前回の記事
‐シリーズ 日韓会談反対闘争の展開とその歴史的役割 その1(畑田重夫氏のコラムより)‐
「平和と安定」は軍産複合体にとっての悪夢(植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/18/senkyo246/msg/340.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 6 月 15 日 07:25:05:
「平和と安定」は軍産複合体にとっての悪夢
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/post-516f.html
2018年6月15日 植草一秀の『知られざる真実』
平和と安定は市民にとっての幸福だが、戦争産業にとっての悪夢である。
和平について語るとき、この根本を忘れてはならない。
トランプ大統領と金正恩委員長による歴史的な首脳会談が実施されたことについて、共同宣言にCVID=complete, verifiable, and irreversible dismantlement=「完全な、検証可能で、不可逆的な核廃棄」
が盛り込まれなかったことを非難する言説が流布されているが、この主張そのものが和平の成立を妨害するためのものであることを認識しておく必要がある。
日本は憲法で「戦力の不保持」を明記しておきながら、安倍内閣は軍備増強にひた走っている。
朝鮮半島の平和と安定そのものが、日本の軍備増強の必要性に対する根本的な疑問をもたらすものであることから、安倍首相も小野寺防衛相も必死の形相で軍備増強の必要性が低下しないことを強弁している。
この事情は米国の軍産複合体にとっても、まったく同じである。
軍産複合体の「飯の種」は戦争である。
「平和と安定」こそ、軍産複合体にとっての悪夢なのである。
朝鮮半島の平和と安定を実現するには、北朝鮮の金正恩委員長と米国のトランプ大統領が直接会話をして、和平を前進させるしかない。
「圧力」の強化が北朝鮮の対応の硬化をもたらすことは、これまでの歴史が証明してきたところである。
そして、北朝鮮は単独で抵抗を示してきたのではなく、中国、ロシアが後ろ盾になって抵抗を続けてきた。
簡単にねじ伏せられる相手ではないのである。
この問題に対して、米国のトランプ大統領が積極果敢な行動を示した。
この点に対する評価をしないのは、メディアが巨大資本の意向によって支配されているからである。
北朝鮮には北朝鮮の立場と主張がある。
この点を理解しなければ、外交交渉など成り立ちようがない。
相手が絶対に呑めない条件を突き付けて、この条件を呑めなければ軍事行動に踏み込むとするのは、「交渉」でなく「恫喝」である。
日本が日米戦争に突き進んだことについて、米国からの「恫喝」があったために日本はやむなく戦争に突き進んだのだと主張している者が、北朝鮮に対して一方的な要求を突き付けて、これを呑まない限り和平はないと主張していることが興味深い。
拉致被害者の家族は、これまでの安倍政権による「圧力一点張りの外交姿勢」に根本的な疑問を抱いている。
第2次安倍内閣が発足して5年半の時間が経過したが、この間に拉致問題は「1ミリも前進してこなかった」のだ。
その、最悪の状況に大きな変化を引き起こしたのは、韓国の文在寅大統領である。
文大統領の「対話路線」に対して、強硬な批判を浴びせてきたのが安倍首相である。
本年開催された平昌五輪では、韓国の文在寅大統領が積極果敢な行動を示し、南北朝鮮の「対話」機運を一気に上昇させた。
これを契機に南北の対話が急進展し、それが米朝首脳会談開催という偉業をもたらす伏線になった。
この間、日本の安倍首相は一貫して批判と非難に満ちた言動を続けてきたのである。
トランプ大統領は「対話」を軸に北朝鮮の譲歩を引き出し、北朝鮮に対して体制保証を与える代わりに、朝鮮半島の非核化を求める姿勢を鮮明に示した。
同時に米国と北朝鮮との間の「戦争状態」にも終止符を打つ方向性を示している。
トランプ大統領のこの行動が絶賛されないのは、この方法が、現実に朝鮮半島の平和と安定をもたらしかねない潜在力を有するからなのである。
つまり、朝鮮半島の平和と安定を絶対的に敵対視する勢力が厳然と存在するのである。
米国の軍産複合体にとって、朝鮮半島の平和と安定は悪夢以外の何者でもない。
安倍政権が軍事支出増大に傾斜しているのは、軍事支出増大が政治権力仁とっての巨大利権を意味するからに他ならない。
軍事支出における「価格」は市場価格ではない。
人為的に決定される「法外価格」であって、その価格のかなりの部分が政治家への「キックバック資金」になる。
