三角」は比較的知られていますが、春にも大三角があり、その3つが一晩に好条件で見られるのは3月~4月に限定されます。早い時間には「冬」、深夜には「春」、そして日付が変わった頃から「夏」と、時間の経過とともに移り変わる星座や星々をじっくりと観察する絶好の機会となります。


冬の大三角

まずは「冬」。20:00ごろには既に西に大きく傾き、オリオンから沈んでいきます。こいぬ座のプロキオン(α:0.4等)、オリオン座のベテルギウス(β:0.5等)、おおいぬ座のシリウス(γ:-1.4等)の3つの1等星が作る三角形です。これらの星の他にも、オリオン座のリゲル(0.1等)、ふたご座のポルックス(1.1等)、おうし座のアルデバラン(0.9等)、さらにはぎょしゃ座のカペラ(0.1等)と、近くには1等星が数多くあり、1年で最も賑やかかつ豪華な星空です。


春の大三角

次は「春」。あまり知られていないようですが、こちらが「春の大三角」で、うしかい座のアークトゥルス(α:0.0等)、しし座のデネボラ(β:2.1等)、おとめ座のスピカ(γ:1.0等)の3つから成ります。今はおとめ座に土星がいて、ちょっとしたアクセントになっています。

3つの大三角の中では最も大きく、夜空の中で探すのは最初は難しいかもしれません。北斗七星の「ひしゃくの柄」をその曲線に沿って伸ばしたところにある輝星(アークトゥルス)が目印になります。


夏の大三角

最後に「夏」です。こと座のベガ(α:織姫0.0等)が東の空に現れ、しばらくしてから、はくちょう座のデネブ(γ:1.3等)、最後にわし座のアルタイル(β:彦星0.8等)が昇り三角形の完成です。季節的なこともあり、世間では最も知られ、最もよく見られている大三角と思われます。三角形の中央を天の川が流れていることもあり、3つの三角形の中では最も美しいものです。天の川を地平方向にたどれば、いて座やさそり座につながっていきます。

冬~春~夏の推移を星空で実感できる季節。夜明け前には秋の星座の一部も見えてきます。夜はまだ少々寒いですが、じ~っくりと星を観測するのもまた一興かと。
ISS(国際宇宙ステーション)が航行する、何とも毅然とした、それでいてはかなく消え入りそうな光跡の、どうも「麻薬的」な魅力に取り憑かれたようで。先月から「ISS病」とでも言えそうな追っかけが続いています。

今回は北西~北~東と、低高度(仰角26°)ながら長径路の光が見えます。この高度であれば、前景とともに画角に収めることができますので、撮影地を一思案した結果、浮上したのは宮古市の浄土ヶ浜。宮古行きは地震後初めてです。

震災直後に撮影された写真をあちこちで見ましたが、岩は健在で、松の木は少々の損傷がある様子。浜には相当の漂着物が打ち上げられ、レストハウスは二階まで浸水し、壊滅状態のようです。

「終夜晴れ」の天気予報も出ており、決断、即出発。ISSの通過は13日の03:40ごろですが、ここは東の空に昇る星々の軌跡を比較明撮影しておきたいところでしたので、月のあるうちには到着の予定です。

第一駐車場に車を停め、遊歩道を浜まで下りていきます。周囲の人工光はパークホテルの照明ぐらいで、月下、見慣れた岩が目の前です。ただし、浜の方に目を移すと、アスファルトとの境目からザックリとえぐり取られたように、コンクリートの配管(?)がむき出しになり、砂や砂利が根こそぎ波にさらわれたような感じです。

それでも、瓦礫がほとんど片付けられていたのは、関係者やボランティアの皆様のご尽力の結果と思われます。大きなトタンの塊、屋根とおぼしきものが打ち上げられており、どこからか家が流されて漂着したものなのでしょうか。

20:30ごろから撮影開始。波打ち際まで進んで撮り始めましたが、徐々に波が満ちてくる時間帯となり、三脚が水につかり始めました。いつもなら気にしないところですが、さすがに今回は躊躇です。一旦撮影を中断し、少し後退して再撮影と相成りました。


松の木々に傷みが見られます。海上に漂流物あり

露出50分が経過した頃、車が遊歩道を下ってきました。一般車は進入禁止のはずですが、夜間だからといって入っていいはずはありません。ガンガンのライトに照らされて泣く泣く撮影終了です。車は、道が破損しているのを確認したのか、そのまま戻っていきました。

一旦駐車場に戻り、ISSの撮影に備えて仮眠・・・02:00ジャスト、目覚ましが鳴る前に目が覚めます。晴れ。再び浜へ・・・もちろん徒歩です。月も沈み、人工照明もない中、浜は真っ暗です。天の川が降ってきそう、星の光が怖いくらいです。ふと、早池峰のタイマグラで同じような感覚になったことを思い出しました。暗闇の中で、波の音、さざ波でさえも恐怖心を覚えたのは初めてのことです。

03:40、北の方から光度0.4等のISSの光が「ス~ッ」と現れ、03:44東の低空に消えていきました。方角を少し読み違えたようで、もう少し北寄りのアングルにすべきだったようです。今後も撮影の機会があるでしょうから、またその時に。


真っ暗な中、高感度・長めの露出で何とか撮影

帰宅後、画像処理し、昨年撮影した写真と比べてみました。撮影条件(月明かり、撮影アングル、波の状態など)は異なりますが、海底の形が変わったような感じを受けるのですが、気のせいでしょうか。