だからこそ、利権政治勢力は軍事支出増大を追求するのである。
こうした邪(よこしま)な勢力が「平和と安定」を敵対視している。
こうした本質を正確に理解せずに、トランプ大統領が主導する和平交渉の進展に対するメディアの攻撃的な姿勢を理解することはできない。
主権者はメディアによる「印象操作」に誘導されてはならないのだ。
『阿修羅』氏のブログより
http://www.asyura2.com/18/senkyo246/msg/340.html
※引用記事における赤字ラインの補足記事
『朝鮮戦争』 (ロシア語Wikiより)
「アメリカは、朝鮮戦争中、第二次世界大戦中に太平洋戦場全てに投下したより多くの爆弾を朝鮮民主主義人民共和国に投下した。32,000トンのナパームを含むこの絨毯爆撃は、軍事目標と同様、しばしば意図的に民間も目標を定め、戦争に勝つために必要だったものを遥かに越え、朝鮮に壊滅的打撃を与えた。何千人もの無辜の文民が死亡し、都市全体が破壊され、更に遥かに多数の人々の家を失い、飢えさせられた。この戦争の支持者で、後の国務長官ディーン・ラスクは、アメリカが「朝鮮民主主義人民共和国で、動くもの全て、積み上がっている全てのれんが」を爆破したと言った。爆弾の破片に殺され、焼き殺され、煙で窒息した平壌住民は数え切れない」(「アメリカ人は朝鮮民主主義人民共和国にしたことを忘れ去ったた」、Vox World)
マスコミに載らない海外記事 『タカ派をなだめるため北朝鮮とのサミットを駄目にしたトランプ』記事より
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-48c7.html
【北東アジアの戦後史】
‐新シリーズ・朝鮮統一と日本を考える 最終章(日本自主化のプロセスと東アジアの平和樹立)‐
‐韓国に進出した日本の独占企業の話 最終回(日米独占資本の「相違」と平和国家の欺瞞)‐
‐シリーズ『日米同盟』の正体 最終回(米日韓の断ち切れぬ軛)‐
‐シリーズ こうして「在日」は生まれた その10(リアルにおける差別)‐
(戦後日本における)平和運動一般をたとえれば、ソ連も含めた連合国すべてに対する「全面講和」を要求する運動や、「原爆を使うな」と要求した『ストックホルム・アピール運動』などは、朝鮮戦争直前から戦争中にかけて、ある程度の盛り上がりを見せていた。
※『ストックホルム・アピール運動』 (Wikiより)
ストックホルム・アピール(英語: Stockholm Appeal)は、1950年に採択され世界の人々に署名を呼びかけた、核兵器禁止を求めるアピールである。
米日両国支配層が、アジアにおけるいくつかの双務的な個別軍事条約を締結したり、「その枠組みで」日韓交渉をはじめるなど、具体的にキメの細かい政策を推進していたのに対し、日本国民の側では、漠然とした反戦、平和の感情に根ざす運動の域を出ることができなかった。
しかも、それらの運動が、戦後日本の講話運動に関する南原東大総長と吉田首相との『曲学阿世論争』にみられたように、また『戦争と平和にかんする日本科学者の声明』を出した『平和問題懇談会』(安倍能成、大内兵衛、矢内原忠雄ら五十数名の俗にいう岩波グループ)のように、続いて1949年4月25、6両日に東京で開かれた『平和擁護日本大会』が、政治家、科学者、芸術家の参加によって特徴づけられていたように、どちらかと言えば、所謂『プチ・ブル層』に基盤を置く運動に過ぎなかったと、畑田氏は述べられています。
※『曲学阿世論争』 (毎日新聞 昭和毎日 『吉田首相、南原繁東大総長を「曲学阿世」と非難』1950年05月03日記事より)
連合国と日本が講和を結ぶ際に、国連中心の全面講和とするか、ソ連不参加の単独講和とするか国論が分かれた。東大の南原繁総長が全面講和論を説いたのに対し、吉田茂首相は自由党両院議員総会で、「南原総長らが主張する全面講和は曲学阿世の徒の空論で、永世中立は意味がない」と非難した。「曲学阿世」は「学を曲げて世に阿(おもね)る」の意。南原総長は強く反発した。「曲学阿世」はこの年の流行語になった。
http://showa.mainichi.jp/news/1950/05/post-7820.html
※『プチ・ブル層』転じて小ブルジョア (Wikiより)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A2
1949年から翌年50年にかけての労働組合、共産党、在日朝鮮人連盟への弾圧や解散措置などの打撃が大きいものでした。
‐韓国KBSが朝鮮学校(ウリハッキョ)の無償化闘争をドキュメンタリーで放送‐
しかし当時の総評は、朝鮮戦争勃発はじめ「北鮮軍の武力侵略に反対」し、「国連軍の警察公道を支持」してアメリカの戦争政策を助けていたのでした。
※北鮮は戦前からの差別用語なので注意
無論、1952年の大会時には「(連合国すべてと)全面講和、(日本の)中立堅持、(在日米軍)軍事基地反対、再軍備反対」の『平和四原則』を決議し、まさに「鶏がアヒルになった」と評されるほど大きな変化を示しました。
にも関わらず、「朝鮮から手をひけ」という反戦平和運動が、日本の労働者を先頭とする国民運動として巻き起こるところまでは、到底行くことができませんでした。
『朝鮮戦争における朝米双方の休戦協定』 (英語Wikiより)
https://en.wikipedia.org/wiki/Korean_Armistice_Agreement
‐新シリーズ・朝鮮統一と日本を考える その3(停戦協定とジュネーブ会議①)‐
1953年7月27日、朝鮮戦線において停戦協定が調印されました。
停戦後まもなく、米「韓」両国は、『米韓相互防衛条約』(同年8月8日)につづき、『米韓相互安全保障条約』(同年10月1日)にそれぞれ調印し、1953年12月14日には経済の再建と財産安全計画を含む『米韓合同経済委員会協定』が結んだ。
‐新シリーズ・朝鮮統一と日本を考える その10(韓国に「永久駐屯する」在韓米軍)‐
‐韓国に進出した日本の独占企業の話 その1(加速するアメリカへの依存)‐
やがて日本漁船拿捕が激しくなる中、「韓国」に対する日本側の申し入れにより第三次日韓会談が始まった(1953年10月6日)。しかし同会談は、いわゆる『久保田発言』①により決裂。
①『久保田発言』
第三次会談において、「韓」国側が日本にたいして日本の対「韓」請求権の主張の撤回を求め「日本側で対韓請求権を固執するならば、韓国は36年間にわたる日本の支配による損害に対して賠償請求権を持ち出す」と述べた。これに反論して、日本側の首席代表久保田貫一郎が、「韓国側には対日賠償請求権はない。もし韓国側が36年間の損害をうんぬんするのなら、日本側としても日本が韓国経済力を培養した事実を指摘せざるを得ない」と述べたことが、韓国側を刺激して紛争の因となった。
『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第三巻 勁草書房 202頁より
※参考記事
‐シリーズ こうして「在日」は生まれた その5(財産請求権の問題)‐
これは日本と「韓国」の間というより、過去36年間にわたる不幸な歴史に起因する日本と朝鮮半島との間に残されている矛盾の深刻さを物語る出来事でした。
しかし、これはただの事件(情報)として、当時のジャーナリズムに取り上げられたにとどまり、久保田発言は、日本の思想家はもちろん、日本国民にとって朝鮮との関係で過去を反省するキッカケとも材料ともならずに経過しました。
つか、今もそうした風潮あるよね。
右翼だとか左翼だとか、正直どうでもいいんだけど、根本的にアジア諸国との「矛盾」を説かなければ、この先日本に未来はない。
国や立場によって、日本は露骨に態度を変えるわけだから、そりゃ尊敬もされないし、挙句の果てには「原爆を落としてよかった」とまで言われる始末。
傲慢が不信と憎しみを生み、また新たな矛盾を作り出し、これを「先送りにすればするほど」、さらに問題を深刻化させる。
殊に中国をはじめとして、今の「日本が置かれてる状況」を知っているわけだから、過去日本にあれだけ酷いことをされても、そうした事実を直視し、行動を改めれば、新たな関係を築くことができると、英語ブロガーMichikoさんと中国の方々とのお話でわかったことだし、現在の安倍氏にしても、自らが「アメリカのヒモ付き首相」がゆえに、それを断固と拒否して、「アジアとの分断」を温存し、米軍産との関わりにおいて在日米軍を受け入れ、軍備増強に走るわけだが、もうそろそろヤバいところにまで来ているのは、誰が見てもわかることです。
<参考資料>
・『阿修羅』氏のブログ記事
http://www.asyura2.com/18/senkyo246/msg/340.html
・マスコミに載らない海外記事 『タカ派をなだめるため北朝鮮とのサミットを駄目にしたトランプ』記事
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/03/post-48c7.html
・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第三巻 勁草書房
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