2010年11月撮影
3月27日から4月2日までの明け方(03:00~05:00ぐらい)、ISSが毎日見られます。高度・光度などで比較的見えやすいのは27日(29°-0.4等)、28日(77°-2.4等)、30日(67°-2.4等)、31日(23°-0.7等)、2日(21°-0.4等)です。

このうち、27日は北山崎にて観測・撮影済。下弦の月があり、画角に月が入ってしまい、撮影条件としては今ひとつ(一つ前のブログ参照)。28日は、東北地方の上空を通過するとあって、ほぼ真上を最大光度で駆け抜けるはずでした。天気予報もまずまずでしたので、ガイド撮影を狙って待機していましたが、肝心の時間帯には雲が広がり、あえなくアウト・・・。

さて、30日。これもかなりの高度を通過しますので、やはりガイド撮影の対象です。天気予報は・・・沿岸全域と、内陸は南部が晴れそう。ガソリン事情が思わしくないので、遠出はちょっと、ということで花巻~北上あたりで何とか、という作戦です。

雲を避けながら少しずつ南下して、結局奥州市にまで入ったものの、ISSが通過する数分間、雲間をとおしての撮影となってしまいました。通過後10分もしたら快晴、って何でだ~。


雲間にちらっと見えたISSの光跡(奥州市にて)

そして31日。北海道方面上空を通過するので、岩手からは北の空低く見えます。しし座付近から見え始め、空を横切ってカシオペア方向に消えるはず。前景は、方角や天候などあれこれ検討した結果、、田野畑村の鵜の巣断崖に決定。片道分のガソリンでいざ。

前日から現地入りし、下見も完璧。車中で仮眠の後、03:00に展望台に向かって出発です。月明かりも街灯もないので、真っ暗闇の世界。ここは、場所が場所、しかも時期が時期なだけに、念のため「展望台におります 星空写真撮影中☆」と書いたホワイトボードを車に立てかけておきます。何しろ、以前、警戒巡回中の警官に誤解されそうになった経験があるもので。


「下ノ畑ニ 居リマス」みたいな?


この先500mのところに展望台が・・・こわい、こわい・・・

駐車場から展望台までは、林の中の遊歩道を約500m。日中に来たのは、今回も含めて3~4回しかないのに、夜の鵜の巣断崖を訪れるのはたぶん20回目ぐらい。これほどの「マニア(?)」は世界中探してもいないはず。何度も撮影もしてはいますが、スッキリ・クッキリという場面にはなかなか出会えないところです。ちょうど一年前の月下・星空バージョンがこちら。


2010年3月3日に撮影。条件がこれほどそろうのは珍しい

04:00近くになって、細い月が昇ってきます。水平線低く、赤(オレンジ)に輝いて何とも神秘的。周囲を照らすほどの光量はないので、眼下の断崖は真っ黒状態です。日の出が05:30ごろですので、ISSが見える時間帯は夜明け前の薄明が始まるかどうかの微妙なところ。


実は、月って、写真に撮るとビックリするくらい小さい

さて、この日、岩手でのISSの可視時間は04:21~04:27の予報。数分前から東の空がほんの少しずつ明るくなってくる気配です。それに伴って、撮影の感度と露出時間も少しずつ変えていきます。直前まで試し撮りをしながらベストの数値を探り探りの緊張の時間です。


絞り4.0、感度1600、露出20秒×7コマ

画角を横切ったのはわずか140秒。その後も北東の空に向かってISSは航行を続け、肉眼でずっとその光を追い続けました。このわずかな時間だけのために往復250km、約12時間の観測・撮影行でした。ISSの追っかけはまだまだ続きます。
大震災前日の3月10日17:30、北山崎展望台。この日、18:00過ぎからの数分間、南天の低空をISS(国際宇宙ステーション)が航行する軌跡が見られるはずでした(肉眼では実際に見えました)が、雲が厚く、撮影してはみたものの、軌跡は雲に隠されてしまいました。

あれから約半月、再びISSが北山崎上空に姿を現します。27日04:10~04:16という、(ISSにしては)長い時間、長い径路です。南中直後のさそり座アンタレス付近から見え始め、南天を横切りはるか東天に消えていくはずです。

沿岸の天気は、すべてのメディアが「晴れ」を予報する中、出発時間については色々と迷った末に、前日(26日)の明るいうちに到着するように設定。現地に至る途上の、田野畑~羅賀~机の被災地を夜中に走るのは・・・怖い。もちろん明るければ明るいなりに、目に見えるすべてが恐怖心を刺激することに変わりはありませんが。何度も訪れて見慣れた景色が・・・今は涙・・・だけです。

敢えて北山崎を選んだのは、もちろんISS通過という貴重な機会を記録する意味もありますが、あの絶景「海のアルプス」を目の前にして、誰もが感動を覚え、そして自然に笑顔になれるような時間が一日でも早く戻ってきてほしい、という願いを込めての撮影行です。


月下の北山崎、さそり座、ISSの軌跡

月は下弦。海を照らし、雄大な景色を浮かび上がらせます。海岸線メインの構図とするか、ISSを中心とするか迷いましたが、やはりこの絶景の全体を画角に収めたいと考え、その結果、ISSの軌跡は半分も入らずにはみ出してしまいました。思ったよりも高度が上がり、月の上に突き抜けた画になり、こちらは中途半端な感じです。

前回は夕方の観測で、おおいぬ座が南中する時間帯でしたが、今回は明け方近く、夏のさそり座が真南です。無数の生命を乗せて、何億年も前と同じに、地球は猛スピードで宇宙空間を走っています。